弔電をもらった場合、お礼は必要なの?
お返しの時期や基本的なマナーと注意点について
葬儀で喪主・遺族が参列者とやり取りする場面は多く、特に悩ましいのが香典返しなどの「お返し」に関する準備です。
しかし、弔電に関しては、どのようにお礼・お返しをすればよいのか、戸惑う人も少なくないようです。
そこで、この記事では「弔電をもらった場合のお礼・お返し」について、具体的な時期や基本的なマナー・注意点について触れていきます。
単純に送り主に連絡を入れるだけでなく、香典返しと似たような考え方をする場合もありますから、しっかり確認しましょう。
弔電に対するお礼・お返しはどのように行う?
まずは、弔電に対するお礼・お返しをどのように行えばよいのか、一般的な方法・考え方についてご紹介します。
各家の慣習・宗派によって若干の違いがあるため、基本を踏まえつつ柔軟に対応しましょう。
スタンダードなお返しは「お礼状」の送付
弔電だけをいただいた場合は、お手紙をいただいたのと同義と考え、お礼状を送付します。
弔電をもらったことに対してお礼をすべきなのか悩む方もいると思いますが、そもそも、葬儀の席で何かをいただいた後、そのままの状態で過ごす状況が大変失礼なのは言うまでもありません。
やはり、心のこもった言葉をいただいて嬉しかった、という気持ちを伝えるためにも、お礼状を送るのが筋です。
仮に、家族葬などの小規模な葬儀を執り行い、香典関連は一切お断りしていた場合でも、もらった以上はお礼を伝えましょう。
ちなみに、弔電でお礼を受け取ったからといって、同じように電報でお礼を返す必要はありません。
ハガキ・手紙などの書面を使い、便せんを使うなら白色のものを封筒に入れて送ります。
現代では、便せんの種類をあまり気にしない家も増えてきており、色・デザインは比較的自由に考えられている傾向にあります。
ただ、自宅に余っているから、という理由で便せんを選ぶことは避け、基本に則して選んだ方が無難です。
弔電は、原則としてお返しの品を用意しない
お礼状でお礼を伝えることから、弔電を受け取った場合は、原則としてお返しを準備する必要はありません。
ハガキ・手紙を送った段階で、お礼の流れは完了します。
しかし、弔電の取り扱い商品の中には、メッセージだけでなく付属品を送ることもできるプランがあります。
また、弔電とは別に、遠方から香典を現金書留で送っていただいたり、供物・供花などを受け取ることもあるでしょう。
このような場合は、受け取ったものの値段と比べて1/3~半値の品を、忌明けにお返しするのが基本です。
ちなみに、プリザーブドフラワーは付属品として人気の品ですが、価格帯が分かりにくい部分もありますから、お返しを送る必要はないと判断する家もあるようです。
お世話になっていた人なら出向いて挨拶してもよい
弔電としてメッセージを受け取ったら、同じように文章でお礼申し上げるのが基本ですが、特にお世話になっていた人からの連絡なら、出向いて挨拶しても差し支えありません。
要は、お礼の気持ちをきちんと伝えることが重要ですから、形式にこだわり過ぎるのもまた問題です。
連絡をいただいたことが本当にありがたい・嬉しい相手なら、手紙を書く前に電話やメールで感謝の気持ちを伝えてもよいでしょう。
逆に、関係性によってはすぐ連絡しないと失礼にあたる場合もありますから、そのあたりは臨機応変に対応しましょう。
弔電のお返しに関する時期やマナー
続いては、弔電のお返しを準備する時期・マナーについてご紹介します。
香典返しのように、お住まいの地域によって時期が異なるわけではないため、こちらはできるだけ早く用意することが大切です。
時期として適切なタイミングとは
弔電のお礼状・お返しを送るタイミングは、なるべく葬儀を終えてから早い方がよいでしょう。
できれば、1週間以内には何らかの形で連絡することを心がけたいものです。
葬儀を終えてすぐの時期は心身ともに疲れが溜まっている時期ですから、無理に動くと体調を崩してしまうおそれがありますから、十分注意が必要です。
できるだけスピーディーにお礼状を出すためにも、ある程度送付する場合の文面・形式を考えたり、葬儀社経由で送れるプランを確認したりして、負担を減らす工夫が必要です。
弔電と一緒に品物を受け取り、そのお返しを検討しているなら、忌明けまで待つのが一般的です。
お礼の品として喜ばれるのは、石けん・コーヒー・洗剤・タオルなど、どの家庭にあっても困らないものです。
包装の種類は地域で異なり、全国的には弔事用の「黒白結び切りの水引」が用いられます。
関西地方などでは「黄白の水引」が用いられることもあり、実際に送る際はお店の担当者に確認した方がよいでしょう。
お礼状の形式に決まりはある?
お礼状に限らず、手紙などを書こうと思ったら、何をどう書けばよいのか分からず途方に暮れてしまうかもしれません。
普段から文章を書く習慣がない人にとっては、基本的な書き方から本文の内容まで、全く分からず手に付かないケースも多く見られます。
書式に関して言うと、お礼状は基本的な挨拶状の書き方と比べて大きな違いはなく、頭語と結語の間に本文が入ります。
冒頭の挨拶は不要で、句読点は一切使わず、改行・スペースで読みやすくまとめます。
そして、お礼状を記した年月日・住所・喪主名(必要なら親族一同などの文言も追加)を書きます。
ここまでの文章は、毛筆文章同様、全て縦書きにします。
頭語と結語ですが、こちらは「謹啓・謹白」の組み合わせが丁寧なもので、本来はこちらを使うべきです。
しかし、くだけた関係なら「拝啓・敬具」としても失礼ではありません。
重要なのはセットになっている単語を間違えないことで、極端な例で言えば「謹啓・早々」のような組み合わせは意味不明の解釈になりますから、きちんと例文を確認しながら組み合わせましょう。
本来なら弔電を送ってくれた先に挨拶に向かうのが礼儀ですが、お礼状の送付はそれを略す行為のため、「本来ならお伺いしてお礼を申し上げたいところではございますが 略儀ながら書中にて失礼いたします」の文言を忘れずに入れましょう。
また、本文中で故人名を書く場合は、必須ではないものの「亡母 ○○儀」「故 ○○儀」といったように、名前の後に「儀」を付けて書くのがマナーです。
毛筆は義務ではないが、格式は高い
現代において、ハガキを直筆で書くケースは少なくなり、年賀状などもあらかじめ干支の絵がプリントされているものを買い求めることが多くなりました。
そのような事情もあり、お礼状もテンプレート印刷を活用して、きれいな字で送ることが珍しくなくなりました。
ただ、今なお毛筆は格式が高く、特に目上・お世話になった人に出す際は毛筆を使うべきとされています。
どうしても筆が苦手なら、筆ペン・万年筆を使うという方法もあります。
もちろん、毛筆は義務ではありませんし、ボールペンだからといってとがめられることはありませんが、できれば筆記具にはこだわりたいところです。
弔電のお礼状を考える際の注意点
お礼状の文面について考える場合、実は細かいところで注意点があります。
特に気にしなくても文章は書けるはずなのですが、いざ気にし始めると筆が止まってしまうため、事前に不明な点を押さえておきましょう。
文例は個人宛・会社宛で違うことに注意
お礼状の文例を参考にする場合、基本的には文例に従って書いていけば、大きな間違いをすることはありません。
しかし、文例は個人宛・会社宛で内容が異なるため、同じような文面で統一しないよう注意が必要です。
代表的な違いとして、個人宛の場合は頭語の後に挨拶文を書き加えず、まずはお礼を申し上げるスタイルが一般的です。
しかし、会社宛の場合はビジネスメールの一環として、感謝の前に何らかの挨拶を入れておくのが正解です。
また、会社の慣例によっては、お礼状自体が不要となるケースもあります。
一例として、勤務先から会社の経費で手配された弔電に関しては、上司・同僚への挨拶・お礼を言う際に、弔電の件も合わせて感謝の意を伝える慣習ができている会社もあります。
文例や慣習は、状況によって異なるため、事前に確認が必要です。
連名の場合、全員にお礼状を送ること
個人・会社の名義以外で、連名で弔電を送られるケースもあります。
このような場合、必ず全員にお礼状を送ります。
弔電のお金を負担したのは、代表者だけでなく連名の全員のはずです。
にもかかわらず、あえて1人だけを選んでお礼状を送るのは、非常に失礼な行為です。
1人でも送り漏れが発生すると、今後の人間関係に少なからず影響することは避けられないため、連名はきちんと相手を確認して送るようにしましょう。
SNSでの連絡は関係性による
時代の変化に伴い、ハガキ・手紙の文化は次第に衰退を迎えています。
そのような中、新たな連絡手段としてSNSが広まっており、チャットサービスの中で文章のやり取りができることから、こちらで連絡が完結するケースも見られます。
LINEなどを例にとると、人間関係によってはグループ別に連絡すればよいだけですから、その方がかえって効率的にやり取りが完結するように思えます。
しかし、まだまだSNSはフォーマルなものとして認知されていないため、やはりハガキ・手紙を使った方が間違いありません。
当面は、SNS経由の連絡はフランクな間柄にとどめ、礼節をわきまえた対応を心がけましょう。
スマホ文化に疎い年代も少なからず存在していることから、何でも自分たちの常識で判断しないよう、十分注意が必要です。
この記事のまとめ
弔電のお礼状をスムーズに出すのは、葬儀のスケジュールを考えると難しいかもしれません。
しかし、文面をあらかじめ考えておいたり、印刷に専用ソフトを使ったり、葬儀社経由で依頼をかけたりと、選択肢はいくつか考えられます。
品物を受け取った場合は、香典返しと同様のルールで対応することも忘れず、誰から何をもらったのか把握しておくことが大切です。
個人単位ではなく、時に家単位でマナーが問われる問題のため、弔電のお礼に際して正しいマナー・書式等を理解して対応しましょう。