送るタイミングや台紙の種類と選び方など、
正しい弔電の送り方のマナーと注意点について。

  • 2020.05.10

葬儀

訃報が届き、参列準備を進めようと思っていた矢先、どうしても避けられない用事に遭遇してしまうことがあります。
このような状況を迎えた際、弔電を送るかどうかを検討することになるでしょう。

葬儀の知らせを受けた以上、できるだけ早く出欠について決断しなければなりませんし、送る際に失礼のないタイミングを検討したいところです。
しかし、いざ弔電を送ろうとすると、台紙が数種類あることに戸惑いを覚えたり、慣れない言葉遣いに苦戦したりすることも珍しくありません。

この記事では、初めて弔電を送る場合を想定して、弔電を送るタイミング・選ぶべき台紙の種類・弔電に関するマナーや注意点などをご紹介します。
電報自体、使う場面が少ない通信手段のため、できるだけ間違いのないよう基本的な知識を身に着けておきましょう。

弔電を送るタイミングとは?

まずは、弔電をいつ送ったらよいのか、ベスト・ベターなタイミングについてご紹介します。
訃報は突然やって来るため、事情によってはスケジュール調整が必要になるかもしれませんから、訃報を聞いたらできるだけ早めに準備することが大切です。

訃報を聞いたらすぐに判断

電話で訃報を受けた場合、すぐにお通夜・葬儀の準備を進めます。
これと同じように、弔電も訃報を受けた段階で、送るかどうかを判断します。

おそらく、通常は電話でお通夜・葬儀の日時と会場について確認し、当日のスケジュールを押さえるはずです。
その時点で、ある程度参列できるかどうかの算段をつけなければなりません。

遠方の場合、まずは飛行機や新幹線などのチケット手配ができるかどうか・お通夜の日の天候がどうなのかを確認します。
そこで、天候が荒れるおそれがある・もしくはすでに荒れているような状況であれば、弔電を選んだ方が確実です。

それほど遠くない距離に住んでいる場合は、仕事の都合で出張しなければならない、体調不良で不特定多数が集まる場所に向かえないなどの理由が考えられます。

周囲に迷惑をかけてしまうことが想定される場合は、関係に応じて弔電を選ぶ必要があるでしょう。

最悪、お通夜の日までには弔電を送る

訃報を受け、参列できない線が濃厚なら、基本的にはすぐに弔電の準備を進めなければ間に合いません。
しかし、ギリギリまで日程調整をしていたり、前日に急に体調を崩してしまったりした場合などは、最悪「お通夜が始まる日」までに弔電を送りましょう。

タイミングによっては、お通夜に間に合う可能性がありますし、最悪でも告別式で弔電を披露する時期には間に合います。
弔電に限っては、やや焦り気味に準備を進めておいた方が確実です。

依頼に時間がかかることも想定しておく

弔電を急ぐのは、先に挙げたような物理的な理由もありますが、それ以外にも早めに準備した方がよい事情があります。
それは、弔電のみならず、電報という通信手段自体が、現代人にとって使用頻度の低いものであることが関係しています。

いざ弔電を送ろうと思っても、そもそもどのようにして弔電の準備をすればよいのか、どこに連絡すればよいのか、何の知識もなければ途方に暮れてしまうでしょう。

そのため、インターネットや電話帳などを使って色々と情報収集すると思いますが、慣れないことには時間がかかるものです。

一口に弔電と言っても、決めることはいくつもあり、送る文面にも工夫や注意が求められます。
そういった事情を鑑み、最終的に依頼する段階まで時間がかかることを想定しつつ、準備を前倒しで進めていくことが大切です。

弔電に使う台紙の種類と選び方

弔電は、単純に電報の文章をA4コピー紙に印刷して送るものではありません。
電報を扱う業者は、きちんとした台紙を用意しており、依頼者はその中から自分たちが欲しいと思う台紙を選ぶことになります。

台紙に加えて、線香などの付属品が付いてくるプランもありますから、遺族のニーズを察して商品を選ばなければなりません。
続いては、弔電用の台紙の種類・選び方について、基礎知識をご紹介します。

基本的には文面が大事

電報台紙・付属品に関する情報を詳しく調べる前に覚えておきたいのは、まずは故人をしのぶ「文面」が最優先する、という点です。
亡くなった故人や遺族の無念を察して、ほんの少しでも辛さを共有できるよう、心のこもった文章を考えることが大切です。

台紙や付属品に関する配慮はその後の話で合って、まずはどんな文面にするのかを決めるのが先です。

自らの悲しみだけを一方的に訴えるのではなく、遺族に向けてお悔み申し上げること・故人の冥福をお祈りすることが、弔電の本来の趣旨と覚えておきましょう。

高額な台紙・付属品は必要かどうか

弔電は、何よりも送る側の気持ちが大切ですから、付属品の有無や高額な台紙を選ぶことは、あくまでも付録に過ぎません。
しかし、いつしか人々の価値観も変わってきて、付属品や台紙の質で気持ちを量る人も増えてきました。

結論を言うと、台紙・付属品の有無は、故人や遺族との関係性によって変わってきます。
近しい親族・特に世話になった人に向けて送るのであれば、線香や漆器のお盆が付いたプランを選ぶと気持ちがより伝わりやすいはずです。

付属品を選ぶ場合、何より無難なのは線香で、お仏壇が自宅にあるなら必ず使う機会があります。
故人の位牌をお仏壇に祀る以上、お線香をあげる習慣は長らく続きますから、当座は線香がたくさんあっても全く困らないからです。

お花が好きな人が遺族の中にいるなら、プリザーブドフラワーが付属しているものや、お花の刺しゅうがされている台紙を選ぶと喜ぶかもしれません。
お盆なども、特段あって困るものではありませんし、質の良いものなら長く使うことができます。

もちろん、シンプルにメッセージを送るだけでも、遺族としては嬉しいはずです。
自分たちの心ばかりの気持ちを伝えるつもりで、付属品を選びましょう。

最終的には遺族側の事情を勘案する

弔電を送る場合、例えば家族葬・無宗教葬・直葬など、一般葬以外のケースでは注意が必要です。

小規模な葬儀や特別な葬儀では、香典や供物など一切を断っている家もあり、それを知らずに弔電を送ってしまうと、かえって負担をかけてしまうかもしれないからです。

とはいえ、弔電が届いただけなら、遺族としては後日お礼状を作って送るだけなので、香典などに比べると負担度は少ないでしょう。
あらかじめお断りがあった場合に限り、弔電を控えることを覚えておけば問題ありません。

弔電に関するマナー・注意点

弔電の種類・台紙の選び方を確認したところで、ここからは弔電に関する一般的なマナーや注意点について触れていきます。

今回は仏式を想定してまとめていますが、キリスト教・神道など仏教以外の宗教独特の注意点もありますから、故人の信仰にあまり詳しくない場合、遺族から連絡が来た際に確認するとよいでしょう。

司会が読みやすいよう情報を伝える

弔電は、お通夜・告別式の式中で読まれるため、一般葬の場合は司会を進行するスタッフが読むことになります。

身内や差出人と親しい人がたまたま司会をしている場合を除いて、司会担当者は弔電の差出人について何ら情報を持ち合わせていないはずですから、できるだけ分かりやすく電報の文面で伝えるようにします。

電報と聞くと「カネオクレタノム」や「サクラサク」のように、非常に短いフレーズが有名ですが、もちろん弔電ではそのような送り方をしません。
氏名はもちろん、フリガナ・学校・企業名や部署・団体名といった情報も、一緒に送るようにします。

特に、フリガナは名前の読みにくい人・あまり聞かない名前や名字の人は、意識して伝えるようにします。
インターネットを使えば、フォームに必要事項を入力すれば弔電の依頼が完了するため、それほど悩む必要はないでしょう。

ちなみに、連名の場合は目上から順に名前を並べていきますが、5名以上になる場合は読む側に手間をかけますから、「●●一同」のようにまとめてしまうと親切です。

間違って自宅に送らないように!

大抵の場合、業者側で確認されるため失敗することは少ないのですが、インターネットでフォームに入力する・メールで依頼するなどの方法を取った場合、間違って故人の自宅住所を書いて送ってしまうリスクがあります。

事前に斎場の住所や名前をチェックしていると思いますので、勢い余って誤った情報を伝えないよう、目視でしっかり確認しましょう。

遺族の側も動転していて、ひょっとしたら斎場を間違って覚えているかもしれません。
もし、近しい人で参列予定者がいるならそちらに電話して、一度確認しておくとよいでしょう。

宛名のチェックを忘れずに

弔電は、喪主あてに送るものですから、斎場で葬儀が行われる場合、宛名は「●●斎場気付 ●●様(喪主名)」とするのがスタンダードです。
もし、名前が分からないようであれば「●●様(故人名) ご遺族様」として、遺族宛に送ります。

弔電は、葬儀の主催者に対して送るものですから、故人の名前だけで送るのはマナー違反です。

また、葬儀場のスタッフも、喪主の名前は把握していても故人の名前は把握していないというケースが考えられ、受け取りがスムーズにいかない可能性があります。

喪主名は、必ず「フルネーム」で送るように注意しましょう。
これは、斎場で同じ苗字の方が複数人葬儀を行っているケースがあるためで、名字だけで送ってしまうと間違いが起こるかもしれないからです。

なお、社葬の場合は多少事情が異なり、主催者宛や葬儀責任者・部署宛に送ることになるでしょう。
こちらは特殊な例のため、あらかじめ宛先を案内状などで確認しておきましょう。

この記事のまとめ

弔電は古くからある習慣のため、ルールも比較的しっかり定まっています。
その反面、あまり頻繁に使う機会がない方法のため、知識を整理しておかないと、いざ必要になった段階で慌ててしまいます。

タイミング・台紙の種類・付属品・マナーなど、意外と気を配る点が多いため、依頼する前に条件をまとめておくことをおすすめします。
宛名や斎場の情報についてもしっかり確認し、送り主の情報は極力分かりやすくまとめましょう。

  • 公開日:2020.05.10

テーマ:葬儀

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