自宅や自然だけでなく海や宇宙にまで?
いまどきの散骨の種類や特徴と料金について

  • 2019.08.09
  • 2020.04.17

お墓

日本においては、「死者はお墓に眠っている」と言われ、長らくそのような考え方が主流となっていました。
お骨を拾って骨壺に遺骨を入れたら、お墓に埋蔵するというのが、日本に古来から伝わる埋葬の流れでした。

しかし、現代においてお墓を建てられる場所を探すことは、かなり難しくなってきています。
都市圏を中心に土地は高騰し、そもそも土地に空き自体がないというケースも珍しくありません。

また、そういった人の次善策として考えられていた納骨堂も、空きが減る傾向にあります。
さらには、せっかくお墓を建てたり納骨堂を借りたりしても、お骨を守ってくれる家族がいないという状況さえ考えられるようになりました。

そのような中で、次第に人気を集めているのが「散骨」という供養の形態です。
故・石原裕次郎さんをはじめ、芸能人の方が散骨したことをきっかけに、じわじわと一般市民の間にも認知されています。

現代では、海や山への散骨だけでなく、宇宙に骨を飛ばすというエキセントリックな散骨まで考えられるようになりました。
今回は、そんな現代の散骨について、種類や特徴をご紹介していきます。

海洋散骨

散骨の中では比較的一般的な供養で、一口に海洋散骨といっても複数の方法があります。
実際に遺族が船に乗る方法と、業者に完全委託する方法とがあり、それぞれで金額の相場なども違います。

他の遺族と合同で散骨する

自分たちだけでなく、複数の家族が一隻に乗って沖合まで向かいます。
そして、一緒に海に散骨するという流れになります。

価格帯の平均は10万円~15万円前後と言われており、船を借りるお金や献花・散骨証明書といったものも費用の中に含まれています。
散骨するにあたって、家族だけで行う必要はないと考えている人向けのプランです。

平均すると2人1組で乗船することが多く、人員やプランによっては乗船する人を増やすことも可能です。
ただし、日程は他の家族や業者の都合に応じて決まるため、散骨する場所を遺族の希望通りにできないというリスクがあります。

家族だけで船をチャーターする個別散骨

亡くなった人の家族だけで船に乗り、家族の意思だけで散骨するのが個別散骨です。
時間をかけてお別れでき、できる限り日程や場所の融通を利かせてくれる点がメリットです。

予算平均は20万円前後で、乗船できる家族・親類の数も合同散骨よりは多いです。

20万円と聞くと多少高いと感じる人もいるかもしれませんが、船舶費用はもちろん、備品や献花・献酒といったお供え物や、乗船客へのドリンクサービスなどが付いていますから、プライベートの感覚に近い状態でお別れを済ませられます。

自分で海に出向けない場合は業者に散骨を委託する

遺族としてはつらい選択かもしれませんが、体調の問題やどうしても海に出向けない都合が生じた場合に、自分の代わりに散骨を業者に代行してもらうという方法もあります。

平均的な費用は5万円ほどで、船舶費用・散骨証明書も含まれています。
実際に散骨した様子を写真に撮って残してくれるサービスもありますから、安心して散骨を任せられますし、故人との思い出として写真を取っておくこともできます。

山岳散骨

本来の自然の営みに近い散骨で、遺骨を山で散骨するという方法が、山岳散骨です。
お墓を建てることも、広い意味では自然に埋葬するニュアンスに近いものの、骨は残るため山岳散骨とは違います。

人間の営みとしてはかなり古い歴史があるものの、現代では海洋散骨同様、いくつかのパターンに分かれています。

里山への散骨葬

海洋散骨でいうところの、家族が集まって散骨をするイメージの山岳散骨です。
予算としては、遺骨を粉末化する費用に3万円程度、セレモニーや散骨証明書等の各種費用に20万円程度となっています。

遺骨を粉末化する理由ですが、骨を散骨する際にはそれが人目から見て「骨」だと識別されないよう、2mm以下に粉砕しなければならないからです。
仮に第三者に骨の形状が発見されてしまうと、その段階で死体遺棄の可能性を疑われるため、最悪事件扱いされてしまいます。

また、そのような事態が生じた場合、周辺地域で暮らしている人々に不快な思いをさせたり不安を与えたりするリスクがあります。
この点は、事業者によって自主規制がかけられている分野でもあり、山は特にナイーブになります。

立ち合いできる家族の数は、山に登ることもあって7~8人と少数です。
お別れの儀式をしたら、散骨の許可を得ている山で散骨を行います。

登山が苦手な人は業者に委託する

山岳散骨は、山際で行うわけではなく、許可を得られたテリトリーまで足を運んでから散骨を行います。
そのため、場合によってはそれなりの高さまで登山する必要があります。

もちろん、家族が自分自身で散骨したいという気持ちを持つのは自然なことですが、山は本来とても厳しい自然環境で、人里とは違いちょっとした油断が命取りになります。

そういった事情から、専門の業者に散骨を依頼するケースも増えてきているのです。
国内における費用としては概ね5万円前後が相場ですが、山によって金額も変わってくることから、業者にチェックを入れてみましょう。

山岳散骨は自治体に散骨許可を取る必要がある

山岳散骨を行うにあたり、散骨は法律によって現状は規制されていないものとされています。

遺骨を勝手に自分の好きな場所に捨てる行為は【死体損壊罪・遺棄罪】に該当するものの、遺骨を粉砕する行為は法的に規制がかかっておらず、違法とも適法とも言えない行為なのです。

しかし、自然葬を国が取り締まる流れはできていないため、手続きを踏まえつつ事件性のない形で散骨を行う分には、特に問題としないものとされているのが現状です。

ただし、自治体によっては条例で明確に規制をかけているケースもあり、そのような場合は注意が必要です。
具体的には、農業が盛んな地域などでは、散骨による健康被害・農作物の汚染防止を防ぐために条例を設けているケースが多いようです。

北海道岩見沢市を例に取ると、散骨にあたっては学校・公園などのように子どもに害が及ぶかもしれない地域は避ける、水道施設から500m以上離れている場所を選ぶなどといった条件が課せられています。

宇宙散骨

散骨供養の中では新しい部類の散骨方法で、そもそも散骨と言えるのかどうかも微妙なところですが、宇宙散骨というものも存在します。

天高く手の届かないところまで遺骨を打ち上げ、空を見上げる度に亡くなった家族を思い出せるというのは、どことなくロマンが感じられる散骨方法です。

散骨の手段もさまざまで、宇宙に打ち上げるというスケールの大きさから、価格帯もそれなりにするものが多いようです。

安価に飛ばせるバルーンによる散骨

宇宙散骨の中でも、比較的手ごろな価格でできるのが、バルーンによる散骨です。
環境に配慮した自然分解される素材のバルーンに遺灰を入れて、ガスを入れたらバルーンを天に放つという段取りです。

バルーンを離すタイミングは黙とうが終了した後で、遺族がお別れの言葉を述べてから、全員でバルーンを空へと送ります。
理論上はおよそ2時間後に成層圏付近(地上30~35km)に到達し、その段階で宇宙に散骨されます。

予算は20万円~25万円が平均的な相場で、一人あたりの遺骨で考えた場合の金額です。
注意点としては、実際に行う場合、20m四方の広さ・電柱や高い建物がない場所といった制限が付きます。

ロケット散骨で宇宙散歩

故人の遺灰をカプセルに入れて、それをロケットで実際に宇宙まで飛ばす散骨方法です。
バルーン層との違いとしては、遺灰が一度宇宙空間にまで届き、実際に宇宙を周遊するという違いがあります。

ロケットなどを使って宇宙に遺灰を飛ばす散骨は、意外にも日本でかなりの人気があり、日本人のほとんどが火葬するという文化が少なからず関係しているものと思われます。

遺灰を使った供養の歴史も古く、アクセサリーにしたり樹木の下に埋めたりと、遺灰を遺族たちで分けて保管することを想定した幅広いアレンジが考えられています。

ロケットを使うと聞くと、やはりそれ相応の費用がかかると思われるかもしれません。
しかし、ふたを開けてみれば意外と手ごろな値段で、およそ30万円ほどでロケット散骨が可能です。

生前宇宙に旅をしたいと話していた方が亡くなった場合は、一度検討してみる価値はあると思います。

月面に遺灰を安置

散骨というニュアンスからは若干離れるものの、宇宙散骨の一つとして注目を集めているのが、月面に遺灰を安置するという供養です。
全ての遺灰を届けることはできないものの、一部を専用のカプセルに入れて、月着陸船の内部に搭載して月面に送るという流れです。

銀河鉄道999で有名な松本零士氏も月面への夢を抱いている一人で、愛猫と一緒に遺灰を安置することを決めていると言います。
ただし、予算は高額になり、手ごろなタイプのものでも1,200,000円という金額で、比較的大規模な葬儀と同じくらいのお金がかかります。

ちなみに、ロケットを使って月まで遺灰を飛ばすというプランもあり、そちらは遺灰の重さによって料金が変わります。
最大で700万円以上かかるものもあり、かなり夢のあるプランと言えそうです。

この記事のまとめ

現代で行われている散骨は昔と違って多種多様になり、それらの種類と、それぞれの特徴や料金の目安について紹介してみました。

海や山に散骨するだけでなく、宇宙にまで散骨の場を広げたことは、現代人の発想力の豊かさを感じさせます。
かつては夢だったことが現実になったことによって、古来より伝えられてきた仏教的価値観・死生観は、これからも少しずつ変化していくことでしょう。

しかし、死者はお墓に入るものという概念が薄れ、供養の形態が変わっても、遺族が故人を想う気持ちは変わりません。
大切な人のためにも、納得のいく散骨方法を選んでくださいね。

  • 公開日:2019.08.09
  • 更新日:2020.04.17

テーマ:お墓

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