終活で知っておきたい「休眠預金等活用法」
どういう特徴や注意点があるのか解説します。

日々の暮らしの中で、預金通帳を作る機会は意外と多いものです。
貯蓄用・給与振込用・各種支払用など、複数の用途に合わせて使い分けるためです。
しかし、生活環境や職場の変化などによって、使用する口座が都度変わるケースも少なくなりません。通帳を解約する時間がなく、そのまま使われなくなった通帳を持ち続けている人は多いはずです。
このような通帳がたくさんあると、将来的に「休眠預金等活用法」の適用対象になってしまうおそれがあります。
この記事では、2018年1月から施行されている休眠預金等活用法について、その特徴と注意点をご紹介します。
自宅で眠っている「休眠預金」に注意しよう
休眠預金等活用法は、かんたんに説明すると、長い間使われないまま残っている預金を社会のために使うことを認めるための法律です。
直接的に終活に関係する話ではないものの、知らないままでいると損をするおそれがあるため、まずは休眠預金について詳しく知っておきましょう。
そもそも「休眠預金」って何?
休眠預金とは、銀行や信用金庫などの金融機関にお金を預け入れたまま、長い時間が過ぎても入出金などの取引が行われず、金融機関から預金者に連絡しても回答がなくなった状態の口座のことです。
名前の印象から、何となくイメージはつかめるものと思いますが、要するに取引のないまま放っておかれた口座で、金融機関からの問い合わせに対して名義人からの回答がないケースが該当します。
他の言い方としては、休眠口座・睡眠預金などの呼び名があり、いずれも預金口座を名義人が利用していない・あるいは認知していないものが該当します。
休眠預金等活用法が施行されるまでは、そういった預金の有効な活用法を検討できないまま、使われない口座だけが残っている状況が続いていました。
内閣府・金融庁が発表した資料によると、2014~2016年の段階で、休眠預金等は払戻額を差し引いても毎年700億円にのぼると説明されています。
こういったお金が使われないまま残っていく状況を懸念して、休眠預金等活用法は立案・施行されました。
なお、預金等に該当するものは以下の通りです。
- 普通/通常預貯金
- 定期預貯金
- 当座預貯金
- 別段預貯金
- 貯蓄預貯金
- 定期積金
- 相互掛金
- 金銭信託(元本補填のもの)
- 金融債(保護預かりのもの)
上記の中で、原則として「2009年1月以降に最後の異動があった預金等」が対象となります。
休眠預金等活用法はどんなことを認める法律なのか
休眠預金等活用法は、休眠預金等を「社会のために広く活用する」ことを認めるために施行されました。法律によって、手つかずのまま残された多額の預金を、社会問題解決のために利用することが認められています。
具体的には、国や地方公共団体が対応しにくい諸問題について、その解決を図ることを目的として民間の団体が行う「公益に資する活動」に活用することを目的としています。
分かりやすく言うと、NPOなどの活動を応援するために、休眠預金等を使えるようにした法律です。
ただ、どのような活動であっても認められるわけではなく、以下の活動(民間公益活動)について認められます。
- 子供及び若者の支援に係る活動
- 日常生活または社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動
- 地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動 ※(地域活性化の支援)
放っておくことで発生するリスク
休眠預金を放っておくことで問題となるのは、本来は自分が預金していたお金が、いつの間にか社会貢献活動に使われるリスクがあることです。
休眠預金等は、主に金融機関の利用者の預金を守る役割を担う認可法人「預金保険機構」に移管され、段階を踏んで民間公益活動を行う団体に交付されます。
金融庁の「休眠預金等活用法Q&A」によると、仮に自分の口座が休眠預金等として移管されたとしても、お金を引き出すことは可能と説明されています。
しかし、将来的に法律が改正され、すべての休眠預金が引き出せなくなってしまう可能性はゼロではありません。
実際に引き出そうとした場合、金融機関ごとに手続きは異なるものの、ATMではなく窓口での対応となることが予想されるため、余計な手間がかかります。
自分が亡くなった後のことを考えると、さらに手間が増えることは容易に想像できますから、できるだけ早めに休眠預金等を把握して、解約及び取引を行うことが大切です。
いきなり移管が始まるわけではない
預金保険機構への移管は、条件に該当した段階ですぐに行われるわけではありません。一定の段階を経てから休眠口座等と認められるため、心当たりのある人は、金融機関からの連絡を注意してチェックすることが肝心です。
金融機関の側で公告・通知がある
移管の対象となる可能性がある預金がある場合、金融機関が公式サイトを使って、近く移管の対象となりうる預金等の最後の異動の日・預金保険機構への移管の期限などを公告します。
それを確認して、自分の口座に関する情報提供を希望した場合、該当預金は移管の対象外となります。
また、休眠預金に1万円以上の残高がある場合は、各金融機関から預金者あてに通知状もしくは電子メールが送られます。
この通知を問題なく受け取れた場合(預金者の登録情報に変更がないと確認できた場合)は、休眠預金とはみなされませんが、転居先不明などの理由で返送となった場合は移管の対象となります。
公告・通知は、取引等が最後にあってから9年が経過し、10年6ケ月を経過するまでの間に行われます。ちなみに、残高が1万円未満の場合は、特段連絡が来ることなく預金が移管の対象となってしまうため注意しましょう。
休眠預金を防止するための「異動」について
該当預金での取引が確認された場合、金融機関側が「利用者が今後も預貯金等を利用する意思を示した」ものと判断されます。
これを異動と言い、取引が異動と判断されるものであれば、その預金は休眠預金にカウントされません。
ただ、異動と認められる事由は主に2つの種類に区分されており、例えば単純に記帳だけを行ったとしても、金融機関によっては異動と認められないケースがあります。
全金融機関共通の異動事由
- 入出金 ※金融機関による利子の支払を除く
- 手形又は小切手の提示等による第三者からの支払請求 ※金融機関が把握できる場合に限る
- 公告された預金等に対する情報提供の求め
金融機関が行政庁の認可を受けて異動事由となるもの
- 預金者等による通帳や証書の発行、記帳、繰越
- 預金者等による残高照会
- 預金者等の申出による契約内容・顧客情報の変更
- 預金者等による口座を借入金返済に利用する旨の申出
- 預金者等による預金等に係る情報の受領
- 総合口座等に含まれる他の預金等の異動
ここで注目したいのは、直接入出金があった場合や、具体的な取引上のアクションがあった場合に限り、全金融機関共通の異動事由と認められる点です。
例えば、通帳を記帳しただけだった場合、その取引は異動事由とならないケースも考えられますから、各金融機関の異動の定義を公式サイトなどで確認しておきましょう。
休眠預金を作らない・残さないために
今の段階では、休眠預金等として移管されたからといって、深刻な問題が発生する可能性は低そうです。
しかし、何事も未来のことはどうなるか分からず、面倒な手続きがどんどん増えてしまったり、高い管理手数料が請求されてしまったりするおそれもあります。
終活という観点から考えると、そもそも休眠預金を作らない・残さない心がけが大切です。
以下に、具体的な対策のポイントをお伝えします。
口座の数は必要最低限に絞る
各家庭で必要な口座の数は異なるものの、自分たちで管理できない量の通帳を持っているのは問題です。多数の通帳を保有する前に、本当に必要な口座はどれなのか、通帳が1枚増える度に見直しをかけることをおすすめします。
日常生活において必要な口座の数は、その用途に応じて概ね3つ以下に抑えられます。具体的には、お金の出入りをメインに行う口座・貯蓄用の口座・投資などお金を増やすための口座が該当します。
それ以外の口座があるようなら放っておかず、どうしてその口座を作ったのか・今後も必要なものなのか、一度考える時間を作りましょう。
不要な口座はその都度解約する
子供の頃に作ってもらった通帳・合併などで現在は存在しなくなった通帳など、探せば意外と出てくるものです。
時期によっては、法律で規定されている口座の対象外となりますが、あったところでほとんど利用の機会がないのなら、その都度解約する習慣を作ることが大切です。
半年~1年以上取引がない口座があるなら、お金を貯めるなどの目的がない場合を除いて、お金をメインバンクに移動させる習慣を付けましょう。
転勤・転職の機会が多い人は、できるだけ全国に支店がある銀行を使い、動きを止めないようにするのも効果的です。
住所・姓名の変更時には変更届を
結婚して名字が変わった後、新しい口座を作って対応しているケースであれば、古い口座はそのままにせず名義変更・解約を検討しましょう。
引き続き使い続けたいなら、面倒かもしれませんが銀行に足を運び、所定の書類を用意して手続きが必要です。
上京して学生時代に使っていた都市銀行の口座などは、現在暮らしている地域に支店がないようであれば、一度解約して後々必要になった際に作り直しましょう。
どのようなケースであっても、使わない口座を放っておかないことが大切です。
この記事のまとめ

休眠預金等活用法は、休眠預金等を国が自由に使うことを目的とした法律ではなく、あくまでも世の中を良くするために立案・施行された法律です。
しかし、終活という観点から考えると、自分や家族の預金が将来失われてしまう可能性がありますから、できるだけ早い段階で対処することが肝心です。
金融機関側も、条件に該当する預金をすぐに休眠預金等として取り扱うわけではなく、事前に公告・通知を行ってくれます。
心当たりのある口座・自分も忘れているような口座があるかもしれない人は、一度タンスの中をのぞいた後で、金融機関に問い合わせることをおすすめします。





