よく聞く遺産・相続トラブルについて。
実際にはどんな例や事例や揉め事があるのかを紹介します

遺産相続の現場では、同じ時間を過ごした家族・仲の良かった親族が、遺産相続によって醜い争いを繰り広げることも珍しくありません。
ちょっとした小競り合いで済む場合もある反面、その後の人生まで変えてしまうような大問題に発展するケースもあるため、かんたんに考えるべきではありません。
できるだけ事例・揉め事について事前に勉強しておいた方が、遺言者も相続者も安心して遺産相続を進めることができます。
この記事では、よく聞かれる遺産・相続トラブルについて、揉め事に発展する各種事例についてご紹介します。
こんなにあるの!?遺産・相続トラブルの事例あれこれ
それでは、遺産・相続トラブルに発展する、各種事例について細かくお伝えします。
一般的な事前対策と、万一問題が起こった場合の対処法についても、項目ごとにご紹介します。
故人が持っている遺産の内訳が分からない
遺言者本人も含めて、自分(故人)が持っている遺産の内訳が分からず、戸惑ってしまうケースがあります。これを解決するためには、生前に財産一覧をまとめた「財産目録」を作成しておくことが大切です。
その際、資産の情報だけをまとめるのではなく、借金など負債に関してもまとめる必要があります。
相続人が調査する場合、家にある預貯金や有価証券・自動車だけでなく、クレジットカードなどの残債・信用情報なども確認しなければならないため、骨の折れる作業です。
よって、できるだけ財産目録は遺言者自身が作成した方が賢明です。
財産目録は、パソコンの表計算ソフトを使ってまとめることが認められているため、得意な人はパソコンの力に頼ることをおすすめします。
財産目録は、自分でまとめられる範囲であれば問題ありませんが、会社を経営しているなどの理由から資産が多すぎてまとめきれないようであれば、弁護士・司法書士などに調査を行ってもらい、目録を代わりに作成してもらうと効率的です。
ちなみに、故人が借金をしているおそれがあり、どうやら遺産よりも借金の方が多いような生活をしているようであれば、相続放棄を検討した方がよいでしょう。
故人に隠し子や愛人がいた
日本の法律では、事実婚における内縁の妻・夫を相続人にすることができません。
また、遺言者が認知していない隠し子は、相続人としての資格を有しません。
しかし、仮に隠し子が本当に遺言者の子どもであったなら、正当に遺産を相続する権利があります。
また、夫婦仲はすでに冷え切っていて、内縁者と将来を誓い合っていた仲だったのなら、内縁者に対して一定のお金を遺したいと考える人もいるでしょう。
遺言書の中では、子供を認知することもできますし、内縁者に一定のお金を遺すことも指示できます。しかし、死後いきなり遺言書でその事実が発覚しても、遺族の感情が追い付かない可能性が高いと思われます。
かといって、せっかく遺言者のことを支えてくれた内縁者・愛する子供が、まったく恩恵を受けられないのは不憫な話です。
遺言者はできるだけ早く婚姻・認知・遺贈に関する手続きを進め、内縁者や認知されていない子供は、それらを遺言者に迫ることで関係を進展させた方が、後悔の無い結果につながります。
逆に、故人の家族の立場からすると、いきなりやってきた人が自分たちの財産を請求することに驚くはずです。
戸籍謄本を取り寄せれば、家族は親の過去の人間関係についてある程度把握できますから、気になる点があれば将来のために確認を入れておいた方がよいでしょう。
特定の相続人だけが遺産を独占しようとする
相続人同士の仲が悪かったり、一人だけ経済的に困窮している相続人がいたりするような場合は、一部の相続人が遺産を独占しようと試みる場合があります。
その一人の立場が強い場合、強気な姿勢で相続放棄を強要されることもあります。
遺言者があらかじめ家族の力関係を理解している場合は、遺言を正しい形式で作成し、相続人に遺産が平等に行き渡るよう文章を作成することで、ある程度解決の見通しを立てることができます。
しかし、将来的にトラブルが起こる可能性が高いと見込まれるなら、弁護士に依頼して間に入ってもらうことが有効です。
遺産が特定の相続人に使いこまれる
故人と同居している家族がいて、その中の一人が故人の預貯金を管理している場合、他の相続人のことを考慮せず、そのまま勝手にお金を引き出して使いこんでいるケースはよく見られます。
もし、金遣いが荒い相続人がいるようなら、被相続人が亡くなった時点で金融機関にその事実を伝え、口座を凍結してもらう方法が有効です。
相続の段階で、財産の一部が使いこまれていたことが明らかになった場合は、口座の履歴を確認して、遺産分割の際に使いこんだ分を差し引く方法が合理的です。
相手が強硬な態度を崩さない場合は、弁護士に相談した上で、不当利益返還請求を行うことになるでしょう。
遺言書の有効性が疑われる
遺言書の内容につき、何らかの理由で有効性が疑われた場合、無効になるケースがあります。
特に、自筆証書遺言の場合、誰も遺言書の中身をチェックしないまま遺言者が亡くなることも珍しくありませんから、できれば公正証書遺言を選んだ方がよいでしょう。
仮に、遺言者が亡くなった場合、その不備を取り返すことができず、一度無効と認められたら有効化できません。
また、遺言時に遺言者が認知症・精神疾患などであった場合や、文章の内容が極めてあいまいな内容に終始していた場合も、有効性が疑われるリスクがあります。
その結果、遺言者の意志に従って遺産を分割するのが困難になることもありますから、遺言者や近しい家族は、法的効力のある遺言書を作成できるよう、専門家に相談しておいた方が賢明です。
特定の相続人だけに相続内容が偏っていて、理由もはっきりしない
遺言者が特に家族の一部を可愛がっていて、特定の人物だけに遺産が集中するような状況になった場合、その不公平感が理由でトラブルに発展するおそれがあります。
しかし、法律上は、「遺留分」と呼ばれる相続人が相続できる遺産の最低限の割合がありますから、相続できる遺産が少ない相続人は、遺留分減殺請求を行って相続財産の一部を取り戻すことができます。
ただ、本来であれば、遺言者がその点を考慮して遺言書を作成した方が、トラブルの種は少なくなります。
どうしても特定の人物に遺産を多めに相続させたいなら、生前から事情を説明するなど根回しが必要になるでしょう。
取得する財産の種類について、相続人の中で意見が割れている
一口に財産と言っても、現金や預金通帳だけではなく、故人の資産としてカウントできるものは数多く存在しています。住宅・土地・車・家具・骨董品・会社など、人によっては実に多くのものが相続・継承の対象となります。
この点について、故人が遺言書を作成していなかった場合、遺産相続は困難を極めます。免許を持っていないのに車を相続してしまうなど、自分が相続してもどうしようもないものは、かえって処分に困るはずです。
こちらも、できるだけ遺言者が家族のことを考えて配分をまとめることが第一です。
誰に何を相続させるのか、主要な財産の目録を作った上で、遺言により相続内容を指定すしましょう。
ただ、急に家族が亡くなった場合、遺言のことなど考える暇もないまま遺産相続が始まります。その場合、分割協議でもめてしまうことも珍しくありませんから、まずは財産を時価で正しく評価することから始めます。
この時、遺産相続に入る前に財産評価を始めることがポイントです。
もし、同時進行で行った場合、財産の額を見積もって、相対的に得なものから取得していこうと考える人が出てくるからです。
どうしても話がまとまらないようであれば、遺産分割調停・遺産分割審判などの方法を検討してみましょう。
不動産に関する問題が発生する
相続する遺産が不動産のみ、というケースで多いのですが、不動産を複数の人間で分割相続する話になった時、配偶者や同居している家族が不利益を被る場合があります。
自宅の場合、相続が認められないことで今後の生活に大きな支障が出るリスクもありますから、できる限り遺言書で分割方法を指定しておいた方が確実です。
しかし、親子の仲が悪いなど、同じ屋根の下で一緒に暮らすことが困難な場合、遺言書がないことで配偶者は家から追い出されてしまう・当座の現金がなくなってしまうかもしれません。
それを防ぐためにも、不動産問題に詳しい弁護士・司法書士などに相談し、最善の案を遺言書に書き記すことが大切です。
ちなみに、この問題に関しては、2020年4月に「配偶者居住権」が認められるようになったため、正しく登記を済ませておけば、遺産相続の内容にかかわらず、配偶者は同じ家に引き続き居住できるようになりました。
法律の改正に伴い、今まで認められなかったことが認められるケースは往々にして存在しますから、相続に関する法改正をチェックしてみるのもよい方法です。
寄与分を認めない相続人がいる
親子で事業を営んでいるなど、被相続人が生きている間に、一部の相続人が被相続人の財産の増加・維持に何らかの形で寄与している場合、その分だけ多くの財産が相続できます。
これは、被相続人の療養看護も含まれるため、介護などに携わった人も該当します。
他の相続人が納得しているなら、寄与分の問題は発生しないことが多いのですが、中には寄与分について認めない人が出てくる可能性もあります。
そのため、寄与分を認めている相続人に対して、被相続人は生前から贈与などを行ったり、遺言であらかじめ遺贈分・相続分・遺産分割方法などを指定したりすることができます。
また、遺贈・贈与による利益は特別受益と呼ばれ、ある相続人に特別受益があった場合、その価額を相続財産の価額に加えて相続分を算定した後、一度特別受益の価額を控除して相続分を算定する「特別受益の持戻し」という手続きが本来あります。
しかし、これも遺言で免除の意思表示ができることから、世話になった特定の相続人にお金を遺したいなら、できるだけ遺言の内容に気を配ることが大切です。
この記事のまとめ

遺産相続に関するトラブルの種類は幅広く、遺産について現金を基準にして考えていると、不動産の相続などで困難な状況を招いてしまうおそれがあります。
財産・相続人に関する問題は、遺族が必要に応じて調べようとすると時間も費用もかかるので、遺言者が責任を持って情報を取りまとめたいところです。
遺言者が事前にカバーすることで、無益な争いを避けることができる部分も多いため、遺言に何ができて、何ができないのかを把握しておくと、被相続人・相続人ともに安心できるでしょう。
万一、何らかのトラブルが発生してしまったら、自分たちだけで解決せず、法律のプロである弁護士を間に入れて話し合うことが無難です。





