今更聞けない「喪主」についてをおさらい。
喪主の基本と役割や決め方、実際になった時の注意点

  • 2019.11.01
  • 2020.04.17

葬儀

家族が亡くなったとき、すぐに執り行わなければならないことの一つが「喪主」を決めることです。
故人に配偶者がいる場合、一般的には配偶者が喪主を務めますが、家族構成によっては違った順番になることもあります。

また、喪主の仕事については、葬儀を行う責任者的な存在というイメージで考えている人も多いと思いますが、実際に何を行うのかを聞かれると、答えられない人は少なくありません。

今回は、今更ながら喪主とは何か、どのように決めて、どのような役割を担うのか、喪主を務める注意点とともにご紹介します。

喪主とは何か?その役割について

まずは、喪主が葬儀において何をするのかについて、主だった仕事をご紹介します。

本来は、葬儀全体を取り仕切る立場のことを喪主と言いますが、葬儀社のおかげで雑務的な業務のほとんどは業者が代行してくれるようになったため、現代では葬儀の大まかな部分を決めてまとめる立場だと考えておけばよいでしょう。

喪主がすべきことは「決断すること」

喪主を会社に当てはめたとき、社長と同じ権限があるものと考えると分かりやすいかもしれません。
葬儀に関する最終決定権を持つ立場であり、喪主の決定に応じて式次第・参列者への対応等が決まります。

もっと分かりやすくイメージするなら、幹事と言ってもよいかもしれません。

法的に、葬儀を行う際には喪主を決めなければならないという取り決めはありませんが、一般葬・家族葬のように来客のある葬儀については、基本的に喪主を立てて葬儀を執り行います。

また、近所付き合いや親族の参列も想定すると、リーダー役のいない葬儀は形にするのが難しいものと考えられます。

葬儀社に依頼するにせよ、直葬という形をとるにせよ、やはり最終責任者として喪主はその存在を必要とします。
とはいえ、現代では葬儀社が実務の多くを代行してくれることから、多くを知らずとも引き受けることは可能です。

決めるだけとはいえ、決めるべきことは細々ある

喪主は、主に葬儀に関する決断を行う存在です。
そのため、実に様々としたことを決めていかなければなりません。

具体的には、以下のようなことを決断していきます。

葬儀社の手配

完全に自力で埋葬までの手続きを終えることも可能ですが、多くの場合は葬儀社を手配し、葬儀の大部分をお願いすることになります。
完全に葬儀社側にセレモニーのプランを任せることもできますし、事前に故人がプラン等を決めているなら、そちらを採用することもできます。

まずは、葬儀社を手配した段階から、葬儀が始まるものと考えておきましょう。

日時の決定

一般葬を例にとると、葬儀社を決めてから葬儀に関する具体的な懸案事項を決定していきます。
お通夜・告別式を行うにあたり、日程をどうするのかも考えていかなければなりません。

友引を避ける・会場の空きを確認するなどの流れもあり、亡くなってからすぐに葬儀を行えるとも限らない点に注意が必要です。
詳細は、葬儀社のスタッフと詰めながら確実に進めていきましょう。

各人への連絡

葬儀では、親族への連絡だけでなく、知人・友人・お坊さんなどにも連絡を入れなければなりません。
故人の交友関係を洗い出し、速やかに電話連絡を行い、訃報を流すようにします。

お坊さんに関しては、家族がお世話になっている菩提寺があるなら、そちらを頼ることになるでしょう。
お寺側の都合を考えて日程を調整しなければならないため、連絡した段階で日程が決まるとは限らない点に注意が必要です。

葬儀内容や香典返しなど、細々とした部分の決定

一通り人員に関することを決めたら、葬儀内容の細かい部分について、葬儀社と一緒に打ち合わせします。
式次第や挨拶・お礼の順番・お坊さんに包むお金の件など、一つひとつ決まったことをメモしておくなどすると分かりやすいでしょう。

当日を迎える前に、金銭管理や香典返しに関することなどは、信頼できる親族・友人などと話をして担当者を決めておきましょう。
喪主は、基本的に参列者やお坊さんなどへの挨拶で時間が取られてしまうことも多いため、予算の面も含めて事前に話を済ませておいた方が賢明です。

葬儀が終わったら、お世話になった人たちにお礼の気持ちを伝える

式次第の流れに沿ってセレモニーが進むと、仏式で予定通り進めば、火葬後の精進おとしを終えて片付けを終えたら葬儀は終了です。
喪主が行うのは会葬者名簿・香典・供物・名刺・弔電といったものの整理で、会場全般の片付けは葬儀社で代行してくれることがほとんどです。

その後、手伝ってくれた人やお坊さん・病院・故人の勤め先に連絡を入れ、感謝の気持ちをしっかり伝えます。

葬儀における喪主としての務めはこれで果たしたことになりますが、香典返し・四十九日法要でも喪主は主体となって対応することになりますから、家族・親類と協力しながら進めていきましょう。

喪主の決め方あれこれ

喪主を選ぶ場合、基本的には家族の中から選出することになりますが、喪主を務められる立場の人がいない場合、別の人が喪主になるケースもあります。
誰しも自分に出番が回ってくる可能性がゼロとは言い切れないため、念のため覚えておくと安心です。

基本は配偶者だが、血縁順で決めることもある

冒頭でお伝えした通り、喪主を務めるのは基本的に配偶者の役割ですが、故人が独身であったり配偶者と死別していたりする場合は、血縁者が喪主を務めることが一般的です。

また、配偶者が高齢であり、病に冒されているなどして喪主を務めることが難しいときも、代理として行う場合があります。

血縁関係による優先順位は、【長男→次男以降で直系の男子→長女→長女以降で直系の女子→故人の両親→故人の兄弟姉妹】となります。
また、故人が子どもの場合、つらいことですが両親のいずれかが喪主を務めることになります。

遺言書があれば遺言書の内容に従う

原則として、喪主は家族関係の中から選ばれますが、故人が何らかの理由で遺言書を残している場合は、遺言書の内容が優先します。
あえて担当する人物を指定しているため、そちらの意向を優先することで、故人の気持ちを反映した葬儀を執り行うことができます。

遺言書で指定する人物が書かれていなくても、家族公認のエンディングノートに喪主の名前が記載されている場合は、そちらを優先させます。

ただ、友人・知人の名前が書かれていて、遠方にいて連絡が取れないような場合は、エンディングノートに法的効力がないため、家族を優先させても差し支えないでしょう。

配偶者・血縁者がいない場合、複数人で喪主を務める場合も

現代では、亡くなる際に身内が一人もいないケースは珍しくありません。
介護施設などに入所しているような場合は、知人・友人のほか介護施設の代表者などが喪主を務めることもあります。

このような場合、喪主は複数人となることが多いため、友人代表・世話人代表といった名目が使われますが、そもそも複数人で喪主を務めることは特段禁じられていないため、全く問題ありません。

実際に自分が喪主になった際の注意点

実際に喪主となった場合、葬儀を取り仕切る側として、責任ある対応が求められます。
また、予算のことを考えつつも、故人に恥をかかせることのない葬儀を執り行うために、気を配らなければならない注意点もいくつかあります。

細かいこともありますが、準備・注意を怠らなければできることがほとんどですから、一つひとつを確実に押さえておきましょう。

葬儀社の見積書は念入りにチェックする

故人が葬儀社を指定していて、プランもあらかた決まっているならば、打ち合わせをする場面は限定的です。
しかし、故人が特に葬儀社を指定しないまま亡くなった場合は、いずれかの葬儀社を指定した後、見積もり依頼を出さなければなりません。

できれば、近隣の葬儀社から相見積もりを取って、比較検討したいところです。
しかし、葬儀の席での見積もりは、時期が時期なだけに十分な検討をするには時間が少なく、そもそも地域によっては相見積もりを取ること自体難しい場合があります。

家族・親族間で相談を重ね、不明瞭な項目は指摘して、極力必要なプランだけを選ぶようにしましょう。

書類の準備は念入りに

葬儀当日、喪主の一日というのは意外と忙しく、何をしたか分からないのに時間だけがあっという間に過ぎてしまったというケースも珍しくありません。
だからこそ、事前に準備しなければならない書類については、念入りに確認しておくことをおすすめします。

喪主挨拶を行う場合、普段人前で挨拶をしない人でも、知っている顔ばかりだからといって書面で挨拶を用意しない人もいます。
しかし、いざ挨拶の段になって、言葉が全く出てこないということも考えられますから、きちんと挨拶文は事前に書いて読めるようにしておきましょう。

また、当日の手続きで必要な書類についても、葬儀社が全て代行してくれるならば問題ありませんが、葬儀社によってはいったん喪主に書類を渡すこともあります。

その場合は、現場で必要な書類がなくてオロオロしないように、クリアファイルなどにまとめておくとよいでしょう。

葬儀の「その後」を考えておく

葬儀が終わった段階で、ひとまず喪主としての仕事は終わりますが、故人の死後に行う手続きは葬儀だけではありません。
四十九日法要・香典返し・仏壇と位牌の準備・納骨・役場や銀行関連の手続きなど、やることは山積みです。

これらは、必ずしも喪主が主体となって行うとは限りませんが、遺品整理等の合間などに喪主だった人が自ら行うと、葬儀の過程でいろいろな情報・資料を集めている分スムーズになる場合があります。

仕事の都合などで、どうしても時間が取れない場合は、葬儀社のスタッフや家族に依頼するのもよいでしょう。

この記事のまとめ

意外と知ってるようで知らない「喪主」について確認してきました。

喪主の役割は、細々とした部分については葬儀社に代行できるようになりましたが、指示を出す側としての役割・喪主として感謝の気持ちを伝える役割などは、依然として残っています。

当日は、慣れないことばかりで大変に感じられると思いますので、できるだけ一人で抱え込まず、家族・親族・葬祭スタッフに助けを求めながら、喪主としての役割を果たしていきましょう。

  • 公開日:2019.11.01
  • 更新日:2020.04.17

テーマ:葬儀

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