法事や法要の案内状の返信ハガキの書き方
出席する時・欠席する時のそれぞれの書き方とマナー
法事・法要の案内は、原則として家族・親族が中心となって取り組むため、電話だけで用が事足りてしまうこともあります。
しかし、故人と親しかった友人などを法要に招く際には、きちんとした案内状を送ります。
案内状を受け取った人は、出席するにせよ欠席するにせよ、失礼のないよう返信しなければなりません。
この記事では、急に法事・法要の案内状が届いた際に、返信ハガキを使って回答する際の書き方・マナーについてご紹介します。
施主側に迷惑をかけないためにも、迅速・丁寧な回答を心がけましょう。
法事・法要に出席する場合の基本とマナー
法事・法要を執り行う旨の連絡を受けた後、出席の意向を伝える場合は、施主が人数確認をする状況を鑑みて、できるだけ早く回答を送ります。
また、単純に出席の枠にマルを付けて終わり、ということのないよう、相手に敬意を払う書き方を学んでおきましょう。
案内状への回答は、礼節を大事にすること
手紙で意外と気にしていない人が多いマナー違反の一つが、送られてきた返信ハガキに対して、そのまま意向を書いて提出することです。
出欠確認が主な目的ですから、理論上はそれで問題ないのですが、そのまま返信してしまうと施主側に尊大な印象を与えてしまいかねません。
悪い見方をすると「誘ってくれて当たり前」という印象を相手に与えるおそれがあるため、あくまでも「ご案内いただいた立場」であることを自覚して、丁寧な回答を心がけたいものです。
もっとも、わざわざ便せんを使って感謝の気持ちを別途伝える必要はありませんから、いただいた案内状に対する基本的な回答方法だけを押さえておけば問題ありません。
基本的な返信ハガキへの回答方法
案内状の出欠確認は、おそらく往復ハガキのような「送付時に付属している返信ハガキ」に、出欠に関する確認項目が記載されているケースがほとんどです。
返信ハガキ部分の裏面に書き記すケースを例にとると、概ね以下のように書かれているはずです。
表記例
○回忌法要に
ご出席(○名様)
ご欠席
※いずれかに○印をおつけください
ご芳名
ご住所
お電話
上記の表記例をもとに、順に書き方をご説明します。
出席・欠席
まず、出欠確認への回答としては、ご出席・ご欠席のいずれかに○を付けます。
このとき、「ご出席」全てに○をつけるのではなく、「出席」にだけ○を付け、「ご」の部分に斜線で二重線を引きます。
次に、ご欠席の文字には縦二重線を引き、欠席はしないという意思を伝えます。
集計する際、施主側が勘違いしないようにする意味もあります。
芳名・住所
また、ご芳名・ご住所は自分に対する施主側の敬称であるため、送る側がそのまま返信するのは失礼です。
よって、ご芳名の「ご芳」までに二重線を引き、ご住所の「ご」には斜線で二重線を引きます。
要するに、自分に対する敬称を取り払ってから送ります。
なお、お電話の「お」についても、この場合は敬称と判断して斜線で二重線を引くのが基本マナーです。
単なる丁寧語としても受け取れますが、案内状への回答ですから、斜線の引き忘れがないよう注意しましょう。
裏面を一通り書き終えたら、今後は返信ハガキの宛名に書かれた「○○ ○○行」という施主の宛名の「行」を二重車線で消し、敬称の「様」に書き換えて完了です。
参列できることの感謝を述べる
ここまでの段階で、返信するにあたり最低限必要な準備は終わっています。
しかし、可能であれば、今回参列できることに対して「感謝の一言」を余ったスペースに書き加えると丁寧です。
具体的には、
「この度はご連絡をいただきありがとうございます 当日は皆さまと一緒に○○ 様のご冥福をお祈り申し上げます」
といった一言を添えましょう。
もし、余白がないようであれば、無理やり書き加える必要はありません。
法事・法要に欠席する場合の基本とマナー
欠席する場合は、出席する場合以上に気を配る必要があります。
決して「故人のことを軽んじているわけではない」旨を説明しなければなりませんから、誤解を与えないよう表現を工夫しましょう。
回答時に守るべきマナーは出席時と一緒
出席する場合と同じく、回答する際に守るべき基本的なマナーは一緒です。
おさらいすると、「ご欠席」全てに○をつけずに「欠席」にだけ○ を付け、「ご」の部分に斜線で二重線を引きます。
次に、ご出席の文字には縦二重線を引きます。
理由も出席時と同様です。
また、ご芳名の「ご芳」までに二重線を引き、ご住所の「ご」・お電話の「お」に斜線で二重線を引くのも同じルールです。
もちろん、宛名の「行」に二重斜線を入れ、「様」とその横に書き加えるのも忘れずに。
単純に欠席する意向を伝えるだけでは不十分
欠席の意向を伝える場合、単純に自分が欠席する意向を伝えるだけでは、相手に冷たい印象を与えてしまいます。
よって、せっかく案内状をいただいたのに参加できず残念だと、相手に一言伝える気持ちが大切です。
返信ハガキの空きスペースを使って、簡単に言葉をまとめるなら、以下のような書き方になるでしょう。
例文
この度はご連絡をいただきありがとうございます
当日はぜひご遺族の皆さまと○○様のご冥福をお祈りしたかったのですが
都合がつかず大変申し訳ございません
遠方からではございますが、○○様のご冥福を心よりお祈り申し上げます
例文の内容につき、全文を書けるスペースがあるならよいのですが、書けそうにないなら一部を書くだけでも問題ありません。
自分としては行きたかったが、どうしても行けない事情が生じてしまい行けなかった旨を伝えることが、説得力を増すポイントです。
おわびの文章は「感謝」と「やむにやまれぬ事情」を書くこと
返信ハガキを使って返信する場合、文字数に限りがあるのは否めません。
文字数を制限すると、要らぬ誤解を招いてしまうことも珍しくありませんから、できればおわびの手紙を別途用意すると丁寧です。
おわびの手紙を送る場合、封筒に返信ハガキを入れて欠席の意向を伝えた上で、断らざるを得ない理由を書き記します。
また、香典の郵送は現金書留でもできますから、一定の金額を包んでもよいでしょう。
欠席にあたり妥当な理由としては、病気や仕事の都合などが挙げられます。
もちろん、嘘をついてしまうとバレてしまった時が大変ですから、原因が病気・仕事のいずれにも該当しない場合は、正直に理由を伝えるべきです。
より丁寧な対応あれこれ
ここまで、出席・欠席それぞれの立場で書くべき内容について、簡単にまとめました。
しかし、四角四面にルール・マナーを守るだけでなく、時には人間味のある対応を心がけることも、施主側の気持ちを和ませます。
続いては、必ずしも返信時に行う必要はないものの、取り入れると相手に好感を持ってもらえる方法をご紹介します。
故人の家族と最近疎遠になったと感じている中で連絡をもらったら、ぜひ取り入れてコミュニケーションを円滑にしてください。
故人とのエピソードを書き加える
出席・欠席の意向を伝える際、返信ハガキに一言添えるだけでも、送り手は嬉しく思うものです。
しかし、故人とのエピソードや死後の年数経過に触れると、より懐かしい気持ちになれるはずです。
生前故人と過ごした時間を思い返すように、楽しかったエピソードを書き添えると、故人の家族も昔を思い出し、同じ時間を共有できます。
法要で顔を合わせた時、思い出話に花が咲くことも増えるでしょう。
注意点としては、故人と自分との間だけで交わされた話をエピソードとして書かないことです。
故人がバラして欲しくないことを家族が知ることで、不用意に争いの種をまかないよう気を付けましょう。
親しい間柄なら電話を一本入れても良い
もともと施主や故人と関係が深い間柄で、家族ぐるみの付き合いをしていた時期があるなら、ハガキが届いた時点で電話を入れるのも良い方法です。
近況報告と出席の意向を伝え、改めてハガキを送りましょう。
施主側にとっても、口頭で直接確認できることから、おそらく出席の確度は高いと考えるはずです。
もちろん、事情があってどうしても出席できない場合でも、誠意が伝わりやすくなります。
電話する場合、相手の家の都合を確認したいところですから、もし施主・故人の家族がLINEなどを使っている場合、一度チャットでの連絡を試みるのも良いでしょう。
そこで話を切り上げるか、通話して声を聞くかどうかは、相手方から回答が来たタイミングで考えれば問題ありません。
ボールペンでもよいが、あえて筆ペンで気持ちを伝える
葬儀とは違い、法事・法要では筆を使う決まりはありません。
そのため、ボールペンで返信ハガキに記入することはタブーではなく、できるだけ丁寧に書くことを意識すれば問題ないでしょう。
ただ、筆ペンが市販されている時代で、しかも法事・法要の案内状に対する回答なのですから、あえて筆ペンを使った方が気持ちは伝わるという考え方もあります。
習字などを行った過去があり、文字をきれいに書けるスキルがあるなら、達筆でしたためた方が心象も良いはずです。
ちなみに、マナーとしては、毛筆もしくは万年筆で回答するのが正式です。
現代で万年筆を使っているケースはそう多くないため、事実上は筆ペンが用いられるでしょう。
考え方によっては、万年筆の方が筆ペンよりも扱いやすく、しかも過去には公的書類のサインに使われていた経緯もありますから、各種イベントに備えて万年筆を用意しておくという方法もあります。
この記事のまとめ
法事・法要の案内状が届き、参加意思を伝える返信ハガキを送り返す際は、施主や故人の家族に対する敬意を文面で伝える必要があります。
出席するなら挨拶やお礼の言葉・出席できないなら理由と謝罪を伝え、相手に配慮した形でハガキを送りましょう。
また、故人との関係性によっては、電話を入れたり故人とのエピソードを書き添えたりした方がよい場合もあります。
基本的なルールを覚えることは大事ですが、相手が嬉しくなるだろうことを先回りして伝えるのも、故人を偲ぶ上で大切なことだと覚えておきましょう。