最近人気が高い「お墓参り代行」とは何なのか?
何をしてくれる業者で何が違うのか、特徴や料金の相場も

  • 2020.04.26

お墓

忙しい人・何らかの理由でお墓に足を運べない人のため、代わりにお墓参りを行う「お墓参り代行」のサービスが人気を集めています。
お墓の現状確認から丁寧な清掃まで、予算に合わせて代行してくれるため、遠方にお墓がある人も安心して頼めます。

その反面、赤の他人に自家の墓を清掃してもらう・お墓参りをしてもらうことに抵抗感を感じる人も少なくありません。
業者によっては、依頼者に説明なく別料金のかかる清掃を勝手に行われ、後々トラブルになってしまうリスクもあります。

便利なサービスだからといって、深く考えずに利用すると、後で後悔するかもしれません。
この記事では、お墓参り代行業者の概要や、特徴・料金の相場に触れつつ、実際に利用する際の注意点などをご紹介します。

お墓参り代行サービスの概要とは

お墓参り代行が現代で広く知られるようになったのは、インターネットの普及・副業としてのお墓参り代行が注目されたことなど、複数の理由が関係しているものと推察されます。

しかし、日本では古くから誰かの代理としてお参りを代行する文化があり、神社仏閣のお参りを代行することは「代参(だいさん)」と呼ばれていました。
そのため、お墓参り代行サービスの内容については、過去に利用したことがなくても、日本人なら何となくイメージできるかもしれません。

お墓に行けない人に代わってお墓参りをしてくれる

お墓参り代行は、その名称が意味する通り、何らかの理由でお墓参りができない人の代わりにお墓参りをしてくれるサービスのことです。
上京してから実家に帰る暇がない人・お墓が遠くにあって通えない人など、利用を検討するケースは多いものと推察されます。

なお、お墓参り代行につき、人によっては特定の個人や市町村にお願いすることもありますが、ここでは代行業者に絞ってお伝えします。

一通りの作業を終えた後、写真撮影も行ってくれる

お墓参り代行業者が行う作業としては、基本的に「一般人がお墓参りをする際に行う作業一式」を代行してくれるものと考えてよいでしょう。
具体的には、お墓の現状を確認してお祈りを捧げ、墓石周辺や墓石を清掃し、必要に応じてお供えも行うという流れです。

ここまでの説明で、代行業者が本当にお墓参りを行ったかどうか、依頼者がどのように確認するのか疑問に感じた人も多いと思います。
実は、多くの業者は作業前・作業後の写真を撮影して依頼者に報告するため、作業の成果が見えるように報告する仕組みとなっています。

写真をごまかせば、当然適当な業者という口コミが集まるため、どの業者も確実に仕事をこなします。
全く仕事をせずお金だけ受け取ってトンズラするケースは、少なくとも業者に限ってはないものと考えてよいでしょう。

何を・どこまで代行してもらうかにより料金も変わる

お墓参り代行サービスを使うにあたり気を付けたいのは、料金体系がやや分かりにくいことです。
お墓参りで行う清掃・供養の流れの中で、何を・どこまで代行してもらうかにより料金が変わってくるため、依頼する前にあらかじめ確認する必要があります。

  • 現状確認だけをお願いするのか。
  • 簡単なお墓参りも一緒にお願いするのか。
  • 本格的に清掃してもらうのか。
  • 汚い部分を徹底的にクリーニングしてもらうのか。

依頼の内容や難易度にも違いが生じるため、信頼できる業者を探さなければ、満足のいく清掃は実現できないかもしれません。
特に、ネット経由で依頼する場合は、評判・口コミをチェックするのはもちろん、分かりやすい価格体系・作業説明となっているかどうかを確認しましょう。

お墓参り代行サービスの特徴やメリット・デメリット

意外かもしれませんが、お墓参り代行業に参入している業者は、一般的な清掃会社だけではありません。
墓石を扱う石材店や、有償ボランティアとして様々な雑務を代行するNPOなども、お墓参り代行サービスに参入しています。

それぞれ、価格やサービス内容に違いがありますから、予算と行って欲しい作業内容・メリット・デメリットを比較して、後悔のないようサービスを選びましょう。

お墓の悩みは家それぞれ

お墓参りを代行してもらう場合、どんな作業を重要視するかは、各家によって異なります。
長い間お墓に足を運べず、せめてお供え物だけでもあげたいと考えている人もいれば、お墓が汚いので徹底的に掃除して欲しいというニーズもあるでしょう。

業者や団体によって得意・不得意がありますから、お願いする業者の得意なジャンルを把握するよう心掛けましょう。
例えば、その代行業者の本業が墓石の販売や製造なら、特に墓石のクリーニングに強そうだと当たりをつけることができます。

予算を安く済ませたいなら、NPOの有償ボランティアを頼れば、相場よりも安い値段で作業してもらえるかもしれません。
まずは、これから選ぼうとしている業者・団体が、自分たちの悩みを解消してくれるかどうかに焦点を当てて選びましょう。

代行するメリットは、自分が足を運ぶことなくお墓参りができること

お住まいの地域によっては、仕事を見つけるのが容易ではなく、就職のため都市部に引越すことは珍しくありません。
そのまま長く勤めているうちに、やがて仕事が忙しくなり、両親が亡くなってから全くお参りに行っていないというケースはよくある話です。

また、かつては車を運転して山間のお墓まで足を運んでいたものの、年齢とともに運転が不安になり、免許を返納してからは全くお墓に行かなくなってしまったケースも考えられます。

いずれの場合も共通しているのは、お墓に行きたい気持ちはあるものの、時間的・物理的にそれが難しいという点です。

このような悩みを持つ人にとって、自分の代わりに時間を作ってお墓参りをしてくれる業者がいるのは、非常にありがたいものです。
また、自分たちではなかなか手が届かないところまで、プロの視点から掃除を行ってくれるのも魅力です。

汚れが目立ちにくい種類の墓石もありますが、もし墓石に水垢やコケが付いてしまうと、なかなか取れにくいものです。
無理に汚れを落とそうとして、お墓に傷がついてしまう可能性もありますから、その場合は素直に専門業者を頼った方が安心です。

理解を得るのが難しい点はデメリットにつながる

お墓参り代行は、当然ながら合法的なサービスですから、必要に応じて誰でも利用できます。
しかし、古い価値観を持つ人の中には、お墓参り代行を頼むことに抵抗を感じるケースも少なくありません。

実家の家族が高齢になって、自分がなかなか足を運べないから業者に依頼すると提案しても、やはり「大事なお墓のお参りを誰かに任せるのは抵抗がある」という意見が根強いようです。

近所にお墓があると、ご近所や親戚同士の付き合いの手前、なおさら人の目を気にして依頼しにくいことから、手間はかかっても自分で何とかしようと考えるのは自然なことでしょう。

逆に言えば、お墓が遠くにあるなら、誰がどこのお墓にお参りをしているのかを気にする人は少ないですから、サービスを利用するのに抵抗感は少ないかもしれません。

他にデメリットとして考えられる点は、破損や別料金の問題です。
勇気を出して業者に依頼しても、お墓や仏具等が破損したり、別途汚れを発見して勝手にオプション料金を取られたりすると、なおさら不満が残るでしょう。

このあたりは、事前に電話やメールでサービス内容を確認し、必要なこと以外は行わないで欲しいと念押しするのが賢明です。

お墓参り代行の相場観

実際にお墓参り代行のサービスを依頼する場合、業者により金額は異なるものの、一定の相場は存在します。
以下に、お墓参り代行を依頼する場合の相場についてご紹介します。

現状を確認してもらうだけなら数千円でOKのところも

お墓参り代行のプランは、必ずしも掃除がワンセットになっているわけではなく、当面は現状だけ確認して欲しいという希望にも対応しています。

現状確認だけであれば、3,000円程度から受け付けてくれるところもありますから、お墓に行く時間を作ろうと思えば作れる場合は、まずは今どうなっているかを確認するだけでもよいでしょう。

このようなプランを依頼した場合、お墓参り・掃除などの作業は行われず、業者はお墓の墓石や周囲の状況がどうなっているのかだけを確認してくれます。
報告の際は、写真及び報告書を提出してくれるところが多いようです。

お墓の近くで災害が起こった場合に、取り急ぎ状況を確認しておきたい場合も便利です。

清掃・お墓参りを依頼する場合、1万円以上を見込んでおく

せっかくお墓にまで足を運んでもらうわけですから、どうせなら清掃や簡単なお供えを依頼したいと思うのは当然です。
もちろん、業者の側もその点はわきまえており、希望があれば清掃やお供えも行ってくれます。

予算は概ね1万円~2万円程度で、お墓を清掃した後、お花を供えてくれます。
また、タバコやコーヒーなどのお供え物は別途実費で請け負っている業者も見られます。

お線香や交通費・駐車場代については、コミコミ価格になっているか、それとも別途請求の対象となるか、事前に確認しておくと間違いがありません。
なお、雑草等の除去は、清掃代に含まれている場合が多いようです。

各種オプションを依頼するなら値段を確認しよう

業者によっては、お墓参りにつき各種オプションを用意しているところもあります。

土地が広かったり、灯籠など墓石とは別の建立物を清掃したりする場合、それぞれの条件で別途料金を請求されるケースがありますから、事前にホームページ等を確認しておきましょう。

また、墓地内に植栽をしているなら、その剪定も請け負っているところもあります。
年に何回かお墓参り代行をお願いする予定なら、回数を増やすことで1回あたりの単価が安くなるプランを用意している業者もあるため、希望があれば相談してみましょう。

この記事のまとめ

お墓参り代行をお願いする状況は、家族によって様々です。
遠方で足を運ぶのが難しい場合・体調不良等の理由がある場合・自分で汚れを落とすのが難しい場合など、理由は多岐にわたります。

お墓参り代行業者は、お参りを専門にしているというよりは、本業の傍ら行っているケースが多く見られるため、業者にも得意・不得意があることを押さえておきたいところです。

メリット・デメリットを把握した上で、頼んだ方が便利だと感じたら、まずはお見積りをお願いしてみてはいかがでしょうか。

  • 公開日:2020.04.26

テーマ:お墓

タグ :,

この記事を読んだ人におすすめの記事

供養塔とは?種類や特徴と建てる意味や墓石との違いについて
私たち日本人にとって、お墓と言えば四角い墓石をイメージするのが一般的です。 しかし、たまに日本建築に見られる塔のようなモニュメントを、お墓で見かけることがあります。 これは供養塔と ...

仏壇・位牌やお墓の開眼供養・開眼法要とは?行う時期や必要性と費用など
新しくお墓を建てた時・お仏壇を購入した時などは、ご先祖様や故人にそれを伝え、浄土から現世をお見守りいただきます。 そのために行われるのが、開眼供養・開眼法要と呼ばれる法要です。 し ...

お墓を建てる時の基本。お墓の必要性と菩提寺の確認や寺院の選び方
お墓は、日本人の心のシンボルの一つとなっていて、手入れをしたものも含め数百年単位で姿を保つお墓があるほどです。 しかし、いざ自分の家でお墓を建てようと考えた場合、それなりの費用がか ...

納骨式の基本とマナー。事前準備や当日の流れや必要なことなど
日本は仏式の葬儀を行う家が多く、仏教には火葬の文化があり、亡くなった人は火葬されることがほとんどです。 身体は燃え尽きると骨になり、その骨はそのままにしておくことはできませんから、 ...

お彼岸の基本とマナー。お墓参りの日程や服装、お供えなどについて
お墓参りやお寺参りのシーズンとして知られる「お彼岸」。 日本における毎年の恒例行事として覚えている人も多いと思いますが、実際のところ何をするのか知っている人は少数派だったりします。 ...