今の時代、家族と同義になったペットたち。
そんなペットが亡くなった時の葬儀やお墓について
一昔前までは、犬を飼っていたけどお墓がどこにあったか分からない・飼っていた猫がいつの間にか家からいなくなっていた、ということも珍しくありませんでした。
しかし、現代ではペットも家族の一員として、最期を看取ってもらうことが多いようです。
ペットが亡くなった後、飼い主は遺体をどうするか・葬儀をどうするか・お墓をどうするかといった問題に直面します。
犬や猫を中心に、ペットの場合は人間の葬儀とは勝手が違うため、初めての場合は戸惑ってしまうことも多いはずです。
この記事では、ペットが亡くなった時の看取り方・葬儀・お墓の問題について、具体的に何をすべきなのかをまとめました。
ペットの魂が安心して旅立てるよう、その時その時で後悔のないよう、大切な家族の別れと向き合いましょう。
ペットが亡くなった時に家族がすべきこと
ペットの体調が悪化し、自宅でその最期を看取った後は、ペットを送り出す準備をしなければなりません。
自分たちの悲しみを洗い流す意味でも、丁寧に取り組みましょう。
身体を清める
まずは、身体を清める意味で、温かいタオルを使って身体を拭きます。
全身を丁寧に拭き、汚れを落としていきます。
続いて、口元・鼻の孔・お尻など、身体の穴にあたる部分に綿などを詰めてふさいでいきます。
身体が機能を停止した直後、今まで筋肉で制御していた部分が緩むため、身体の各所から体液・糞尿が出てきてしまうためです。
手元に綿がない場合は、ペッドシーツなどを使って遺体を安置し、汚れたら交換するようにします。
身体の状態を整える
人間の身体もそうですが、亡くなってから時間が経過すると、亡骸の死後硬直が始まります。
このとき、硬直をそのまま放っておくと、不自然な体勢のまま身体が固まってしまうので、できるだけ身体が柔らかいうちに自然な状態に体勢を整えます。
横に寝転がった状態をイメージして整えると、葬儀を行う際に遺体を動かしやすくなりますし、棺に入れる際にも納めやすくなります。
ペットが亡くなってからすぐに火葬できるとは限らず、火葬装置の予約に手間取る可能性もありますから、できるだけ移動させやすい・動かしやすい体勢を整えることが大切です。
何より、少しでも長く生きようと頑張ったペットが苦しんだ姿勢のまま亡くなるのは、あまりにも悲しいことです。
「よく頑張ったね」と声をかけながら、身体を整えてあげましょう。
身体を冷やして安置する
遺体は腐敗します。
そのため、身体を冷やして安置しなければ、どんどん腐敗が進んでいきます。
人間の場合と違い、ペットの葬儀は必ずしもスピーディーに行えるとは限りません。
火葬の予定が決まっていて、すぐに葬儀ができるなら問題ありませんが、時間がかかるようならそのまま放っておくことはできません。
その日のうちに葬儀ができるようであれば、エアコンで遺体を冷やしたり、保冷剤を抱かせたりする対応が必要です。
時間がかかるようなら、発泡スチロールを用意して、冷やした保冷剤の上にシーツを敷き、遺体を安置しましょう。
ペットの葬儀で家族がすべきこと
ペットの遺体を整える作業を終えた後、あるいはその最中に、葬儀に関する準備を進めていきます。
葬儀を行うのか、火葬はどこでするのか、霊園はどこにするのかなど、大まかなことから細かなことを決め、式に臨みます。
葬儀や火葬・霊園の予約をする
ペットの葬儀については、費用自体が人間に比べて少額ということもあり、残念ながら互助会制度のようなものが存在しません。
よって、基本的には葬儀費用を積み立てるようなことはせず、亡くなった段階で葬儀社等を決めることになります。
葬儀社に連絡する場合もあれば、ペット霊園に直接連絡する場合もあります。
動物病院で看病の末亡くなった場合は、病院に確認すると情報をもらえることもあります。
いずれにせよ、何をどこまで葬儀社・霊園などにお願いするか、費用はいくらかかるのかなど、具体的なことを家族・担当者と話し合いながら決めていきます。
葬儀は要らないという場合であれば、火葬だけを保健所に依頼する方法もありますし、骨を拾わないという選択肢もあります。
方針が決まったら、葬儀・火葬・埋葬について必要なものを揃えられるよう準備します。
後は、あらかじめ決めた内容に従って、セレモニーなどを進めていきます。
ペットの葬儀において特徴的な点としては、いわゆる喪服などを着用する必要がない点・葬儀の準備がほとんど葬儀社側で済ませられている点です。
お供えなどは自分たちで用意しますが、お膳立てはすでに終わっているものと考えてよいでしょう。
お通夜・告別式という流れはなく、セレモニーが終わったらすぐに火葬へと移ります。
火葬台に載せるのは家族というケースが多いため、きちんとお別れできるようにしましょう。
思い出の品として残すもの・ペットと一緒に燃やすものを決める
火葬台に載せる際に、葬儀社側から「生前ペットが好きだったもの」を持って来るよう言われることがあります。
基本的には、遺体と一緒に燃やせるものであれば、何を一緒に燃やしても大丈夫です。
おやつ・おもちゃなど、ペットが普段好んでいたものを選んで差し支えありません。
ただし、金属や水分の多いもの・骨が付いたままの食べ物はNGです。
ミルクが好きなペットは多いと思いますが、係員に認められた場合を除き、原則としては避けるべきです。
骨付き肉などを入れる場合は、骨を事前に外してから入れましょう。
魚を入れたい場合は、刺身を購入するとスムーズです。
遺骨をどうするか決める
火葬後に残った遺骨は、もちろんそのままにしてはおけませんから、家族の方針に応じて遺骨をどうするのか決めていきます。
具体的には、火葬を依頼した霊園に納骨するか、いったん持ち帰るか、粉骨するかを選択することになります。
葬儀社に依頼した場合、多くのプランで骨壺は用意してくれるため、公営など一部の場合を除いては自分たちで骨壺を用意する必要はありません。
納骨する場合は、骨壺とペットの写真・お供え物などを、納骨堂など指定された場所に納めます。
とりあえず自宅に安置することを検討する場合は、一度遺骨を自宅に持ち帰ります。
また、将来的に散骨を検討している場合は、粉骨ができる施設があるかどうかを確認しましょう。
可能であれば、散骨に関することは、霊園や葬儀社に依頼する段階で確認しておくとスムーズです。
ペットのお墓について家族ができること
最後に、ペットのお墓に関することです。
ペットは人間と違い、埋葬・供養の自由度は高い反面、必ずしも人間と同じようにできるとは限りません。
人間と同じ部分・違う部分を確認して、後悔のないようにプランを練りましょう。
供養の方法を決める
まずは、どのような形でペットを今後供養していくのか、家族としての方針を決めていきます。
お墓を建てて定期的に足を運ぶのか、亡くなった後も自宅で家族として扱うのか、それとも自然に還すのかなど、いくつかの選択肢の中から納得のいくものを選びます。
遺骨となった後は、公共の場所に埋める・禁じられた場所に散骨するなどの行為をしなければ、基本的に家族の意向を通すことができるものと考えてよいでしょう。
自分たちのライフスタイルに当てはめて考えたとき、無理のない方法を選びたいところです。
お墓を作るなら霊園に相談する
霊園自体が比較的近所にあり、通うための交通機関も確保できるなら、霊園にお墓を作ることを想定してもよいでしょう。
この場合は、霊園に相談して具体的な納骨方法を決めていきます。
方法はいくつかあるため、以下に主なものをまとめてみました。
納骨堂
納骨堂を選んだ場合は、小さく仕切られたスペースの中で、骨壺・仏壇を設ける形になります。
納骨堂の設備によっては、都市型の納骨堂のように、足を運んだ時だけ骨壺が機械から出てくるような仕組みもあります。
お墓を建てることは難しいものの、丁寧に供養したいという家族向けの方法です。
合葬
納骨する場所がなく、事情があって個別にお墓を作るのが難しい場合は、合葬という方法があります。
ペットの種類を問わず、動物たちの骨をまとめて埋葬するため、シンボルとなる「合同供養塔」などに祈りを捧げることになります。
合葬する場合は、合同供養塔などの施設で供養するため、骨を拾うことはできません。
しかし、自宅に写真を飾って供養することを想定しているならば、特段遺骨をどこかに安置しておく必要はありませんから、合葬でも問題ないでしょう。
個別墓
ペット霊園に個別の墓を建てる場合は、人間と同じように一定の区間を借りてペット用のお墓を建てます。
飼い主の意向を反映したデザインの石を配置することもでき、お値段も人間のお墓に比べればお手頃です。
家族だけでなく、親族や近所の人にも愛されていたペットなら、お墓を建てておくと誰もが気軽にお参りできます。
また、自分以外の家族と疎遠で、ペットのことを本当に大切にしていた人なら、心の拠り所として建立することもあるでしょう。
ペット霊園によっては、火葬・納骨はできても場所がないというケースは珍しくないため、事前の確認が必要です。
お墓を作らないなら手元供養か散骨を
納骨堂・お墓という方法を選ばないのであれば、自宅に骨壺を安置する手元供養か、野山や海に骨を撒く散骨という方法があります。
手元供養の場合は、小さな仏壇や供養スペースを作り、そこに骨壺を安置するのが一般的です。
散骨する場合は、専門業者に依頼して粉骨し、環境に配慮した形で海・山などの自然に還します。
なお、自宅に十分な敷地があるなら庭に小さなお墓を建てるという方法もありますが、家を売却するなどの事情が生じた場合に買い手がつかなくなる可能性もあります。
どのような方法を選ぶにせよ、自分たちの将来は誰にも分からないわけですから、できるだけ未来のことを考えた選択を心がけましょう。
この記事のまとめ
ペットが亡くなった際に考えるべきことは、お別れ・葬儀・お墓の問題に大別されます。
今まで一緒に生きてくれたことに感謝の気持ちを伝え、葬儀に臨み、最終的に供養をどのように行っていくのかを決めていきます。
決めるべきことはシンプルで、選択肢も比較的自由度が高いため、家族の意向を十分反映できるはずです。
しかし、近隣の住民に迷惑をかけない・将来にわたり供養できる方法を考えるなど、最低限のマナーを守るのは忘れないようにしましょう。