知ってるようで知らない法要やお布施。
法要の種類やお布施の金額と相場について。
死後は仏教徒として葬られることが多い日本人ですが、仏教の細かい知識については乏しい人が大半だと思います。
家族が亡くなってから、自分の家の宗派を初めて知ったというケースも、比較的よく見られる光景です。
葬儀はともかく、故人を弔った後に行う法要については、どこまで家族で行い、どこからお坊さんに棚経をお願いするのか、はっきりしない部分があります。
今回は、仏教において重要な意味を持つ法要の種類や、お坊さんを呼んだ際にかかるお布施の相場などについてご紹介します。
忌日法要(きにちほうよう)
仏教には、中陰(ちゅういん)と呼ばれる時間の概念があり、中有(ちゅうゆう)という別名もあります。
これは、人が亡くなった後、次の新しい生へ向かうまでの四十九日間が対象となります。
基本的な考え方としては、四十九日間死後の旅を進めていく中で、七日ごとに故人の生前の罪に関する裁きが行われるというものです。
インドにおける輪廻転生の考え方が日本で独自の死生観を生み、仏教で用いられるようになったものと考えられます。
中陰の時期は、七日ごとに法要が行われます。
それぞれの法要に共通しているのは、七日ごとの裁きに備え、できるだけ故人の罪を軽くして欲しいと仏様にお祈りすることです。
初七日(しょなのか)
初七日は、亡くなった日から数えて7日目を指します。
現代では、葬儀当日に繰り上げて行う例も増えてきています。
初七日は、生前の殺生について、虫や動物を不用意に殺さなかったかどうかの審判が行われるものとされています。
法要としては重要度の高いものであるため、お布施の相場も3~5万円と比較的高めです。
二七日(ふたなのか)
二七日は、亡くなった日から数えて14日目を指します。
この日は、生前盗みを働いたかどうかについての裁きが行われます。
現代では、特段お坊さんを招いて法要を行うことは少ないですが、中陰法要という形でお願いすることもあります。
その場合の相場としては、概ね3万円を想定しておきましょう。
また、二七日~六七日の間は、お坊さんを呼ぶとしても毎週にわたってお願いする必要はありません。
家族主体で丁寧に読経やお供えをあげるだけで十分です。
三七日(みなのか)
三七日は、亡くなった日から数えて21日目を指します。
この日には、生前の不貞に関する裁きが行われます。
こちらも、この日に中陰法要を依頼する場合は、二七日と同額で想定しておきましょう。
四七日(よなのか)
四七日は、亡くなった日から数えて28日目を指します。
この日には、生前の嘘に関する裁きが行われます。
五七日(いつなのか)
五七日は、亡くなった日から数えて35日目を指します。
この日には、水晶の鏡が用意され、故人の生前の罪状が映し出されると言われています。
六七日(むなのか)
六七日は、亡くなった日から数えて42日目を指します。
この段階では、来世で生まれ変わる条件が加わります。
七七日(なななのか)
亡くなった日から数えて49日目、いわゆる四十九日(しじゅうくにち)とも呼ばれ、忌日法要の中でも重要な位置を占める法要です。
最終的に故人の行く先が決まる日であることから、少しでも来世に業を残さぬよう、最後の祈りを捧げる日です。
この日には、遺族・親族・友人・知人が出席し、お坊さんの読経も行われます。
自宅で行われることがほとんどですから、お布施の相場は3~5万円、お車代が必要なら5千~1万円、お坊さんが会食を辞退した場合は御膳料を5千円程度包みます。
百箇日(ひゃっかにち)
故人が亡くなった日から数えて100日目です。
既に七七日(四十九日)を終えて、故人の行先は決まっているはずなのですが、百箇日を迎えるとあの世でも再審が行われると言われており、そのためには家族や親族の供養が必要だとされています。
原則として遺族のみで営まれる法要ですが、菩提寺との付き合いが長い家や、特につらい死を迎えた故人に向けて、お坊さんを呼ぶこともあります。
その場合は、3万円以上を包むケースが多いようです。
年忌法要(ねんきほうよう)
年忌法要とは、特定の年に故人をしのび追善供養を行うための法要です。
最初の段階で盛大に行い、年数が経過するごとに規模が縮小していく特徴を持っています。
一周忌(いっしゅうき)
故人が亡くなってから満1年となる時期です。
似たようなものに「一回忌(いっかいき)」があり、これは葬儀のお勤めを指しますから、間違えやすいので注意が必要です。
比較的大規模な法要となり、遺族だけでなく親族などの参列者もやってきます。
お坊さんを招いての法要となるため、お布施は3~5万円程度を用意します。
三回忌(さんかいき)
故人が亡くなってから満2年となる時期です。
遺族や親族・参列者が参加するレベルの法要ですが、一周忌と比較すると多少規模は小さくなります。
ここでもお坊さんにお経を読んでもらいますが、一周忌と違い、お布施は1~5万円の幅となります。
七回忌(ななかいき)
故人が亡くなってから満6年となる時期です。
このあたりになると、親族や知人の参加者も限られてくるため、家によっては遺族だけでの法要となります。
お坊さんを呼ぶ場合のお布施は、1~5万円程度です。
十三回忌(じゅうさんかいき)
故人が亡くなってから満12年となる時期です。
基本的には遺族のみで行います。
十七回忌(じゅうななかいき)
故人が亡くなってから満16年となる時期です。
こちらも、遺族のみが行うものです。
二十三回忌(にじゅうさんかいき)
故人が亡くなってから満22年となる時期です。
二十七回忌と合わせて、省略されることもあります。
二十七回忌(にじゅうななかいき)
故人が亡くなってから満26年となる時期です。
二十三回忌と合わせて、こちらも省略されることがあります。
三十三回忌(さんじゅうさんかいき)
故人が亡くなってから満32年となる時期です。
本来はめでたいことなので大々的に行うのですが、高齢化が進んでいることもあって、三十三回忌を務める子孫がいない家庭も珍しくなくなりました。
執り行う場合は、遺族・親族のほか、生前の友人を招くこともあります。
お布施の相場は1~5万円の幅ですが、三十三回忌を行うほどのご縁がある場合、お寺にてねんごろに供養が行われるケースも見られます。
ここでいったん、年忌法要は一つの区切りを迎えます。
宗派やお寺によっては、五十回忌を区切りとする場合もあるようです。
その他
最後に、故人の日や年に大きく関わるもの以外で重要なものや、お仏壇をお祀りしてから定期的に行われる法要についてもご紹介します。
特に故人だけを対象としたものではない法要もありますが、一般常識として覚えておいて損はないでしょう。
お彼岸
春・秋に分かれて行われる法要の一つです。
家庭でお彼岸法要を行うケースはやや珍しいですが、有名なお寺で合同法要に参加する人も見かけます。
どちらかというと、合同法要会に参加するケースの方が一般的で、檀家さんが菩提寺に足を運びます。
お墓がある霊園側で主催している場合もあります。
合同法要会に参加する場合、参加者をつのるハガキが送られてきてから、出席・欠席の意向を伝えます。
このとき、参加費用としてのお布施が記載されていることも多く、相場は3千~1万円という金額が妥当です。
もし、会場から遠い場合や、自分の体調がすぐれない場合などは、合同法要会には参加せず、菩提寺に個別法要をお願いするという方法もあります。
お坊さんのスケジュールにもよりますが、快く引き受けてくれた場合は、多少色をつけてお布施を包んであげるとよいでしょう。
他の法要同様、1~5万円を想定しておけば差し支えありませんが、足を運んでくれたお礼も込めて3万円ほど包むのがよいかもしれません。
お盆
多くの家庭で、お盆には実家に家族が戻ってきます。
そして、お仏壇を持つ家庭では、お盆の供養にお坊さんを呼びます。
家庭によっては、ある時期からお坊さんを呼ばなくなるケースも往々にして存在します。
お盆で重要なのは初盆で、親戚を呼んで盛大に行います。
お盆に来てもらうお坊さんに支払うお布施は、毎年のことなら5千~1万円程度でよいでしょう。
初盆となると多少金額が増え、3万円以上が相場になります。
お寺や地域によっては、相対的にお布施の額が高くなるケースもあり、5万円が一般的な地域もあります。
菩提寺とどれだけ親しいか、近所の支払額はどのくらいかによって、差が生じてくるものと考えておきましょう。
月命日(つきめいにち)
毎年の同じ月日の命日は「祥月命日」と呼ばれ、一年に一回は必ずお坊さんを呼んで供養を行います。
年忌法要をこのタイミングで併せて行うのが、日本では一般的な習慣となっています。
それとは別に、毎月の命日(月命日)にお坊さんを呼んで、お経をあげてもらう殊勝な家庭も少なくありません。
故人が亡くなってから1年以上の間、毎月欠かさず供養をする家庭もあるようです。
月命日では、その家に住んでいる家族だけで供養を行います。
また、本来であればお坊さんを呼ぶ必要はなく、自分たちでお経をあげればよいとされています。
もし、お坊さんに来てほしい場合は、お布施とお車代を一緒に包むことになります。
お布施の相場が5千円~1万円、お車代の相場が5千円~1万円という金額になっているため、キリの良い3万円を包むケースが一般的です。
この記事のまとめ
法要の種類は数多く存在し、その全ての由来を知っている人もごくわずかです。
また、法要の中でもお坊さんを呼ぶ必要があるものとないものとに分かれます。
大きく分けると、相場観に大きな違いはなく、どの法要でも1~5万円の幅で変動しています。
そこに、お車代や御膳料が加わるというのが、一つの基準となっています。
対象となる法要が、お坊さんや親族たちを呼ぶべき法要なのか疑問に思ったら、故人が亡くなってから何年が経過したのかを思い返してみましょう。