意外と知ってるようでわからない続柄
正しい読み方や呼び方など間柄の基本をおさらい
家族・親族が亡くなった時、意外と忘れがちなのが「続柄」です。
毎年の年末調整など、決まったタイミングで書いている続柄以外、聞かれてもすぐに思い浮かばないことは珍しくありません。
家系図をこまめに書き記しているなど一部の場合を除き、続柄を普段から意識して暮らすことはないため、家族が亡くなってから「あれ?」となってしまうのは仕方ないことなのかもしれません。
ただ、申請書類などは正しく書かなければ受理されないため、自分から見て誰をどう呼ぶのか、ある程度の人間関係は把握しておいた方がよいでしょう。
今回は、急に聞かれるとなかなか頭に浮かばない、続柄の読み方・呼び方といった、間柄に関する基本事項をご紹介します。
続柄と書いて何と読む?
そもそも、続柄という漢字をどう読むかという点から、すでに間違っている人が多いという現実があります。
もっとも、これは間違えた側が悪いというよりも、時代の流れとともに読みやすい方へとシフトした結果と言えそうです。
正しくは「つづきがら」だが……
続柄という漢字は「つづきがら」と読むのが本来の読み方です。
しかし、多くの人は「ぞくがら」と読んでいますし、市役所などの担当者でも「つづきがら」という読み方をしないケースもあります。
もっとも、市役所職員の場合は、来訪者が分かりやすいように読んでいるだけで、実際には正しい読み方を知っているものと推察されます。
それぐらい「ぞくがら」という読み方は一般的になっているので、どちらの読み方をしたとしても間違いというわけではありません。
親切な担当の方の場合、つづきがら、またぞくがらと言った方がわかりやすいかもしらませんといった感じで両方を言う方もいます。
続柄とは、自分もしくは相手から見た誰かの関係を指す
続柄とは、主に親族関係の間柄のことを言い、血縁関係・婚姻関係に伴う親族が該当します。
例えば、親の兄弟姉妹の子どもがいたら、それは自分にとって「いとこ」の関係です。
続柄が分かりにくいのは、誰から呼ばれるのかによって名称が変わる点で、自分から呼ぶ場合と相手から呼ぶ場合とで関係性が変わります。
夫婦を例に取ると、夫から見れば自分の母親は「母」にあたりますが、同じ人を妻の立場から呼ぶ場合は「夫の母(義母)」となり、同じ人を表現するのにやや違う呼び方をします。
これが、続柄を分かりにくくしている大きなポイントで、続柄の名称だけでは、誰を指しているのか明確に判断できない場面も多々あり、いつでも「誰が誰を呼んでいるのか」について意識しなければなりません。
例えば、「義母」と書かれた場合、夫から見れば妻の母に当たりますが、妻から見れば夫の母にあたるため、続柄だけでは誰のことかが明確にわからない場面が多くあります。
そのため、書類を作成する際、自分から見た続柄なのか・第三者から見た続柄なのかを間違えて書いてしまうと、妻のことを聞かれているのに「本人」と書いてしまうなど、全く意味の分からないものになってしまいます。
しかし、誰から始まる関係なのか、という点で仕分けをすれば、そこまで呼び方に迷うことはありません。
続柄を必要とする場面では、必ず「誰から見た関係」なのかを意識することが大切です。
将来的に変化する可能性がある概念
続柄は、人間が社会的生活を営むために必要な概念の一つです。
特に、家族関係が現代よりも重視されていた時代には、血族間の結びつきは非常に強いものでした。
しかし、現代では家族の絆が希薄化する反面、他人であっても心が通い合う関係を築き、複数人が一緒に暮らしているケースも珍しくなくなってきました。
この関係性は、続柄で言えば「友人」という扱いになるのでしょうが、そのうちもっと深い関係を表す言葉が生まれるかもしれません。
続柄の基本的な呼び方
続いては、続柄の基本的な呼び方についてご紹介します。
それぞれの立場から見た場合にどう呼ぶのかについて分けているため、自分から見るのか第三者から見るのかなど、説明を求められている立場に応じて確認しましょう。
自分から見た場合の家族・親族関係
まずは、自分から見た場合の家族・親族関係の呼び方です。
違う人でも同じように呼ぶ場合もあれば、同じ人を違う呼び方で呼ぶ場合もありますから、混同しないよう注意が必要です。
本人
自分自身を示す続柄です。
「世帯主の続柄」と書かれている枠に自分が世帯主として書く場合や、「あなたとの続柄」に自分のことを書く場合などに使います。
電話では「ご本人様ですか?」などと確認されます。
世帯主
こちらも自分自身を示す続柄です。
「世帯主の続柄」につき、自分が世帯主ならこのような書き方でも問題ありません。
配偶者
こちらは結婚した相手を指す続柄ですから、「夫」もしくは「妻」で問題ありません。
父・母(継父・継母)
自分の父や母のことで、こちらはそのまま書いて問題ありません。
少々ややこしいのが継父(ままちち)・継母(ままはは)で、こちらは死別後に新しい父もしくは母になった人のことを指します。
ちなみに、この関係性は相続問題で重要なため、自分がどちらかの連れ子である場合はトラブルが発生する場合があります。
具体的には、実の母が亡くなり遺産を継父が継承した場合、その継父の実子にしか継承権がないケースが考えられます。
養子縁組・遺言書などを使い、人間関係に応じた正しい相続ができるよう、弁護士に相談するなどして準備しましょう。
祖父母
祖父母とは、父や母のお父さん・お母さんのことです。
よって、父方と母方で祖父母がいることになりますから、ただ祖父・祖母と書いても関係性が分かりません。
正しくは「父の父(父方の祖父)」・「父の母(父方の祖母)」・「母の父(母方の祖父)」・「母の母(母方の祖母)」が該当します。
兄弟姉妹
兄弟姉妹について書く場合、その順序は気にしなくて問題ありません。
兄が何人いても「兄」・弟が何人いても「弟」・姉が何人いても「姉」・妹が何人いても「妹」と、自分の立場から見てどうなのかを書くだけです。
長女・次女と言った書き方は求められないので、相手が自分から見て「年齢が上下どちらに離れているのか」を書けば問題ないと考えておきましょう。
叔父・叔母
父の兄弟姉妹・母の兄弟姉妹が、叔父・叔母の関係性となります。
こちらも、父方なのか母方なのかによって、若干表現が変わります。
それぞれ、「父の兄もしくは弟(父方の叔父)」・「父の姉もしくは妹(父方の叔母)」・「母の兄もしくは弟(母方の叔父)」・「母の姉もしくは妹(母方の叔母)」となります。
おい(甥)・めい(姪)
いわゆるおいっ子・めいっ子のことで、自分の兄弟姉妹の子どもが該当します。
それぞれ「兄もしくは弟の子(おい)」・「姉もしくは妹の子(めい)」になります。
いとこ(従兄弟)
父母の兄弟姉妹の子どもが「いとこ」になります。
ただ、こちらもいとこと書くだけでは関係性が詳しく分からないので、続柄で書く場合は「父の兄もしくは弟の子」・「父の姉もしくは妹の子」などと書きます。
あまり本人の立場から書くことはありませんが、母方なら「母の兄もしくは弟の子」・「母の姉もしくは妹の子」と書きます。
子ども
自分と妻との間に生まれた子どものことは、続柄として「子」と表現します。
こちらも、兄弟姉妹の順序にかかわらず、一通り「子」で構いません。
子どもが結婚した場合、その相手方は「子の夫(娘の配偶者)」・「子の妻(息子の配偶者)」となり、子どもに子どもができれば「孫」となります。
孫
子どもの子どもが孫にあたるので、こちらは「子の子(孫)」という素直な表現になります。
孫に子ができれば「孫の子(曾孫)」・曾孫に子ができれば「曾孫の子(玄孫・やしゃご)」などとなります。
配偶者目線から見た場合の家族・親族関係
配偶者目線で相手方の家族を見る場合、直接的に相続関係が生まれるわけではないことから、そこまで細かく覚えておく必要はありません。
特に親しい関係になることが想定される続柄は、概ね以下のようになります。
- 夫もしくは妻→「夫もしくは妻(配偶者)」
- 夫もしくは妻の父→「義父(ぎふ)」
- 夫もしくは妻の母→「義母(ぎぼ)」
- 夫もしくは妻の兄→「義兄(ぎけい)」
- 夫もしくは妻の弟→「義弟(ぎてい)」
- 夫もしくは妻の姉→「義姉(ぎし)」
- 夫もしくは妻の妹→「義妹(ぎまい)」
その他は、関係性に応じて「父の父」・「母の母」など、ある続柄から数えた関係性の違いを「の」でつないでいけば、続柄に関しては問題ないものと考えてよいでしょう。
その他の関係
現代では、戸籍上の関係に縛られない事実婚など、新しい人間関係を表現する続柄に悩む人も増えてきています。
かつては血縁関係が社会的に信用されるための条件となっていましたが、現代において「家」の関係はそれほど重視されない傾向が見られ、事実婚などを選ぶカップルも増えてきています。
続いては、比較的新しい関係・かつては複雑な関係と言われていた続柄について、いくつかご紹介します。
内縁の夫や妻
いわゆる事実婚を選んだ場合の方法で、それぞれ続柄は「夫(未届)・未届の夫」・「妻(未届)・未届の妻」という表現になります。
子どもがいる場合、それぞれの立場から「未届の夫の子・未届の妻の子」という表現をします。
連れ子
再婚した場合など、連れ子をどう続柄として表現するのか、悩んでしまうかもしれません。
こちらは、養子縁組をしていれば「子」で問題ありませんが、縁組していないなら「夫の子・妻の子」という表現になります。
きちんとしておかないと、こちらは相続問題につながるため、縁組もしくは遺言などで相続の割合を決めておくことをおすすめします。
はとこなど遠い親戚・表向きには言えない関係
婚姻状態にある中で、訳あって他の異性と内縁関係を続けている場合などは、「未届」の続柄が使えません。
また、親族ではあっても相続には直接関わらないため、疎遠になった関係もあるでしょう。
こういった関係性を示す続柄は「縁故者」と呼ばれ、親族では「はとこ」などが該当します。
あくまでも人間関係を伝えるための続柄に過ぎませんが、関係が深い対象者がいる場合は、念のため覚えておきましょう。
同居人・友人
ルームシェアなどを行っている場合、その相手は「同居人」という続柄になります。
それよりもやや深い関係を表す続柄としては「友人」があり、こちらは住民票取得時の代理人として申請する場合などに用いられます。
「知人」という続柄でも公的書類には申請できますが、信用度の面で身元保証人としては弱いと判断される場合があります。
この記事のまとめ
以上、主な続柄の読み方・呼び方・間柄についてお伝えしてきました。
続柄を必要とする場面は諸々ありますが、自分や相手から見てどういう関係にあるのかをイメージしながら考えれば、それほど悩まず理解できるはずです。
公的書類や契約書など、続柄の記載や説明を求められる場面は意外と多いので、自分と親しい間柄の人については続柄を把握しておくことをおすすめします。