葬儀の「追加料金不要」は要注意すべき?
実は追加料金が発生するケースも?見極め方について

  • 2019.11.06
  • 2020.04.17

葬儀

葬儀社は、サービス利用者に対して様々な形態のプランを用意しています。
ネット主体の業者が用意する格安プラン・大手企業が葬祭業に進出したことで用意できるようになった定額プランなども、顧客に支持されるようになってきました。

しかし、同時にトラブルが発生するケースも見られるようになり、特に有名なのが「追加料金不要とうたわれていたのに、結果的に追加料金を請求されてしまった」というクレームです。

その件で、一部企業は景品表示法違反にあたるとして消費者庁から再発防止を命じられていますが、中には消費者側がきちんとチェックしなければ分からないこともあります。

今回は、葬儀における「追加料金不要」というルールの説明と、そのようなプランでも追加料金が発生するイレギュラーケースについて、その見極め方も含めてご紹介します。

葬儀の「追加料金不要」とは

まずは、葬儀を行うにあたり「追加料金不要」をうたうサービスについて、少し具体的に踏み込んでいきましょう。
追加料金不要というのは、要するに定額サービスのことであり、必要なものがパッケージングされているプランを選ぶものと考えてよさそうです。

あらかじめ定められた範囲で葬儀を行う

葬儀の現場では、見積書・請求書の内訳が分かりにくいという声が、長年聞かれていました。
祭壇やお花代など、日々の生活では相場が分かりにくいものも多く、その金額の根拠を顧客側が把握できないケースは珍しくありませんでした。

そのため、葬儀社側に不信感を抱く顧客も少なくなく、料金システムを明朗会計にして欲しいという声は多かったものと推察されます。
そこに目をつけた新興企業が、いわゆる「定額プラン」を提案するようになりました。

主に、直葬・家族葬といった規模の小さいもので実施されており、変動する要素を極力抑えたプラン構成となっているのが特徴です。
実際に満足度の高い葬儀が施行されている実例もあり、プラン自体は魅力的なものです。

「原則として」という文言に注意が必要

支払う金額が決まっていれば、サービス利用者にとっても不満を感じることはないものと思いますが、注意点もあります。
それは「原則として」追加料金不要だという点です。

極力葬儀に必要な要素を最低限にまとめ、無理のないプランに仕上げたことは魅力的ですが、人の死を相手にする葬儀の現場では、往々にしてイレギュラーが存在します。

それらに対して一律で対応するようにプランを構成してしまうと、さすがに葬儀社側も赤字になってしまいます。

よって、追加料金不要・定額制の葬儀を掲げる葬儀社の多くは、いくつか「このようなことがあった場合は別料金がかかります」という例外的な状況をまとめています。
そこに該当した場合は、残念ながら別途料金がかかってしまうというわけです。

きちんとプランの中身について確認することが大事

思ってもいない形で料金が発生するのを防ぐためには、プランの中身を事前に確認することが大切です。

消費者庁から指導を受けた葬儀社の多くは、追加料金がかかる例を分かりやすく明記するようになりましたが、同じようなサービスを運営する全ての葬儀社が同じように対応してくれているとは限りません。

ネット上で検索する場合、プランの説明を行っているページの多くは、そのプランにはどのようなものがサービスとして含まれているかが書かれています。
それらを確認して、最低限どのようなサービス・品物が保証されているのかを確認したり、事前に電話相談で気になる内容を質問したりすることが大切です。

もちろん、ネット上で比較すること・相見積もりを取ることも有効です。

追加料金が発生する状況とは

葬儀における定額制プラン・追加料金不要プランは比較的多く見かけますが、例外的に追加料金が発生する状況を考えたとき、具体的にはどのようなケースが存在するのでしょうか。

以下に、主な状況をご紹介します。

「あらかじめプランで定められている条件」を逸脱したときが該当する

金額がある程度決まっているプランは、サービスの内容・範囲もある程度固められています。
そのため、想定していた範囲を超えるようなサービスをお願いするような場合に、追加料金が発生するものと考えておくとよいでしょう。

人間は、自分で亡くなるタイミングを決められませんから、葬儀自体がそもそもイレギュラーの事態と考えられます。
よって、契約時には想定外だった状況が生じることは、ある意味当然とも言えます。

しかし、契約した側としては「支払う金額が決まっているから契約した」という気持ちがあるため、説明がなければ納得できないという気持ちも分かります。

他の商品・契約同様、事前に説明がなされていれば問題ない話ですが、一部の葬儀社の対応が不十分だったことから、消費者庁がチェックを入れたものと推察されます。

規定外とみなされる条件あれこれ

一口に規定外といっても、何が該当するのかはプランの内容によってまちまちです。
そこで、多くのプランで該当する条件について、いくつか挙げてみましょう。

想定していた範囲外で火葬を行う場合

一般的に、各市区町村において、火葬にかかる費用は一律です。
しかし、自宅が市街地から離れていたり、特殊なエリアだったりすることで、想定していた火葬料金を超えてしまうような場合は、足りない分を支払うことになります。

具体的には、近隣に公営火葬場がなく、都市部から離れた場所で火葬しなければならないケースが挙げられます。
住宅が密集する環境で遺体を燃やすのは環境面でも不安がありますし、不動産の価値が下がることを懸念する声も強いため、なかなか都市部で火葬場を探すのは難しいようです。

火葬料金の想定額は、葬儀社で別途定めていることが多いため、不安に感じた方は一度電話などで相談することをおすすめします。

安置に関する規定

遺体の安置日数は、固定額のプランでは決まっています。
理由は、その分だけ遺体を安置する場所を確保しておかなければならないため、日数が伸びる分料金がかかるからです。

これは、火葬場が空いているかどうかも関係しており、年末年始や混雑時などはそれまで遺体を保存しておかなければならず、ドライアイス・保冷施設確保に追加料金が発生します。

また、遺体の安置所と聞くと、人が集まって遺体を囲める病院の一室のような場所をイメージするかもしれません。
しかし、これは付き添いを希望する人用のお部屋であって、必ずしも遺体安置はその部屋でなければならないという縛りはありません。

よって、そもそも契約したプランで遺体の安置に必要な部屋を予約していない場合は、葬儀社が手配した保冷庫に遺体を安置するケースもあり、イメージとの違いからトラブルになる可能性があります。

安置の日数や場所については、事前に綿密に確認しておきましょう。

葬儀場の大きさ・プランのグレード

追加料金不要のプランと聞くと、本当に最低限の準備しかなされていないというイメージがあります。
しかし、実際にはいくつかのグレードを用意している葬儀社が多く、直葬・家族葬・一般葬などでプランや金額が変わっています。

各種プランで想定している参列者の人数に応じて、会場は決まっています。
よって、当初予定していた以上の人数が集まりそうな場合は、新しく大きめの会場を押さえる必要があり、その分金額も高くなります。

また、祭壇や棺のグレードを上げたいと考えた場合、それも別料金となります。
逆に、ダウングレードした場合、料金は返還されないケースが多いようです。

特別な事情により、どうしても追加料金が発生するケースも

基本的にはプランの条件から逸脱していない場合でも、事情により別料金が発生することもあります。
それは、故人が病院もしくは自宅以外の場所で亡くなった場合です。

具体的には、旅行中のホテル・出張先・船や飛行機での移動時など、亡くなる場所がそもそもイレギュラーだった場合は、プランで想定していた距離を大きく超えてしまうことがほとんどです。

業者によっては「搬送時に葬儀場までの距離が50Kmを超えた場合は別料金とする」旨を明記している場合があり、旅行・出張・乗り物の中という環境は条件を逸脱する可能性大です。

また、亡くなった原因によっても、料金は変動する可能性があります。
多くの場合、葬儀では病死・自然死を想定してプランを契約しますが、何らかの事件に巻き込まれたり、事故でこの世を去ったりするケースもあります。

最低限のプランでは、遺体が極端に傷んでおらず、ドライアイス・詰め物といった一般的な処置で鮮度を保てる想定となっています。
よって、遺体が大きく損傷していたり、大きな手術跡があったりする場合は、簡易的な処置では腐敗を止められない場合があります。

遺体を長期保存するエンバーミングなどの技術を用いる場合、その分料金がかさみます。
すぐに火葬できるプランなら問題ないかもしれませんが、式・火葬までに間が空くような状況であれば、負担が増える結果になるでしょう。

もっとも、このようなケースは契約時に想定できない部分ですし、文句をつける遺族はほとんどいないと思われますが、念のためお伝えしておきます。

この記事のまとめ

葬儀の定額プランは、支払う側にとっては分かりやすくありがたいものですが、葬儀自体が不測の事態であることを考えておかないと、大きく損をした気分になります。

人が死ぬ瞬間というのは、誰もがいつ訪れるか分からないため、ある程度の出費は想定しておいた方がスムーズかもしれません。

しかし、別途料金が発生する状況をまとめてみると、やはり料金がかかるのは無理のないことかもしれません。
とはいえ、全く葬儀社と話を詰めずに葬儀に臨めば、結果的に予定外の出費がかさんで精神的にもまいってしまいます。

きちんと納得して葬儀に臨むためにも、契約の段階で想定外の状況をリストアップして、後悔のないよう準備を進めましょう。

  • 公開日:2019.11.06
  • 更新日:2020.04.17

テーマ:葬儀

タグ :

この記事を読んだ人におすすめの記事

葬儀の補助金?葬祭補助金の条件・資格や葬祭費・埋葬料・埋葬費と料金について
「もしものためにコツコツ積み立てよう」というのは、葬儀に限らず金融機関等のCMなどでもおなじみのフレーズですよね。 確かに、有事に備えてお金を貯めておくことができれば不安要素は少な ...

お通夜の流れ。始まる時間や終わりの時間までのお通夜の流れを解説
一般的に、お通夜は夕方~夜にかけて行われるイメージを持っている人が多いと思います。 しかし実際には、始める時間や終わる時間に明確な基準があるわけではなく、あくまでも開催側の都合で決 ...

宗派によって違う香典袋の書き方。表書きの基本と書き方と注意点
香典袋を用意する時、多くの方はコンビニ・文房具店などで、すでに表書きや水引が印刷されているものを選ぶことが多くなりました。 しかし、それほど親しくない間柄の人の葬儀に参列するならま ...

身内が亡くなった葬儀の忌引き。休暇の日数や規則と休暇後の基本的マナー
悲しい事ではありますが、人は誰もがいつかは亡くなります。 家族・親族が亡くなった場合、当然ながら勤務先を休んで駆けつけることになります。 その際に使われるのが「忌引き休暇」です。 ...

忌明けとは?挨拶状の書き方やハガキと封筒、印刷と手書きなどの違いとルール
慌ただしかった葬儀が終わり、故人とのお別れを済ませて悲しみと向き合ったら、参列者の方々に改めてお礼を伝えなければなりません。 一般的には、いわゆる「忌明け」の時期を迎えた段階で、挨 ...