葬儀社選びは葬儀の質に大きな差がうまれる。
いまどきの葬儀社の種類や違いと選び方や注意点。

  • 2019.10.02
  • 2020.04.17

葬儀

自分が亡くなった後で家族に迷惑をかけないよう、葬儀社を選ぶ人は増えてきています。
その反面、何の知識もない中で自分たちに合った葬儀社を選ぶのは、多くの人にとって難しいものです。

日本には実に大小様々の葬儀社があり、どこを選べば納得のいく葬儀ができるのか、なかなか素人には判断がつかないものです。

また、インターネットが普及して一般化した、ネット上で葬儀社を比較検討して選ぶ方法については、少なからずトラブルが発生しているケースもあるようです。

この記事では、葬儀社の種類や違いに触れつつ、メリット・デメリットも取り上げた上で、自分たちに合った葬儀社の選び方についてご紹介します。

葬儀社を種類別に分けてみた

まずは、たくさんの葬儀社をある程度分類するため、いくつか種類別に分けて考えてみましょう。
日本にある数多くの葬儀社を大きく分けると、やはり事業規模や管轄地域に応じて、それぞれに違いがあるようです。

全国対応の安心感・大手葬儀社

一定の年代以上の人にとっては、地元密着型というイメージの強い葬儀社ですが、現代では全国規模で斎場を持つ大手企業は多く、多数のスタッフによる安定したサービスの提供が魅力です。

葬儀に関する疑問について問い合わせに対応できる電話サービスや、仏壇仏具の販売など、葬儀の前後にあるビジネスも含めて自社で囲い込んでいる企業もあります。

それだけに、いざという時には非常に頼りになる反面、プランのパッケージングが他の会社に比べて大雑把な印象を受けます。

古い営業スタンスの社員など、オプションありきで葬儀を考えている担当者も一定数存在しており、基本プランに対して「プラスした分の内訳」につき、遺族から分かりにくいというクレームにつながるケースも珍しくありません。

また、葬儀社を経由して葬儀費用を積み立てる場合、大手の場合は「互助会」という制度の会員になることが条件になります。
もちろん全ての企業に言えることではありませんが、TVCMで名前を聞くような企業なら、おそらく必須になるでしょう。

互助会制度に関する誤解を抱いている会員は多く、会員の中には「事前に積み立てた互助会費だけで葬儀ができる」と考えている人もいます。

これは誤解で、確かに最低限の葬儀は積立分だけでも可能ですが、基本的には頭金程度のお金に過ぎず、多くのプランで積立分以外の費用も必要になってきます。

大手葬儀社で積立を検討している人は、最終的に総額いくらの葬儀になるのか、きちんと担当者から見積もりをもらうことが大切です。
なお、施行自体はしっかり教育を受けた人材が取り仕切るため、安定感は抜群と言えるでしょう。

プラン特化型の中堅葬儀社

家族葬・自由葬・直葬など、一般葬以外の葬儀形態を宣伝で強く推すタイプの葬儀社は、その多くが一般葬以外の葬儀に活路を見出した中堅規模の葬儀社です。
あるいは、一般葬ありきの大手のやり方に疑問を抱き、地方の葬儀社が事業拡大を決意したケースもあります。

オプションや品ぞろえを盾にする大手と違い、コンセプトがはっきりしている特徴があります。
そのため、家族で望んでいる形の葬儀がある場合は、話が早くまとまります。

リスクのある点としては、大きくコンセプトを変えようとしたとき、会社自体を変更しなければならない点が挙げられます。
家族葬にしようと思っていたけど、親族側からクレームが来て仕方なく一般葬にするといった場合は、やはり大手など別の葬儀社を選ぶことになるでしょう。

直葬も誤解・反発を招きやすい葬儀形態の一つで、お通夜も告別式も行わないという簡素さから、年代によっては「私の息子・娘を馬鹿にしているのか」などと義親から怒りを買う可能性さえあります。

しかし、看護師・医師のように、人の生死に身近で深く関わる職業の人に関しては、意外と理解が早いケースもあります。
もちろん一概には言えませんし、認識の違いがあるまま葬儀を勝手に始めるのはトラブルの元ですから、親しい人たちには意向をきちんと理解してもらう必要があるでしょう。

地域密着型の小さな葬儀社

町村クラスの自治体では、お花屋さんと兼業していたり、商店街の奥でひっそりと営業していたりするような葬儀社があります。
タウンページで検索しなければ見つからないような葬儀社で、地域に根差した小さな葬儀社です。

そのような葬儀社は、多くの場合その地域で頼られる葬儀社ですから、お住まいの地域に大きな葬儀社がない場合、必然的に利用することになるでしょう。
参列者の数も地元に限られているようなら、予算に応じて使ってみるというのも悪くありません。

葬儀社を選ぶ条件の一つに、「自宅からそう遠くない距離」というものがあります。
具体的には、自宅から測ったとき、病院・斎場・葬儀社それぞれの距離につき、概ね40km以内が理想です。

町村によっては、大手を選ぶとそもそも遠すぎて初動が遅れてしまうおそれもあります。
それなら、勝手知ったる地域の葬儀社に依頼した方が、かえってスムーズに働くことでしょう。

ただし、大手・中堅どころと比較すると、どうしてもスタッフの数は少なくなりがちで、規模の大きな葬儀を行うのは難しい傾向にあります。

お店に一人しか店員がいない場合、司会や各種スタッフについては外注することになりますから、その点がどう見積もりに反映されるのかが心配なところです。

葬儀社を選ぶ際の基準について

葬儀社の種類について触れたところで、次に葬儀社を選ぶ際の基準についてお伝えします。
主に予算やスタッフに関する注意点となりますが、軽く考えていると後でトラブルにつながる部分ですから、しっかり事前に確認しておきましょう。

まず最初に考えるのは「分かりやすい価格体系」

現代の葬儀社は、見積もりの中で分かりにくい費用を堂々と載せることは少なくなりました。
しかし、現実的に考えて、葬儀社の見積もりに書かれている内容すべてを、葬儀に特別詳しくもない家族が理解できると考えるのはおかしな話です。

そのため、費用の明細がはっきりしていることは、ある意味最低条件と言えます。
それができて初めて、総合的にどのようなプランになるのか、費用を抑えるならどの部分が妥当なのかについて、担当者と話し合うことができるのです。

  • 実際の葬儀では、どのような設備を使うのか。
  • 祭壇はどんな形をしているのか。
  • お花は最終的にどう飾り付けられるのか。
  • 支払方法・支払期限はどうなっているか。

会場の広さやお坊さんに包むお布施など、掘り下げれば心配になる点は数多く出てきます。
それを踏まえた上で、見積もり段階から担当者に質問しておきましょう。

きちんと話を聞いてくれる担当者の存在も重要

担当者に質問するのは当然のことですが、問題はその担当者に「聞く姿勢」があるかどうかです。
一見、家族の側が不安に感じるであろう部分に先回りして考えを巡らせ、家族が悩む前に提案できる担当者の方が有能に感じられますが、これは誤りです。

何しろ、この会社に葬儀をお願いしようと考えている家族は、パンフレットなりホームページなり、非常に限られた範囲での情報しか知りません。
そこを補うためにも担当者に色々聞きたいはずなのに、矢継ぎ早に担当者の側から話をされても、遺族は戸惑ってしまうでしょう。

優秀な担当者は、家族の心に寄り添うことを大切にしますし、仮に低予算の葬儀を希望したとしても親身になって対応してくれます。
まずは話をしてみて、担当者との相性を確かめてみることをおすすめします。

知名度よりも希望を実現できるかどうかが大事

下調べをしていると、知名度のある会社の広告をよく見かけるはずです。
広告に書かれている内容は魅力的に見えるかもしれませんが、広告の内容に自分の希望を当てはめるような選び方はおすすめできません。

地域の葬儀会社の数に限りがあるなら仕方ありませんが、選べる数が多いなら、やはり家族の希望を優先したいところです。

家族葬・自由葬といった形態だけの話ではなく、もっと踏み込んだ話を担当者としてみなければ、振り返ると「ただただ忙しい葬儀だった」で終わってしまいます。

思い出深い葬儀にするためにも、時間をかけて話をした方が、希望の形がまとまりやすくなります。
面倒に感じるかもしれませんが、担当者任せのプラン構成にせず、しっかり完成形を共有しましょう。

ネットで葬儀社を選ぶ際に注意すること

インターネットを使って、葬儀社の情報にアクセスすることが容易になったことから、利用者・業者間の距離は近くなりました。
しかし、実店舗を訪れる機会は少ないため、その分実態が見えにくい部分は否めませんから、慎重に情報を見極めなければなりません。

ダイレクトに会社情報を調査すべきなのか

大手葬儀社であれば、会社名・斎場名を入力するだけで、ダイレクトに会社情報へのアクセスができます。
これには良い部分と悪い部分があり、無計画に決めてしまうと後悔する可能性があります。

まず、会社情報が載っているページは、基本的に会社にとって良いことしか書かれていません。
より自社を魅力的にしようとページが構成されているわけですから、当然悪いことは分かりにくいわけです。

そこで、純粋にプランをチェックできるページへのリンクを探すことになります。
それが見つからないなら、いよいよ電話でパンフレットを請求するなどの方法を選びます。

一つの企業を多角的に見られる利点はあるものの、結果的に調べる側の負担が増えてしまうため、ネットを使って調査するなら、はっきりプランの違いが分かるサイトをチェックするのが近道です。

目的に合った葬儀社を選べる葬儀紹介会社サイト

ネット上では、各葬儀社が運営しているサイトの他に、目的に合った葬儀社を紹介している「葬儀紹介会社サイト」というものがあります。

小規模な葬儀に対応してくれる業者、大手企業傘下だがこまめに対応できる業者、斎場・葬儀社を仲介してくれる業者など、家族のニーズに応じて業者が選べるサイト構成となっています。

終活も含め、一からプランを検討したい人にとっては、幅広い情報を集められますからおすすめです。

追加料金の有無は必ず確認すること

葬儀紹介会社のサイトを利用する場合、移動先の葬儀社・業者のプランを確認する際、必ずチェックして欲しい項目があります。
それは「追加料金の有無」です。

葬儀紹介会社経由で見つけた葬儀社の中には、景品表示法違反が指摘されたところも少なからず存在しています。
追加料金が一切不要と広告に載せていたにもかかわらず、実際には追加料金が発生していたこともあったようです。

多くの場合、問題のある行為をした業者は消費者庁が違反を指摘するため、同じ問題が再発する可能性は低いです。

しかし、葬儀の現場では申込金額以上の金額が生じてしまうことは珍しくなく、何らかの形で「返金保証」などが組まれている業者を選ぶ必要があるでしょう。

この記事のまとめ

葬儀社の種類や細かい違い、メリット・デメリットなどをご紹介してきました。

葬儀社は、大手だからといって全てにおいて安心できるわけでもありませんし、小規模だからといって役にたたないというわけでもありません。
重要なのは、どのくらいの規模・内容の葬儀にしたいのか、家族の側が明確にイメージすることです。

そうすれば、自ずと自分たちに必要なプラン・葬儀社が見えてくるはずです。
企業のプランに自分たちが合わせるのではなく、自分たちに合わせてくれる葬儀社を選びたいものですね。

  • 公開日:2019.10.02
  • 更新日:2020.04.17

テーマ:葬儀

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