思ってる以上に、葬儀の時にやることが多い。
家族がやる事と葬儀社のサポートはどこまでか。
家族や友人・知人など、人と人とのつながりがある限り、何度かは誰かの死に立ち会わなければなりません。
そのような中で頼りになるのが、数多くの人の死を見つめ、サポートしてきた葬儀社です。
葬儀では多くの場合、幅広い雑務を葬儀社のスタッフに頼ることになりますが、具体的にどこまで頼ることになるのかは、喪主側になってみないとイメージが湧きにくいものです。
また、葬儀では「絶対に家族でなければできないこと」もあるため、その点にも注意が必要です。
今回は、家族・葬儀社それぞれで、葬儀に関することを「どこまで行うのか」についてまとめました。
家族がやらなければならないこと
まずは、家族が対応しなければならないことについて、いくつか大切なことをご紹介します。
冷静に考えると、これを葬儀社がやるのは馴染まないとイメージできるはずですから、有事の際も混乱せずに対応したいところです。
親族・友人への連絡
故人の臨終の際は、不慮の事故など例外を除き、家族が臨終に立ち会うはずです。
そのため、中には臨終に立ち会えなかった家族・親族・友人も出てくることでしょう。
そこで、故人に何かあった際は、連絡すべき人たちに速やかに連絡を入れます。
深夜・早朝に亡くなる場合も当然ありますし、その際に急遽連絡を入れたとしても、それは失礼にあたりません。
むしろ「やっぱりその件か」と、故人と親しければ親しいほど合点がいくものです。
そこまで親しくない・遠い親戚であるなどといった方々に対しては、故人の安置後に葬儀の日程が決まってから連絡を入れます。
ただし、故人と仲がよかった人に対しては、遠方であろうと早急に連絡を入れた方がよいでしょう。
故人の死は急なことなので、死期が近づいたことを予感した段階で、誰に連絡を入れるべきかリストを作っておくと混乱しません。
順位付けするのは気が引けるかもしれませんが、故人にとってより大切な人を優先しましょう。
死亡届(死亡診断書)の発行・受け取り
故人が亡くなったことを医師が確認した段階で、死亡診断書を発行することになります。
死亡診断書は、死亡届とワンセットになっており、便宜上は死亡届と一緒と覚えておくとスムーズです。
死亡届(死亡診断書)は市区町村の役所に提出するための書類で、これがないと火葬許可証が手に入りませんから、必ず受け取らなければなりません。
これは、ほとんどの病院が1枚もので用意しており、役所以外でも何度か使用するため、コピーを何枚か取っておくことになります。
死亡届(死亡診断書)が役所以外で必要になる場面についてですが、大雑把に説明すると「故人の名義が絡むこと全て」に必要となります。
具体的には、銀行口座や不動産・生命保険に年金と、お金や財産に関連するものの名義変更に使われます。
なお、役所の戸籍窓口への提出については、必要事項の記載・捺印・コピー後に、原本を葬儀社のスタッフが提出してくれる場合があります。
葬儀の席では忙しくなることが予想されますから、頼れるところは素直に頼っておきましょう。
葬儀の手配(葬儀社への連絡)
故人が病院で亡くなった場合は、葬儀の手配をするために、葬儀社に連絡します。
病院にずっと遺体を安置しておくわけにはいきませんから、一度寝台車に遺体を乗せて、自宅まで移動することが多いです。
自宅が狭いなどの事情があれば、葬儀社が持つ専用の安置施設に搬送する形となります。
葬儀の手配については、すでに葬儀社が決まっている場合と、そうでない場合とでパターンが分かれます。
互助会の積み立てなどを行っており、お願いする葬儀社が決まっている場合は、専用ダイヤルに電話すればすぐに対応してくれます。
逆に、これといって葬儀社を決めていない状況であれば、病院側で葬儀社を紹介してくれますから安心です。
また、安置の段階までお願いして、葬儀自体は別の会社に頼むといった柔軟な対応も可能です。
葬儀社が対応してくれるサポート内容
続いては、葬儀社側が対応してくれるサポートについてご紹介します。
遺族の側ができない部分のほとんどをカバーしてくれるため、ついつい任せきりになってしまいますが、注意すべき点もあります。
基本的に、葬儀で必要な大抵のことはやってくれる
葬儀社側は、連絡を受けて葬儀の準備を進めることが決まった段階で、実にスムーズに動いてくれます。
サポートの範囲は多岐にわたり、以下のようなものが挙げられます。
- 遺体の安置・納棺
- 安置中のドライアイス(腐敗を避けるため)の配慮
- 枕飾り・祭壇等の準備
- 葬儀に必要な各種手配(訃報・供花・お供物・会葬礼状・返礼品・会葬者向け料理・交通手段・宿泊施設など)
- 各種申請代行(死亡届の提出と火葬許可証の受取代行)
- 斎場の予約と設営(遺影の準備・花祭壇・受付設置・案内板設置)
- 希望する宗派のお坊さんを紹介
実際に挙げてみると、本当に至れり尽くせりといった感じですが、肝心の部分は担当者が家族に確認を取りながら進めていきます。
少しでも不安に感じることがあれば、できるだけ早い段階で質問しましょう。
事前に故人が積立している場合はプランに従った対応
亡くなる前に、故人が互助会などに加入していて、葬儀にかかる費用を積み立てていた場合は、原則として事前に話をしたプランに従って対応することになります。
一つひとつの内容について細かい打ち合わせをしている場合を除いては、積み立てた分に加えてオプションを追加していく流れになります。
また、変動する要素に関しては、実際に本番を迎える段階で決めていきます。
予算や規模はある程度イメージできると思いますが、参列の挨拶をする方々の範囲や、最終的に参列の意向を示した親族の人数を確定させるなどの準備が必要になります。
その他、細かい席次や焼香の段取り、供花・お供物・返礼品・会葬礼状の確認など、細かい部分は遺族が行います。
もちろん、葬儀スタッフにアドバイスを求めることも可能です。
特に決まっていなかった場合は、見積もりの内容に注意を払うこと
葬儀に関する詳しい取り決めをしないまま、葬儀施行にまで至った場合、家族の側は多少シビアな判断を求められることになります。
それは「見積もりの内容に注意を払う」ことです。
急な葬儀を挙げる場合、多くの家族は忙しさにかまけてしまい、見積もりの内容・施行内容の内訳にまで意識が行き届かないことが多いようです。
そのため、葬儀が終わって請求額を見たときに「こんなはずじゃなかった」と思う人は意外と多いのです。
変動品目については、参列者の数に応じて金額が変わってくるため、追加対応などは現場のスタッフに判断を依頼することになります。
そのため、前もって予算をおさえることができるのは「固定品目」についてです。
具体的には、祭壇・棺・式場費用・備品などが該当します。
こちらを極力抑えるようにすれば、仮に変動費で金額が膨らんでも、予想外の出費に大きく驚くケースは少ないはずです。
時間的・精神的にゆとりがなくなる可能性はありますが、固定品目に絞って予算を減らすだけでも、不本意な総額の上昇を避けられるはずです。
葬儀の時の家族と葬儀社それぞれの対応
事前準備を終えて葬儀となった際、家族・葬儀社それぞれが必要な対応を迫られることになります。
本番を迎えれば、ほとんどの部分を葬儀社が代行してくれますが、やはり肝心かなめの部分は家族がやらなければなりません。
家族は挨拶と香典の管理に追われる
お通夜・告別式と、家族は参列者への挨拶・配慮に忙殺されます。
葬儀進行・案内については葬儀社が対応してくれますが、お世話になった人への挨拶はどうしても家族が対応することになります。
また、意外とイメージから外れがちなのが香典の管理です。
基本的に遺族となる家族側は受付に携わらないため、大抵の場合は信頼できる親族に依頼することになるでしょう。
受付してくれている間は問題ありませんが、一通り式が終わったら受付からお金を預かった後、香典管理表などを使った確認作業が待っています。
この作業はかなり時間がかかる上、後日になってから金額が合わない状況になると困るため、お通夜の後で夜半に金額をチェックする家もあるようです。
地域によっては、香典を受け取ってからすぐに香典返しを渡すため、半返し・三分の一返しなどの繁雑な計算を必要としない場合もあります。
プランが決まったら、葬儀社はつつがなく対応してくれる
具体的なプランがすでに決まっている場合は、葬儀社の側で式を進行してくれます。
家族葬・自由葬など、事前の打ち合わせが厳密に必要なものは別として、一般葬であれば型となる部分はある程度決まっているため、式次第について極端な違いはありません。
あえて言えば、宗派による違いは「どこでもよい」とは言えないため、事前に確認を受けるでしょう。
浄土真宗とそれ以外の宗派を比べると特に分かりやすいですが、一部を除いてお坊さんのスタイルから何からほとんど違うため、どのお坊さんを呼んでも大丈夫、とはなりません。
一般葬の中には、スタッフの判断でサプライズの催しを計画してくれるケースもあります。
これは全ての葬儀社が行っているわけではありませんし、明確にサービスとしてうたっているわけでもありませんが、丁寧な対応に感動したという人もいるようです。
お仏壇・お墓の相談にも乗ってくれる
葬儀社との関係は、葬儀が終わった後も続きます。
厳密に言えば違う会社であることも珍しくないのですが、例えばお仏壇業者・お墓業者とつながりを持っていたり、自社グループで店舗を経営していたりします。
お墓や供養以外では、相続・遺品整理の窓口を設けていたり、そもそも葬儀の前に相談できる窓口があったりと、一昔前なら弁護士・司法書士などに相談していたことが解決できます。
ただ葬式を行うだけでなく、人の死に関わる問題全般の解決を支える意識を持った葬儀社が、現代でシェアを伸ばしているのです。
この記事のまとめ
葬儀社のサポートは、故人のプライベートな部分には踏み込まないものの、式を挙げる点では非常に優秀なサポートをしてくれます。
また、葬儀の後のことを考えた対応も包括的に行ってくれる業者なら、サービスを受ける側も安心して任せたくなります。
とはいえ、信頼し過ぎて何もかも任せきりにしていると、後日届いた請求書を見てびっくりしてしまうかもしれません。
具体的なプランをイメージしないまま葬儀に臨んだとしても、最低限これだけの予算で進めたいという意向だけは、きちんと担当者に伝えておきましょう。