通夜振る舞いは参加すべき?断っても良い?
断り方やお開き時の対応など参加者側の基本とマナー
お通夜が終わってから、通夜振る舞いに誘われることがあった場合、参列者は原則として参加すべきなのでしょうか。
京都の「ぶぶ漬け」ではありませんが、単なる社交辞令として誘われただけで、実際には断るべきものなのではないか、と考えている人もいるかもしれません。
しかし、通夜振る舞いは遺族側のせめてもの感謝の気持ちを形にした仏事の一つですから、誘われた以上は礼節を持って参加したいものです。
この記事では、通夜振る舞いに参加する条件や断り方・お開きに関する説明など、参加者側の基本的なマナーについてご紹介します。
そもそも、自分が通夜振る舞いに参加してよいのか分からない
通夜振る舞いを行う家は少なくなってきており、自分が参加してもよいかどうか分からず、戸惑ってしまうケースも少なくありません。
ただ、原則として通夜振る舞いは故人との関係性を問わず参加できる仏事のため、招待されたのならできるだけ参加しましょう。
通夜振る舞いは、基本的に参列者なら誰でも参加してよい
通夜振る舞いは、遺族側の「おもてなし」ですから、参列者側はそれを受ける立場です。
よって、遺族と一緒に故人を偲ぶことが、供養の一環となります。
まして、現代では諸々の事情から通夜振る舞いを控えることが多いため、遺族と参列者とが広く一堂に会して話をすることができる機会は、この機を逃したらほとんどありません。
弔問客に対するお清めの意味合いもありますから、参加に対して後ろめたさを感じることなく参加して構いません。
地域によって誰が参加するのかに違いがある
参加するにあたり、通夜振る舞いは地域によって参加対象者に違いがあることを知りましょう。
原則として参加してよい仏事であっても、対象者でない人物が場にいると、やはり不自然に感じられてしまうものです。
一般的に、関東における通夜振る舞いでは、会社・学校など所属する組織の関係者や、近所に住んでいる人なども含め、広く参列者を通夜振る舞いに招待します。
よって、かなりの大人数になることが予想されますので、参加人数が多い場合は早めに切り上げるようにした方が賢明です。
これに対して関西では、逆に遺族・親族のみの集まりが中心になってくるため、仮に参列者が誘われたとしても、それは故人・遺族と親しい関係であることが条件になってきます。
このように、地域性を鑑みて、参列するかどうかを判断することが大切です。
参加する場合は礼節を保つこと
通夜振る舞いに参加することを決めたら、食事とお酒をいただくことになりますが、あくまでも部外者であることを意識して、礼節を保ち行動することを心がけましょう。
特に、車でやって来た場合、言うまでもなく飲酒はご法度ですから、事情を説明して口をつけないよう徹底します。
もし、同じ市内に住んでいて、運転代行を依頼すれば帰れるようなら、あらかじめ予約を入れておくことをおすすめします。
遅くなればなるほど、予約がどんどん入ってしまうため、思い通りの時間に帰れなくなるおそれがあるからです。
また、酒の席は誰しも羽目を外しがちですが、通夜振る舞いは酒席とはいえ故人を偲ぶ場ですから、場を乱すような行為はいけません。
気持ちが大きくなってしまうことを自覚しているなら、お酒は控え、サイダーやお茶などをいただくことをおすすめします。
実際に参加する場合に気を付けたいこと
喪主や遺族から、通夜振る舞いに招かれたら、まずは一口食事をいただくつもりで参加します。
ただ、本当に一口だけで話が終わることはなく、大抵の場合は昔話に花が咲くものです。
続いては、実際に通夜振る舞いの席で話をする際に、喪主や遺族・周囲の人に迷惑をかけない・不快感を与えない話し方についてご紹介します。
一般的な飲み会とは異なるマナーもありますから、対応を誤らないよう、最低でも以下の点は頭に入れておきましょう。
主に故人の話が中心になる
会社での飲み会など、一般的な飲み会が取り留めのない話で終わるのに対し、通夜振る舞いの話題は故人のことがほとんどです。
そのため、故人についてあまり知らない人が参加しても、話に花が咲くことはないため、できるだけ早々に席を離れましょう。
逆に、故人と少なからず縁があった場合は、色々な話をすると遺族や親族が喜びます。
「あの人にそんな一面があったのか」と、驚いてくれることもあるでしょう。
これからのことについて話をしたい気持ちも分かりますが、それは遺族・親族の中で決めることであって、部外者から話をするべきではありません。
どんな会話の中でも、会話の主役になるのは故人ですから、それを忘れないように話を組み立てましょう。
また、故人の話が大事だといっても、例えば故人の死因について詳しく聞こうとしたり、臨終間際はどのような様子だったのか確認したりするのは、悲しみを忘れようとする遺族の気持ちを踏みにじる行為です。
人によっては心底嫌な気持ちになるものですから、故人のことなら何でもOKという判断ではなく、あくまでも生前元気だった頃の話・故人のパーソナリティーがうかがえる話をしましょう。
基本的に大声・大笑いはNG
お通夜の席は、故人を偲ぶ時間ですから、通夜振る舞いでは酒食の中でも我を忘れない心構えが大切です。
時折、遺族・親族の中で笑い声が聞こえることもありますが、それは古くから同じ時間を共有してきた間柄だから許されるのであり、参列者が同じように振る舞うのはマナー違反です。
斎場で通夜振る舞いが行われているなら、当日同じようにお通夜を行っている他家のことも鑑みて、できるだけ静かな式にしたいものです。
また、通夜振る舞いの席で大泣きすることも避けたいところです。
遺族が気丈に振る舞っている中で、参列者が涙を流してしまうと、何かただならぬ関係だったのかと邪推される可能性があります。
もちろん、遠方から駆け付けたばかりで、遺族の顔を見て泣き出してしまうようなら、それは遺族の側も受け入れてくれるはずです。
自分のことより遺族のことを考えて
会話が弾んでくると、遺族を元気づけようとする気持ちが前に出てしまい、どうしても自分の経験や故人とのエピソードについて話すことが多くなりがちです。
しかし、少し踏み込んで考えると、できれば遺族の思いのたけを語ってもらった方が、遺族の気持ちも和らぐものと推察できます。
よく「人間の耳は2個・口は1個だから、人の話はよく聞くことが大事」などと言われますが、これは遺族と参列者との関係についても言えます。
遺族の側の辛さや疲れを軽減するためにも、積極的に耳を傾ける姿勢が大切です。
潔く場を離れる準備を
通夜振る舞いが終わる時間に明確な決まりはなく、概ね1~2時間というのが一つの基準です。
しかし、実際に参列者が場を離れる時間の基準は、30分が適当だと言われます。
遺族の側に引き留められるようなことがあったり、話が続いて場を離れられない状況になったりした場合を除いて、なるべくお開きの挨拶の前に離れることを意識しましょう。
どうしても通夜振る舞いに参加できない場合の礼儀
誘われた以上、礼儀として、通夜振る舞いは原則参加の方向で考えて問題ありません。
しかし、交通機関の関係であまり時間に余裕がない場合・今後の予定がある場合などは、通夜振る舞いをお断りしなければなりません。
通夜振る舞いに参加するのを断ること自体は、事情があれば問題のない行為です。
以下に、どうしても参加できない場合の対応方法をご紹介します。
やむを得ない事情があることを遺族に説明する
例えば、お通夜が終わってから、最終便の飛行機で発たなければならない状況だとしたら、斎場の立地によってはゆっくりできる余裕などないはずです。
通夜振る舞いに参加することで、今後の予定に大幅な問題が生じることが考えられるなら、それは正直に伝えた方がよいでしょう。
また、風邪などで体調がすぐれない場合などは、周囲に迷惑をかけるおそれがあります。
その場合も事情を伝えて、早めに身体を休めましょう。
誘われたなら、せめて一口だけでも箸をつける心が大切
どうしても急ぎで帰路に就かなければならない状況であっても、長らく顔を見ていない間柄なら、なかなか断り切れないこともあるでしょう。
その場合はありがたく食事をいただき、一口だけでも箸をつけた方が、遺族の感情を害しません。
一言誘われた以上は、相手の気持ちに応えるのがマナーです。
新たに参列者が会場にやって来るのを見計らって、静かに席を立つよう意識したいものです。
丁寧な対応として、後日手紙を送る方法もある
義務はありませんが、場の雰囲気もあって十分な対応ができなかったと悔やまれる場合は、後日お手紙を送って感謝の意を伝える方法もあります。
特に、遠方でなかなか遺族に会えないなら、折を見て一筆したためるのがよいでしょう。
公的には、お礼を送る立場にあたるのは「喪主側」であることから、受け取った側が戸惑わないように、便せんで近況報告・お詫びと感謝の意を伝えます。
参列者の中でも、ここまで丁寧に対応する人はごくわずかですから、遺族もきっと嬉しいはずです。
この記事のまとめ
通夜振る舞いは、地方によって参加する人の基準に違いこそありますが、誘われたなら原則「参加」でOKです。
ただし、あまり長居をせず、一口以上箸をつけたら、早々に退席するくらいのニュアンスで構いません。
遺族に望まれるようであれば、しばらくその場にとどまっても差し支えありませんが、できればお開きになる前に場を離れたいところです。
万一、何らかの事情で参加できなければ、丁寧にその理由を伝えて欠席しましょう。