実は最近人気なオーダーメード葬儀。
自由なスタイルが人気な葬儀の特徴と費用について
オーダーメードの概念は、日本国内で広く用いられています。
主に思い浮かべられるイメージとしては、例えば靴やバッグなどの革製品や、自分の体形に合ったオーダースーツなどが挙げられるでしょう。
サービスにおいても、オーダーメード結婚式や旅行のフリープランなど、セミオーダーも含めるとかなりの種類があります。
しかし、葬儀の現場においては、古くからの伝統やお寺の都合もあり、なかなかオーダーメードという概念が浸透するのは難しい部分がありました。
そんな中、既存の宗教観に疑問を抱いた層が、宗教にとらわれない自由な葬式を提唱したことから、いわゆる無宗教葬(自由葬)が増えてきています。
オーダーメード層は、そのような流れから生まれた、より本質的に人の死に向き合う葬儀の一つです。
特に信仰する宗教もお寺の付き合いもないという方は、一度検討してみる価値のある葬儀形式の一つです。
今回は、オーダーメード層が持つ自由さにフォーカスするとともに、具体的にどのような形式で行うのか、費用は具体的にどのくらいかかるのかについてご紹介します。
オーダーメード葬儀は、既存の葬儀にはなかった自由度が売り
オーダーメード葬儀が持つ大きな特徴として、既存の葬儀にはなかった自由度が挙げられます。
一般的な仏式の葬儀からはかけ離れている形式もあり、主に故人の趣味・好みに合わせて内容を決めていくというスタンスです。
その点がオーダーメードということなのですが、それだけであれば他の葬儀においても似たような部分はあると思います。
具体的には、祭壇をどうするのかや、式の中で流す映像をどうするのかなど、一つの大きな流れの中で細かな部分を決めていくといった流れです。
オーダーメード葬儀は、そもそも流れ自体を完全オリジナルでまとめるところに違いがあります。
よって、宗教ごとに存在する葬儀の形式にこだわることも、地域で決まっている風習に従うこともありません。
あくまでも、故人との思い出や故人の人生に向き合った葬儀形式なのです。
現代で増えてきている無宗教葬
エンディングデータを取りまとめている「エンディングデータバンク」の調査によると、特定の宗教にこだわらない無宗教葬は、首都圏において2014年は葬儀件数全体の17.8%となっており、2015年は18.4%・2016年には20.3%といったように、年々件数が増加しています。
首都圏では仏教離れが進んでおり、お墓を建立する意味や生前仏教を信仰していないのに亡くなったときだけ仏式で弔うことに疑問を感じる人が、少なからず増えてきている傾向が見て取れます。
もう少しくだけた印象のものであれば、例えば「お別れ会」などの形式が該当するでしょう。
親族の手前、葬儀は通常通り行ったとしても、故人の意向はお別れ会で表現したいというケースです。
今までの日本で広く用いられてきた仏式の葬儀に対し、疑問を抱いた人が少なからず存在していることを証明しているデータだと思われます。
現代において、今までの形式にとらわれない葬儀を行うことは、必ずしも悪いイメージにつながるとは限らないのです。
オーダーメードという言葉通り、全てがフリースタイル
オーダーメード葬儀は、基本的にすべてを遺族たちで決めていかなければなりません。
生前故人が具体的なプランを持っていて、それに則って進めていく方法もあれば、葬儀社側が希望を聞いてプランニングしていく方法もあります。
中でも特徴的なのが「開催する場所」で、必ずしも葬儀社で開催する必要はなく、例えばライブハウス・レストランといった場所を選ぶこともできるのです。
会場で流す音楽も同様で、お経や宗教にまつわる歌を選ばずとも、故人がファンだった人の曲を流したり、生演奏を演奏してもらったりすることが可能です。
空間に関する演出もでき、棺の種類にこだわったり、生前の思い出の品を並べたりと、故人や遺族のこだわりを反映できます。
最大の特徴は「形式にこだわらない」こと
こうしたオーダーメード葬儀の最大の利点は、各宗教が持つ形式にこだわることなく、葬儀を進められる点です。
仏式では焼香などの作法が定められていますが、無宗教葬などでは献花が行われます。
これがオーダーメードになると、ギター好きならギターのピックを祭壇に捧げる、ラーメン好きなら食べたかったラーメン店の写真などを載せるなど、故人にちなんだものを自由に決められます。
宗教的な形式にとらわれないことで、本当に故人が喜ぶであろう葬儀を執り行うことができるのです。
オーダーメード葬儀を行った場合、どのくらいの費用を見込んでおくべきか
一般的な仏式と比較して自由度の高いオーダーメード葬儀ですが、具体的にはどれくらいの費用を見込んでおく必要があるのでしょうか。
全てを自分で自由に決めるという性質から、何となく金額も高くなってしまうのではないかと思いがちですが、実際のところ決してそのようなことはありません。
種類を厳選することにより、かえって費用が仏式よりも大幅に安くなるケースもあります。
そのため、オーダーメード葬儀を行う際には、葬儀の構成を理解して足し引きを行っていきます。
大前提として、オーダーメード費用はパーツごとに費用を考える
先ほどお伝えした通り、オーダーメード葬儀の費用は、一般的な葬式に比べて高くなるとは限りません。
葬儀の中でどのようなセレモニーを行うのかや、位牌のようなグッズは何を選ぶのかなど、選んだ一つひとつのパーツごとに値段が異なります。
よって、仰々しい祭壇は不要であると考えるなら祭壇の設置を最低限にできますし、飾るお花にこだわりたいなら、菊のようなスタンダードなもの以外からお花を選べます。
コンセプトを決めれば、ひまわり畑のような祭壇を作ることも可能です。
参列者をもてなしたいと考えるのであれば、開放的な空間で美味しい料理が食べられるホテルで葬儀を行うこともできます。
サイドカー付きのバイクに乗っていた場合は、サイドカーを霊きゅう車代わりにするというプランも見られます。
それぞれの葬儀形式に応じて金額も変わってくるものの、一般的な宗教葬と比較して、自由度は高いものと言えます。
また、葬儀の種類によってかかる金額は個々で異なることから、いわゆる相場というものはありません。
実際にオーダーメード葬儀を行う際は、その点に留意して業者を選ぶ必要がありそうです。
参加者が少ないからといって、費用がかからないというわけではない
オーダーメード葬儀を考える人が増えている背景としては、親族も含め故人とごくごく近しい人だけでお別れをする「家族葬」が増えている背景も考えられます。
家族葬は大々的に人を呼ばない分、静かに葬儀を終えることができ、料金も節約できます。
そのため、オーダーメード葬儀とは相性も良く、参列者を限定するという意味では同じような形式です。
しかし、だからといってオーダーメード葬儀も安くできるかと言えば、決してそのようなことはありません。
細部にこだわる分、一般的な葬儀に比べて高くつく可能性もあれば、その逆もあります。
ホテルやレストランで葬儀を行う場合、遺体をそのままホテルに運ぶことはできないため、状況によっては通夜や告別式はお坊さんを呼んで行うこともあります。
その後、特に親しかった人や親族だけで料理を楽しむというスタイルです。
反対に、直葬に近い形で火葬した後、自宅に遺骨を安置して出前を取るといった、非常にフランクな葬儀の形式をとることもできます。
このように、プランに応じて料金が増減するため、一概に参加者や規模の大きさだけで値段を判別することは難しいのです。
葬儀社側の提案によっては、一連の流れがある程度パッケージングされていることもあり、一概にフルオーダーメードとは言い難いものもあります。
生前から葬儀社を選ぶのであれば、必要に応じて相見積もりを取り、納得のいくものを選びたいところです。
最低限のものなら20万円で葬儀を行うことも不可能ではない
オーダーメード葬儀と聞くと、細部にまでこだわった贅沢な葬儀を考える人が多いと思います。
しかし、必ずしもそうであるとは限りません。
最近では身近になりつつある、お葬式を行わずに火葬場に向かう「直葬」も、オーダーメード葬儀の一種です。
本人の意向で、直葬後に親しかった人にだけハガキを送るというのも、立派なオーダーメード葬儀です。
直葬の費用から考えてみると、総額で20万円を切る業者も少なくないため、少ない予算でも十分葬儀を行うことは可能です。
オーダーメードだからといって、高い予算をあらかじめ見積もる必要はありませんから、その点は安心してください。
逆に、一般的な葬儀の形式では不十分で、とにかく豪勢に葬儀を行いたいと考える人は、200~300万円の予算を見込んでプランニングすることもあります。
そこまで行くと、会場選びから祭壇の種類・流す音楽に棺や写真の装飾と、贅沢極まりないプランを練ることができます。
オーダーメード葬儀はその名の通り、非常に幅広い種類を持っています。
すべてをゼロから考えられる分、式の成功に対して遺族側が貢献する点も少なくありません。
予算だけを安く済ませてプランニングして、結果的に参列者が戸惑うようなことがあっては逆効果です。
具体的に式を進めるため、積極的に関与したいところです。
この記事のまとめ
オーダーメード葬儀は、その自由度の高さが魅力です。
予算にこそ幅や個人差があるものの、故人や遺族の意思を尊重できるため、次第に認知されてきています。
プランを決めるとき、少なからず業者任せになっていることも多い葬儀ですが、オーダーメード葬儀に関しては、故人や遺族の希望がかなりの部分を占めます。
中途半端なプランを立ててしまうと、遺族も参列者も戸惑うだけの式になってしまうリスクもあります。
プランを決める際はその点に留意し、自分が式を運営するという気持ちで、綿密に打ち合わせをすることが大切です。