今や家族の一員となった犬や猫などのペット。
大切なペットが亡くなった時の供養の種類や方法
犬・猫など、身近な距離で家族の一員として飼っていたペットが亡くなったとき、飼い主の立場としてはやり場のない悲しみに襲われます。
一緒に過ごした時間が貴重なものであればあるほど、その悲しみも深く、ペットロスを患ってしまう可能性もあります。
この状況を未然に防ぐ・克服するには、ペットをきちんと供養してあげることが大切です。
この記事では、ペット供養の種類・特徴についてご紹介します。
ペット供養の種類について
まずは、ペット供養に至るまでの過程や供養の方法について、詳細をご紹介します。
専門業者に依頼する場合、基本的に人間の葬儀と同じ流れで進めていきますが、ペットならではの方法もあります。
遺体を安置し、火葬とするところまでは人間と一緒
ペットといっても種類は幅広く、昆虫などの場合は自宅の庭に埋めても差し支えないでしょう。
しかし、多くのペットはそれなりに身体が大きいため、供養となると、多くの家庭では火葬を選択します。
火葬すると遺骨が残るため、ペット供養をする場合は「遺骨をどうするか」が焦点の一つとなります。
すでにお墓があるなら、霊園の許可があれば家族として一緒に骨壺を入れたり、ペット専用の霊園に埋葬したりすることができます。
自宅で写真などと一緒に遺骨を置いておきたい場合は手元供養、自然に還したいと思うなら散骨などを選択する場合があります。
いずれにせよ、人間の場合の選択肢と大きく変わらないのが特徴です。
火葬の方法はいくつかある
埋葬や供養の方法は人間に似ているペットの供養ですが、火葬となるといくつか方法があります。
以下に、主なものをまとめてみました。
個別立会火葬
葬儀社の施設までペットの遺体を持ち込み、家族立ち合いのもとで火葬します。
人間と同じく火葬炉に入れ、遺骨を骨壺に納めたら、家族がそれを安置します。
一任個別火葬
人間の場合はまずありませんが、葬儀社のスタッフが自宅に訪問し、家族がペットとお別れした後で遺体を預かり、火葬を行う方法です。
家族の立ち合いを必要とせず、火葬・お骨上げはスタッフが行い、家族に返骨となります。
合同火葬
自分たちのペットだけでなく、他の家族のペットと合同で火葬を行う形式です。
この場合、火葬後に納骨することが困難なため、指定の霊園の納骨堂に合同で納骨という形が取られます。
供養する場合、霊園施設に足を運ぶことになりますが、火葬時には基本的に家族の立ち合いはありません。
出張火葬
ペットが亡くなった後、遺体を葬儀社の施設まで運ぶ足がなかったり、かなり遠いところにあったりする場合に利用されます。
「移動火葬車」と呼ばれる、ワゴン車の中に火葬炉を設けた車が自宅までやって来て、駐車場など駐車スペースでペットを火葬します。
なお、十分なスペースがない場合は、離れた場所に移動して火葬します。
埋葬する場所もさまざま
ペット供養では、ペットの遺骨をどのように埋葬するかについても、選択肢は人間同様に存在しています。
それぞれで遺骨の取り扱い方が異なるため、決める場合は家族でしっかり話し合いましょう。
手元供養
自分の身近な場所に、ペットの遺骨・祭壇(仏壇)を置く形の供養です。
主に火葬後の遺骨が供養の対象となりますが、写真や遺髪などを利用する場合もあります。
供養の方法は仏教に準ずる場合もあれば、ペットの好きだったものをお供えする場合もあり、基本的には自由です。
これといった答えはありませんから、家族の考えに基づいて供養してください。
ペット霊園
人間とペットは、原則として同じ場所に埋葬しないというケースがほとんどです。
そのため、ペット専用のお墓・納骨堂に納め、供養することが多く見られます。
これは、仏教的価値観において動物が「畜生」という扱いになっていることから、菩提寺の側で人間と一緒に供養するのは適切でないと考えていることが由来のようです。
しかし、現代では民間霊園の中でも「ペット可」というところが増えてきており、ペット専用でなければならないという縛りはなくなりました。
どちらを選ぶかは家族の考え方にもよりますが、いずれにせよ埋葬という選択肢はペットにおいても一般的です。
ちなみに、人間の骨とは違い、ペットの骨は自宅(私有地)に埋める分にはOKとなっていますが、自宅を売却することも想定すると、あまりよい選択肢とは言えません。
自分が将来どこに住むとしても、供養が滞らないような選択肢を選びたいところです。
散骨
人間も同様ですが、自然から生まれたものは自然に還すべきだという考え方は、世界各地で見られます。
お寺や自宅ではなく、山・海などに散骨するのも、供養の方法としてはメジャーと言えます。
散骨を行う場合、自治体によっては散骨自体を禁止している地域もあるため、できる場所を確認することが大切です。
また、墓標の代わりに樹木・花を植え、骨を栄養分にする樹木葬という選択もあります。
散骨する場合、火葬後の骨をそのまま撒くのではなく、それが「骨である」と認識されない状態にまで形を粉々にする必要があります。
これは「粉骨」と呼ばれますが、自力でできることではないため、多くの場合は専門業者に依頼してからの散骨となります。
ペット供養の特徴について
火葬・埋葬方法について理解したところで、ペット供養が一般的な人間を供養する流れと異なる部分をご紹介します。
戒名をもらう必要はない・葬儀や供養について専門業者に依頼する義務はないなど、人間とは少し違った特徴があります。
人間の場合に比べて自由度は高い
ペット供養は、人間の葬儀と違い、宗教的に定められた供養の形がありません。
極端なことを言えば、周囲に迷惑をかけない限り、土葬しても差し支えないのです。
もちろん、動物などに掘り返されないように深く埋める、土地を守っていく覚悟を持つなど、色々な制限はあります。
しかし、人間の埋葬と違って罰せられることはありません。
また、ペットの葬儀自体もするかしないかは自由であり、自宅でお別れを済ませてから火葬するケースもあれば、人間と同じようにお坊さん・神父さんを呼んでセレモニーを行うケースもあります。
ただ、それも家族の気持ち一つであり、ペットの遺体をただ葬祭スタッフに預ける形でも差し支えありません。
相対的に、人間の葬儀と比べて自由度が高い分、しっかりプランの内容を確認しておかなければ、自分のイメージと大きくかけ離れた葬儀になってしまうかもしれません。
人間同様、見積もりを取って内容を確認し、できれば評判もチェックしておきたいところです。
宗教的な要素を必要としない
人間は、自ら信じる宗教に応じて、葬儀の形式を決めます。
仏教・神道・キリスト教など、それぞれの宗教に応じたセレモニー・お墓などがあります。
しかし、ペットには特定の宗教を信じるという概念が適用されません。
人間が話す言葉についても、人間同様に理解していることはなく、お経・説教・祝福の言葉などをもらっても、何を言っているのかはおそらく理解できないことでしょう。
仏教において重要視される「戒名・法名」についても、そもそもペットが意味を理解できるとは考えにくいものです。
よって、お坊さんなどのご厚意で用意してもらう場合以外では、ペットに戒名を付けることはまれです。
現実的な話をすれば、その分お金を節約できるため、セレモニーや別れの時間に予算を割り振れます。
自分たちがペットと別れるにあたり、どのような要素が必要なのかをよく考えて、プランを組み立てましょう。
お墓や仏壇を用意するかどうかは家族次第
ペットの埋葬は、時に残酷な現実を人間に突きつけます。
廃棄物処理法によると、自治体が動物の処理を行う場合、ペットの遺体は「廃棄物」扱いされると解釈されています。
もちろん、これは多くの飼い主にとって認められる考え方ではなく、しっかりペットを見送り、埋葬し、供養しようと考えるはずです。
しかし、お墓や仏壇を用意する法的・宗教的義務というものはなく、その供養のやり方にはたくさんの選択肢があります。
手元供養を例にとると、多くの場合は骨壺を毎日見られるような場所に安置し、かつて元気だった頃の写真を骨壺のそばに配置して、お水・食べ物などをお供えする例がよく見られます。
しかし、家族だったのだからと丁寧に位牌を作り、一緒に仏壇で供養することも決して間違いではありません。
ちなみに、人間の遺骨でもそうですが、アクセサリーにして身に着けるという方法もあります。
遺骨を小さな筒に入れて下げるペンダントや、遺骨の成分からダイヤモンドを作って装飾した指輪などのデザインがあり、形見のように扱うことができます。
家族の気持ちに合わせて、寄り添い方を決められるのが、ペット供養の魅力と言えます。
実は専門業者に依頼する義務はない
ペットではなく人間の家族の誰かが亡くなったとき、多くの場合、葬儀社を介して葬儀・火葬の準備を進めていきます。
法的なものや相続に関する手続きなども控えているため、専門業者の手を借りることで、今後のあれこれに備えて時間を確保する狙いもあります。
これに対してペットの場合、確かに専門業者に依頼した方がスムーズですが、法的にペットの葬儀を専門業者に依頼する義務はありません。
極端な話をすると、各自治体の保健所に遺体を預け、安価に火葬してもらうこともできるのです。
遺骨をもらえるかどうかは、各自治体(保健所)の方針によりけりですが、少なくとも殺処分同様の扱いとはなりません。
葬儀を行いたくても予算の都合がつかないと悩んでいる人は、一度保健所に相談してみることをおすすめします。
この記事のまとめ
ペットの供養は、人間の供養と違い自由度が高いため、宗教を気にせず家族が自由に供養できることが利点です。
しかし、ペット特有の環境に配慮した埋葬が求められるため、何でも自分の好きなようにできるわけではありません。
ただ、公共の敷地に埋めないなど最低限のルールを守れば、お墓への埋葬・手元供養といった方法が選べ、選択肢も増えてきているため、それほど頭を悩ませることはありません。
ペットとの思い出を分かち合える、自分たちが納得できる方法で、供養を続けてくださいね。