知ってるようで知らない忌引き休暇。
休暇の日数と規則や休暇後の基本的マナーについて
悲しい事ではありますが、人は誰もがいつかは亡くなります。
家族・親族が亡くなった場合、当然ながら勤務先を休んで駆けつけることになります。
その際に使われるのが「忌引き休暇」です。
一般的に、身近な人が亡くなった場合に取得する休暇をそのように呼び、喪主は葬儀運営のため、その他の人は主に参列者として葬儀に向かいます。
学生の場合は、学校を休んで葬儀に参列します。
よく聞かれる休暇の種類ではあるものの、実際の運用ルールについては会社・学校によって考え方が異なり、忌引き休暇後には周囲への対応も必要となってきます。
今回は、存在は知っていても詳しい中身はよく分からない、忌引き休暇に関する規則やマナーについてご紹介します。
これだけは覚えておこう!会社・学校で使う忌引きの基本
忌引き休暇を申請・取得するためには、会社・学校の許可が必要です。
また、忌引き休暇という概念は、忌引きという言葉の本来の意味とは異なるため、休みの日数などは仏事と一緒ではありません。
以下に、社会通念上の忌引き休暇について、基本的な情報をまとめました。
会社・学校でいう「忌引き」とは、主に葬儀の準備を想定したもの
会社・学校といった組織における忌引きとは、身内の誰かが亡くなったとき、家族・親族として葬儀の準備を行ったり、葬儀に参列したりする時間を設けるための制度です。
そのため、亡くなった方との続柄に応じて日数が変わり、疎遠な場合は弔電だけを送り、葬儀には参列しないという人も珍しくありません。
忌引き休暇の日数を決める続柄の目安は、配偶者をトップに、故人と疎遠になる間柄になるにつれて日にちが減っていきます。
この間柄・日にちについては、学校ではある程度範囲が決まっているものの、会社の場合はその会社の規則に応じて変わってきます。
もちろん、会社・学校によっては忌引き休暇の取得自体が定められていない場合もあり、その場合は有休・欠勤・欠席といった形で処理されます。
家族で余命わずかの人がいる場合など、忌引き休暇を申請する可能性がある場合は、事前に会社・学校の休暇制度について確認を取っておきましょう。
ちなみに、仏事における忌引きとは、一定期間自宅に控え故人を偲ぶための期間を言います。
俗に「忌中(きちゅう)」や「喪中(もちゅう)」などと呼ばれる期間がそれにあたり、忌中は四十九日まで、喪中は亡くなった方の続柄に応じて半年~1年という期間を定めるのが一般的です。
具体的な忌引き休暇の日数とは
忌引き休暇の取得日数は、故人との続柄に応じて定められています。
何親等かによって日数を定めている場合もありますから、詳しくは社内規則を確認することをおすすめします。
一般的には、以下のような日数を設けている会社が多いようです。
配偶者【10日間】
配偶者とは、夫もしくは妻のことです。
普段から生活を共にしてきた存在ですから、精神的なショックも含め立ち直るのに時間がかかるものと推察されます。
名義変更の手続きなども行わなければならないことも踏まえ、多くの会社で10日間ほどの忌引き休暇を設けています。
実の父母【7日間】
世帯主の実父・実母が亡くなった場合は、概ね7日間が忌引き休暇の期間として定められていることが多いようです。
こちらも、実家や通帳の名義変更など、少なからず子の立場で手伝う場面も出てきますし、場合によっては喪主を担当することもあるため、日数が多くなっています。
実の子【5日間】
残念ながら自分の子どもが亡くなってしまった場合は、実の親に次ぐ5日間が忌引き休暇の期間として定められていることが多いようです。
子どもが学校に通っていた場合は、手続きなどの兼ね合いもあって、有休と組み合わせて休暇を取る例もあるようです。
兄弟姉妹【3日間】
自分の兄弟姉妹が亡くなった場合は、3日間が忌引き休暇となるケースが多く見られます。
成人後も一緒に暮らしているなどの事情があれば、多少有休をプラスして対応するケースも考えられますが、すでに生活を別にしている場合、葬儀に参列した後は速やかに仕事に戻る人も珍しくないようです。
祖父母【3日間】
自分の祖父母が亡くなった場合については、3日間を忌引き休暇として設定している例が多いようです。
この場合、申請者の親世代が葬儀などに対応することが考えられるため、日数が少なくても問題ないとの配慮なのかもしれません。
配偶者の父母【3日間】
配偶者の父母が亡くなった場合は、3日間が忌引き休暇となります。
配偶者自身にとっては親にあたるため、7日間を設定してもらえる場合もあります。
家族ぐるみの付き合いがある場合や、遠方から駆け付ける場合などは、こちらも有休と組み合わせて休暇を増やす例が見られます。
配偶者の祖父母や兄弟姉妹【1日間】
配偶者の祖父母・兄弟姉妹が亡くなった場合は、1日間が忌引き休暇に充てられます。
こちらも、遠方に住んでいる場合などは有休と組み合わせて休暇を調整する例が見られます。
孫【1日間】
自分にとって孫が亡くなった場合は、1日間が忌引き休暇というのが一般的です。
年代によっては目に入れても痛くないほど可愛い存在ですから、1日というのは短い期間のような気もしますが、現状はそのように設定されている会社が多いようです。
関係者への連絡方法
忌引き休暇の取得については、自分の立場に応じてどのように取得の手続きを進めるのかが変わってきます。
以下に、主なものをご紹介します。
会社員の場合
忌引き休暇の申請が認められている会社であれば、直属の上司に申請を出します。
方法は主に書面で行われますが、急な場合は電話で事情を伝え、後日書類を提出する流れになります。
また、事故などの急な事情でない場合は、身内で亡くなりそうな人がいることを、あらかじめ上司に相談・報告しておくとスムーズです。
一時的に欠員が出るわけですから、上司への配慮も念頭に置いて休みを申請しましょう。
学生の場合
学生の場合は、大学生か高校生以下かによって、対応が変わります。
まず、大学生の場合は、単位取得のために出席を必要とする場合に、忌引き休暇の申請を行います。
学校によって対応は変わってきますが、各学部・研究所にある事務所に申し出る場合もあれば、教授などに直接連絡・メールなど行う場合もあります。
単位取得に出席日数が関係していない授業であれば、成績に影響を及ぼすおそれがない限り、原則として連絡の必要はないものとする大学もあるようです。
高校生以下の場合は、原則として親が事情を学校に伝えます。
この場合、担任の先生に電話で連絡するか、学校の事務員さんに取り次いでもらうかする必要があります。
休む際には、忌引きであることを伝え、出席日数・単位に影響が出ないよう配慮することが大切です。
公務員の場合
公務員の場合、職種が多岐にわたるため、事情によっては葬儀に参列すること自体が難しい場合もあります。
海上自衛隊員などは、乗船・航海命令が出ている場合、場所によっては日本に戻ることさえも難しいでしょう。
日程の調整が難しい職種についている場合を除いては、休暇規定が設定されているため、それに従って休暇を取ります。
なお、一般的な会社の忌引き休暇と比べた際、日数の考え方はそれほど変わりません。
忌引き休暇を使った後のマナー
忌引き休暇を使って喪主を務める・葬儀に参列する場合、その後出社した際は、関係各位に感謝と謝罪の気持ちを伝えます。
ちょっとしたことに思えるかもしれませんが、協力してくれたことへの気持ちをしっかり伝えることが、今後の業務を円滑に進めることにつながります。
職場には菓子折りを
忌引き明けの出社では、朝一番に上司に挨拶しましょう。
菓子折りは個別に分けて、同じ部署のスタッフやお世話になっているスタッフに渡します。
上司や同僚から香典を受け取っている場合は、香典返しもその場で渡します。
その際、一人ひとりに丁寧に言葉をかけることが大切です。
得意先にも必要に応じて連絡する
自分が担当している取引先・お世話になっている得意先にも、挨拶を済ませましょう。
自分が不在にしていた間、代わりに対応してくれていた人から引き継ぎを受けたら、お詫びと感謝の気持ちを伝えます。
菓子折りについては、どのくらいの頻度でお世話になっていたかにもよりますが、会社員なら職場向けのものよりは小さくてよいでしょう。
事業主であれば、グレードを一律にせず、その人との関係性に応じて選ぶのが賢明です。
子どもが小さい場合は連絡帳への記述・周囲への感謝の一言が大事
子どもが忌引きで長期間欠席する場合、親の側としては連絡をきちんとする必要があります。
連絡帳に、葬儀による欠席などの事由を書き、出席させる場合は感謝の言葉を伝えることを忘れずに行います。
学校側としては、休んだ子どものサポートに向けて、様々な対応策を取ります。
時には、クラスの友だちにお願いして連絡帳を渡してもらったり、学習状況に応じたフォローを入れたりする必要性に迫られます。
こういった手間をかけてくれていることに対して、手助けしてくれた人たちに一言感謝の気持ちを伝えるだけでも、担任の先生やクラスメイトの親御さんに与える心象は違うはずです。
この記事のまとめ
以上、身内が亡くなった際に職場に申請する忌引き休暇について、日数・取得に伴う規則・休暇取得後のマナーなどについてご紹介してきました。
忌引き休暇は、全ての会社・学校に取得が義務付けられているものではないため、取得する前には事前に詳細を確認することが大切です。
亡くなった人との関係性によっては、忌引きだけでは日数が足らない可能性もありますから、有休との組み合わせもあらかじめ想定しておくと手続きがスムーズです。
また、お休みをいただいた後は、迷惑をかけた職場の同僚・得意先・学校の先生などに、しっかり感謝の気持ちを伝えることを忘れないようにしましょう。