遺品整理は自分でした方が良いのかどうか
自分と業者依頼のそれぞれのメリットとデメリット

遺品整理を自分で行う場合のメリット

まずは、遺品整理を全て自分たちで行った場合のメリットについてお伝えします。
体力に余裕があるようであれば、やはり遺族の手で遺品整理を進めた方が、故人にとっても嬉しいはずです。

費用がかからない

自力で遺産整理を行う場合、労働力として家族・親族・友人といった人々の力を借りることになります。
よって、基本的にお金はゴミ袋や車のガソリン代など、身の回りの費用だけで片付きます。

業者に依頼する場合に比べて、人件費や交通費・その他雑費を抑えられるため、手持ちのお金が少ない場合は自力での対応をどれだけ進められるかが重要になります。
一部を業者に依頼するとしても、やれることを自分たちでやっておけば、その分別のことにお金を残しておけるでしょう。

気持ちの整理と作業を両立できる

故人がどんな生活をしていたのか、遺族は間近で見ています。
そのため、手早く遺品を片付ける事情がない限り、遺族としては故人との暮らしを思い返しながら遺品整理を行いたいはずです。

特に、故人の持ち物を捨てる際には、少なからず罪悪感を感じてしまうものです。
一つひとつ心の中でお別れを伝えながら整理・処分を行った方が、遺族としては心も軽くなるでしょう。

また、故人に対する気持ちを整理しながら整理を続けていると、やるべきことをリストアップしているうちに、色々と思い出すこともあるものです。
自力で遺品整理をすれば、第三者ではなかなか思い当たらないことに気付けるため、かえってムダ・ムラが少なくなるはずです。

自分たちで対応する分だけ後悔が少なくなる

業者に依頼した場合、担当者が遺族の心情を十分に汲み取れず、不快な思いをさせられる可能性があります。
また、状況によっては破損や追加請求などのトラブルに見舞われるかもしれません。

自分たちで遺品整理を行う限り、その責任は遺族が全て負うことになりますし、業者とのトラブルも想定する必要がありません。
遺族が担当する範囲が広がれば広がるほど、遺品整理に対する後悔は少なくなるものと考えてよいでしょう。

遺品整理を自分で行う場合のデメリット

次に、遺品整理を自分たちで行った場合に想定しなければならない、諸々のデメリットをご紹介します。
専門業者と違い、慣れない中で仕事を進めていく必要があるため、その点が大きなネックになるでしょう。

作業の段取りを効率的につけるのが難しい

人ひとり分の遺品というのは、実際に数え始めるとキリがないものです。
貴重品ばかりが遺品ではなく、趣味に関するものや食器など、家もしくは部屋にあるもの全てが遺品となります。

そう考えてしまったが最後、思っていた以上にモノがあると分かった時点で、どんどんやる気がそがれていきます。
特に、家族がわずかしかいないような状況であれば、できるだけ協力者を集めることが重要になってきます。

大人数になると、誰かが仕切って段取りを考えなければならないため、慣れていない人にとっては難しくなります。
その点、プロに依頼すれば仕事は確実に素人よりも早くなります。

捨てるべきもの・残すべきものが判別できない

貴重品はともかく、故人にとって思い出深い品は、残すべきか捨てるべきか迷ってしまうものです。
将来的に全く使う予定はないが、捨てるのはもったいない・申し訳ないと感じるモノが、どの家にも1~2点はあるものです。

判別に時間がかかってしまうと、結局そのまま家具の一部となってしまい、やがてはホコリをかぶってしまう可能性もあります。
最終的には遺族が決めることですが、業者がいれば感情が入る余地も減りますから、過去にとらわれず処理ができるかもしれません。

処分に困るものがある

遺品の中には、個人では正直処分に困るものがいくつかあります。
例えば、タンス・ベッド・冷蔵庫などが該当します。

これらを一人で外に持ち運び、粗大ごみとして処分してもらうのは、現実的ではありません。
また、処分を検討する際には、不用品なども一緒に発生することが予想されるため、場合によっては地域特有のルールなどを確認して処分しなければなりません。

地域によっては、月に1度しか収集してくれないゴミもあるので、自分の好きな時間に処分できないという面倒がかかります。
あまり自宅にスペースがない場合は、別の方法も視野に入れた方がよいでしょう。

遺品整理を業者に依頼する場合のメリット

自分だけで遺品整理を行わず、業者に依頼した場合、圧倒的に手間が減ります。
遺品を手早く処分する作業量と経験に関しては、遺族よりもはるかに豊富ですから、体力・気力に不安があるなら依頼するメリットは大いにあります。

体力の負担が少なくなる

業者に遺品整理を依頼した場合、そのランク・レベルにかかわらず、単純に人員が増える分だけ作業はスムーズになります。
遺族の目で遺品を大まかに仕分けしてしまえば、あとは残す・売る・捨てるなどの対応を業者が迅速に行ってくれます。

自分一人で何もかもしようとすると、どうしても無理が生じてしまい、体調を崩すリスクがあります。
また、重いものを一人で持つのは難しいため、人手が欲しいケースも生じてきます。

処分すべき遺品が多ければ多いほど、業者に依頼した方が作業をスムーズに進められます。
処分できる人手が足りない場合・重いものがたくさんある場合などは、素直に業者に依頼した方が賢明です。

判断能力・探索能力に優れる

遺品整理業者は、多くの家庭のケースを熟知しているため、時に遺族よりも処分に関する判断が早い傾向にあります。
もちろん、遺族に確認することはありますが、遺族が判断を一任してしまえば、あとはテキパキと整理・処分してくれます。

特に業者が優れているのは、判断すべきもの・たずねる必要がないものの仕分けです。
遺族自身も、必要なもの・不要なものをどう確認すべきか迷っていることが多いので、その前段階で業者が整理してくれれば、遺族の決断に対する負荷が軽くなります。

また、通帳やハンコなどの隠し場所は各家庭で違うことから、遺族でもどこに隠してあるのか分からなくなる場合があります。
遺品整理業者は、こういった貴重品の探索についてもノウハウがありますから、遺族よりも早く見つけることができる可能性があります。

業者によってはブランド品等も一緒に買い取ってくれる

遺品整理業者の中には、整理する中で出てきた高価な品物について、整理と一緒に買取も行ってくれるところがあります。
具体的には、金・銀製品、ブランドバッグ、時計などが該当します。

買い取ってくれた分の金額は、遺品整理の料金に充当することもできます。
別途買取業者から見積もりをもらう必要がありませんから、依頼すれば手間が省けて一石二鳥です。

故人が高価なものにこだわる性格だったなら、一度品々を業者に細かく見てもらうとよいでしょう。
ひょっとしたら、思いもよらないお宝が隠れているかもしれません。

遺品整理を業者に依頼する場合のデメリット

体力的な負担・細々した手間を省ける遺品整理ですが、必ずしもよいことばかりではありません。
続いては、業者に遺品整理を依頼した際に想定される、いくつかのデメリットについてご紹介します。

費用はどうしてもかかってしまう

遺品整理を業者に依頼すれば、どんな業者でも費用がかかります。
その費用は業界で一律となっているわけではないため、依頼する業者によって金額が変わってきます。

相場から大きく離れた値段で依頼してしまうおそれもありますから、できるだけ遺品整理業者に依頼する際は、複数の業者から相見積もりをもらうようにしましょう。
その中で、費用が安く済む業者を選ぶか、多少費用は高くなってもしっかり対応してくれそうな業者を選ぶか、条件を決めて後悔のないよう選びましょう。

業者によって仕事の質にバラつきがある

宣伝文句がいかに素晴らしいものであっても、やはり業者はそれぞれに長所・短所があります。
これは値段だけの話ではなく、各業者ごとの得意分野も関係してくる話ですから、その点のマッチングがうまく行かないと遺族が後悔するおそれがあります。

迅速に対応してくれるという宣伝を信用した結果、非常に雑な仕事をされたと後悔している人もいます。
逆に、時間は長くかかってしまったが、終始丁寧に対応してくれるので、高くても満足だったと話す人もいます。

これは、遺族の故人に対する思い入れにも関係してくるところなので、口コミなどを見て自分たちが求めている業者を探し出すしかありません。
誤解のないよう、無料相談などのサービスを受けて、対応の丁寧さを確認することから始めてもよいでしょう。

なお、遺品整理以外のプランを押し売りのように提案されるケースもあるようなので、その場合は丁寧に断った上で、あまりにしつこいようなら席を外した上で警察を呼びましょう。

悪徳業者に振り回されないためには、できるだけ口コミや評判を確認して、未然にコンタクトを防ぐことが大切です。

捨てて欲しくなかったものが捨てられてしまう

遺品整理に携わるのは、必ずしも遺族全員とは限りません。
たまたまスケジュールが取れた人が業者の作業に立ち会うことも考えられるため、遺族間で意思の疎通が十分に取れていない場合、誰かにとっての大切なものが捨てられてしまうリスクがあります。

できれば、業者に依頼する前の段階で話し合いを行い、遺族間で何を残しておきたいか、意見を統一した方がよいでしょう。
もちろん、最終確認時もできるだけ全員で立ち会うことが望ましいです。

この記事のまとめ

遺族で遺品整理を行う場合、費用は安く済ませられますが、人手やノウハウの不足が不安材料になります。
これに対して、業者に遺品整理を依頼した場合、迅速な整理は期待できるものの、業者とのミスマッチが問題になります。

それぞれに一長一短はありますが、業者に依頼する範囲を限定すれば、処分すべきでないものを処分してしまうなどのリスクは避けられます。
作業を全て業者に一任せず、できることは遺族で進めていけば、遺品整理を後悔なくスムーズに終えられるはずです。

  • 公開日:2021.01.01

テーマ:生前整理・遺品整理

タグ :

この記事を読んだ人におすすめの記事

最後の準備となる終活。独り身で終活をする際のポイントと注意点
終活と聞くと、自分のためというよりは、残された家族のために行うイメージがあります。 しかし、独り身の人にとっては、家族がいる人以上に自らの死を考える機会が大切になってきます。 生き ...

遺品整理の始め方。いつからすべきで、何を整理すれば良いかの基本
祖父母・両親・配偶者など、家族の誰かが亡くなってしまったら、遺族は心に大きな穴が開いてしまったかのような気持ちになります。 しかし、時間はそんな遺族の気持ちを無視するかのように進ん ...

自分の戒名は自分で決める?生前戒名・逆修牌のメリットとデメリット
多くの日本人にとって、戒名は自分が死んだ時にお坊さんが付けるもの、という印象があります。 しかし、仏教徒の目線で考えると、戒名は本来、修行を開始する生前に付けるものです。 現代人の ...

故人の遺品整理や遺品供養の「お焚き上げ」基本や価格・料金相場と注意点
人が亡くなった後、持ち主を失いさまよう遺品たちは、何らかの形で残された者が整理しなければなりません。 遺品を整理するにあたっては、いくつかの方法が考えられますが、その中の一つに「お ...

遺品整理を業者に依頼した場合の費用や相場と業者の選び方や注意点
家族が亡くなってから一息ついて、さあ遺品整理を始めようと思ってはみたものの、どこから手を付ければよいのか分からない……。 片付けていくうちに、一人では永遠に終わらない気がしてきた… ...