終活はいつ・何歳から始めるべき?
実際に終活ですることや段取りなどについて

  • 2020.11.16

終活・準備

人間の死亡率は100%であり、不老長寿などはマンガなどの世界だけで誰もがいずれは死を迎え、もっと言えばその人の寿命を予測することはできません。
もし、完璧に予想できる技術が生まれたら、おそらく世界中に革命が起こるでしょう。

しかし、確実に死ぬことが分かっている以上、何もせず手をこまねいていると、いつか最も身近で大切な存在でもある遺族に迷惑をかけてしまうおそれがあります。
そこで、自分が死んだ時に備えて様々な準備を済ませておくのが「終活」です。

この記事では、終活をいつ始め、どう進めるべきなのかについて、実際の段取りを踏まえつつご紹介します。
少しでも自分のこれからに不安を感じた人は、ぜひ読み進めていただければと思います。

終活のスタート時期に決まったルールはない

終活は比較的新しくできた言葉でもあり、法的な規定がある話ではありません。
そのため、終活をスタートする時期に特段決まったルールのようなものはありません。

あくまでも、自分が死について気になったら始めるという姿勢が重要で、その意味ではスタートすべき年齢も特に決まっていないと言えるでしょう。

自分が死を意識した時がスタート

人間誰しも、明日どうなるのか予測するのは難しいものです。
言い換えれば、いつ・どこで死ぬのかは誰にも分からないため、自分が何らかの理由で死を意識したのなら、その段階から終活について考えるのがよいでしょう。

終活は、自分が残りの人生をどのように生きるのか、それを考えるための時間でもあります。
ゴールに向けた準備を済ませることで、いざという時も安心して対応できます。

特に、残された家族はこれからどうすればよいのか、途方に暮れてしまうおそれもあります。
きちんと自分の気持ちを伝えておくだけでなく、通帳や不動産に関する情報など、遺族の生活にとって重要な情報をまとめておくことも大切です。

命の順番通り家族にバトンを渡すためにも、死を意識する機会があれば、その段階で終活を考えた方が賢明です。

できるだけ元気な時期に行い、60代を迎えた段階で一度は考えると良い

終活を考える時期は個々人でまちまちですが、可能であればできるだけ元気な時期に考えておいたいところです。
実際に終活を始めようと考えると、色々な場所に足を運んで準備をする必要があるため、身体を動かさなければならない場面が多くなります。

一口に終活と言っても、ただ遺言書を書けばそれで終わりという話ではありません。
形見分けをするにも時間が必要ですし、銀行口座の解約なども直接出向いてやり取りをしなければならないため、意外と歩き回る機会が多くなります。

そこで問題になるのが、自分自身の体力です。
年を取ってからは思うように身体が動かなくなるため、健康維持を意識している人でも、移動がおっくうになるケースは珍しくありません。

60代になって会社を退職した途端に、自分の体力の衰えを急速に感じてしまうと、なかなか腰を上げることができなくなります。
よって、できれば会社にいるうちから、自分の身の振り方について考えを巡らせる時間を設けた方がよいでしょう。

死を身近に感じた場合、そこから考えても遅くはない

若いうちでも、病気や事故などをきっかけに、生きること・死ぬことについて思いを巡らすような状況に遭遇することは十分考えられます。
例え10代・20代であっても、危篤状態を一度でも経験したのであれば、今後のことを考えておくのは悪い選択肢ではありません。

若いという事実は、死を遠ざける要因ではあるものの、絶対の条件ではありません。
だからこそ、自分が死んだ際に備えて「誰に」「何を」伝えるのかまとめておくことは、とても意味のあることです。

遺産分配や相続だけが終活の意味ではなく、もっとも重要なのは自分のそばにいる人たちの将来を考えることです。
一度死が間近に迫ったからこそ、考えられることもあるはずです。

子どもが産まれた時など、若くてもする価値はある

20代や30代と社会に出て結婚をし子を持つといった方も多くいるかと思います。
まだまだ若いと自分では思っていても、突発的な死というのはどうしても免れない場合もあります。

交通事故や不慮の事故、突然の病気など若くてもそういったものに襲われてしまう可能性はゼロではありません。

特に子が産まれて間もない場合などは、そもそも子育てに忙しい時期でもあります。
そういった中で、残す家族にさらなる負担を強いるというのを避けたいと思うのは当然の思いです。

最近では、こういった思いから、子が産まれた時に、夫婦で簡単な終活をはじめる方が増えています。
それぞれの保険がどうなっているか、連絡先はどうするのか、それぞれの親類、墓事情、その他諸々など話し始めたり決めて行ったりといったところでしょうか。

まだ若いのでそこまで厳格にということではなくとも、備えあればという言葉のとおり、少しでも準備しておくことに損はありません。

終活のために行うべきことと、それぞれの段取りについて

続いては、実際に終活で何を行うべきなのか、それぞれの進め方・段取りも含めてご紹介します。
大きく分けると、エンディングノート・遺言書・お墓に関する話が重要事項となり、総じて遺族に迷惑をかけないことを目的として行われます。

エンディングノートをまとめる

エンディングノートとは、万一自分が亡くなったり重度の障害を持ってしまったりした場合に、家族や周囲の人に伝えるべきことを書き留めておくノート・手紙のことを指します。
法的な規格はなく、書かなければならない事項が定められているわけでもありませんから、自由に内容をまとめることができます。

転職時に書く「職務経歴書」がニュアンスとしては近く、内容も情報量もそれぞれまちまちです。
よって、大抵の人は以下のような情報をノートにまとめることが多いようです。

  • プロフィール
  • 自分史
  • 執筆当時の健康状態や懸案事項
  • 葬儀や埋葬についての希望
  • 家族に関する心配事
  • 家族に伝えたいメッセージ

また、遺言書とは違い、財産の処分方法や子どもの認知に関することには触れる必要がありません。
よって、遺産相続には直接的に何の役にも立たないため、こちらにこと細かい内容を記すのは控えましょう。

エンディングノートの有効な活用方法

エンディングノートは、基本的に「家族なら誰が見てもOK」という情報しか書けません。
逆に言えば、ほとんど何でも自由に書けるため、ニーズは別として詩や俳句・小説のようなものでも問題ないことになります。

ただ、せっかく紙面を割いて書くわけですから、やはり家族に相続や後始末で面倒をかけないための情報を集中的に書くことが望ましいです。
そこで、一つひとつの要素を掘り下げて考えてみましょう。

本人に関する情報

  • 氏名
  • 生年月日
  • 血液型
  • 現住所/本籍地
  • 住民票コードやマイナンバー

自分史

  • 学歴/職歴
  • 結婚に関すること(結婚記念日など)
  • 子どもに関すること(誕生日や思い出のイベントなど)
  • 特技/趣味など

自分に関係した人物の情報

  • 家族/親族で親しい人
  • 疎遠だが親類である人
  • 問題があって連絡を取っていない人(間違って連絡しないために)
  • 友人/職場関係者の情報
  • 弁護士や税理士の情報など

財産に関する情報

  • 預貯金に関すること(口座番号)
  • 公共料金支払いについて(水道、携帯、ガスなど自動引き落としになっているもの)
  • 不動産情報(マイホームや投資用物件)
  • クレジットカードに関する情報(契約解除のため)
  • 基礎年金番号
  • 保険など金融商品(有価証券も含む)
  • 借金(内容によっては財産放棄も視野に入れる)

介護、医療に関する情報

  • 介護施設や医療施設の希望条件(痴ほう等で自分の意思が亡くなった場合に備えて)
  • 費用のねん出について
  • 後見人に関する情報
  • 延命処置/臓器提供に関する情報
  • かかりつけの医者の情報など

その他、お墓や葬儀について具体的な希望があれば、ノートに書き記しておくとよいでしょう。

遺言書がらみの問題をまとめる

遺産相続についてもっとも大事な事項は、遺言書に関することです。
遺産相続を円滑にし、故人である自分の意思をきちんと伝えるためにも、定められた形式にのっとって確実に作成しましょう。

遺言書にまとめておく必要がある情報は、簡単に言うと「財産を誰に・どのように渡すのか」に関してです。

ここでの財産には、資産だけでなく借金も含まれていて、さらに金額によっては相続税もかかることから、将来的にトラブルを引き起こさない内容にまとめなければなりません。

遺言書の種類を知っておく

遺言書に法的効力を持たせるためには、法律で定められた形で作成する必要があります。
正式な遺言書の形式としては「普通方式」と「特別方式」という2種類が設けられており、特別方式は急な命の危機が迫った場合などに使われる方式のため、基本的に普通方式が終活では該当します。

以下に、普通方式を選んだ場合の遺言の種類についてお伝えします。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、直筆で遺言書を作成する方式です。
手書きでなければならず、Word・テキストデータでの作成は無効とされます。
※(ただし、財産目録はパソコン作成が認められています)

フォーマットがきちんと定められており、それとは異なる形式で書いてしまうと、残念ながら遺言として認められません。
また、音声の録音は認められないため、この点にも注意が必要です。

公正証書遺言

公証役場にいる「公証人」によって作成され、保管される遺言書です。

遺言としてはもっとも安全な方式で、証人2人を立てた上で、法務大臣に任免された公正証書の作成者が公証人として遺言書を書いてくれるので、法的な効果が担保されています。

また、公正証書遺言は公証役場に保管されるため、紛失・破棄の心配もありません。
デメリットとしては、作成にあたり費用が発生すること・公証役場に行って自分の意思を伝える手間がかかることなどがあげられます。

秘密証書遺言

あまり使われない方式ですが、こちらも公証人・証人2人を立てて遺言書を証明してもらう形の遺言です。
こちらを使うと、公証人・証人・相続人も含め、遺言の内容を本人以外は確認できないようになっているため、自分の死後まで確実に秘密を守り通せます。

ただ、あまりに秘密裏な方法なので、結局誰も遺言の本当の内容を知らずに終わってしまう可能性があり、そういった理由からほとんど使われていないというのが現状です。

お墓に関することを決める

終活で忘れてはいけないのは、自分自身の埋葬方法について決めておくことです。
エンディングノートに書き加えてもよく、最終的にお墓はどうするのか、費用はどこから出すのかなどを伝えておきます。

初めて自家でお墓を建てる場合は、墓地の種類や宗派についても触れておかないと、遺族が混乱するリスクがあります。
設備や費用面も含め、お墓に関することは一通り遺族に伝えられる準備を整えておきましょう。

この記事のまとめ

終活をするのとしないのとでは、人生の充実度が変わってきます。
実際に始めてみると面倒なことも多いですが、書き綴った分だけ遺族に想いを伝えることができます。

思い立ったが吉日という言葉もありますから、まずは自分が必要性を感じた段階で、できる範囲から情報をまとめてみましょう。
自分の過去・現在と向き合うことで、死を迎え入れる心境に近づけるはずです。

  • 公開日:2020.11.16

テーマ:終活・準備

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