実は葬儀と言っても色々な種類があります。
一般葬や家族葬などの特徴と費用と新しい葬儀スタイル
葬儀と聞くと多くの人は同じようなイメージを抱くかもしれませんが、実は葬儀にはいくつもの種類があります。
とはいえ、葬儀の種類は時代の変遷とともに数を増やしており、葬儀会社も一般的なプランだけではニーズを満たすことが難しくなってきています。
お通夜のあとで告別式、そして親族みんなで精進落としという流れは、現代では必ずしもスタンダードなものではありません。
多様化した葬儀の種類には、それぞれいくつかの特徴があり、それに応じて費用も変わってきます。
今回は、一般葬・家族葬など、葬儀のスタイルから特徴・費用をご紹介します。
一般葬の特徴とかかる費用について
いわゆる現代の葬儀の基本的な形式が「一般葬」です。
名前の通り一般的に行われやすい葬儀と言えます。
葬儀会社の方で聴き取りをして段取りを組むことが多く、一つひとつのプラン・パーツごとに値段が決まっています。
遺族側は、その中から必要に応じてプラン・パーツを選び、最終的にどのような式を行うのかが確定します。
葬儀代を積み立てたり、会場をおさえたり、事前にできることが多いという特徴を持っています。
お通夜・告別式を行う一般葬は未だ主流
宗教などの事由によって違いはあるものの、お通夜・告別式を行うプランが基本となっている一般葬は、日本国内でも主流となっています。
仏式だけでなく、無宗教葬であっても同様の形式を設けているケースは少なくなく、広く日本の葬儀に浸透した概念と言えるでしょう。
一般葬であれば、生前故人がお世話になった人と、一度にお別れの機会を設けることができます。
葬儀後に弔問客が訪れることは少なく、幅広い人たちと話ができる点も利点です。
そのほか、一般葬では参列者から香典をもらえます。
参列者が多い分香典収入も増えるため、会葬者の飲食接待費・返礼品を賄うお金も用意できます。
長い間続いているだけあって、システマチックに葬儀を行える仕組みが、一般葬では既に組み立てられているのです。
費用は100万円単位が基本だが、プランを選べば安くもできる
一般葬の費用を考えた場合、例外は往々にして存在するものの、基本的には100万円以上を見込んでおく必要があります。
飾りつけ・祭壇などはそれなりに立派にしなければならないため、会場もそれ相応の広さが要求されます。
また、参列者の数も予測しにくい部分があり、飲食接待費を多少多めに見積もっておくなど、変動費ならではの問題も発生します。
そのため、想定以上にお金がかさんでしまうリスクもあります。
とはいえ、事前に葬儀会社との打ち合わせによって細かく取り決めることはできますし、パーツ・プランも最低限に抑えておけば、50~70万円程度におさめることも十分可能です。
一般葬を選択する場合、急に家族が亡くなった場合を想定し、あらかじめ葬儀会社とは細かく打ち合わせをしておくことをおすすめします。
参列者・親族が多く見込まれる場合は一般葬を考える
一般葬は日本で広く認知されているため、参列者が多く見込まれる場合などは、一般葬を選んだ方が無難です。
故人の交友関係が広ければ広いほど、その傾向は強まりますから、無難な選択肢ではあります。
また、親族の数も相対的に多くなりがちなため、なかなか精神的にゆとりを持ってお別れすることは難しいでしょう。
その反面、葬儀を行った段階である程度一通りの儀式は終えることになるため、対外的なお別れが済んだ分日常生活に戻りやすい一面もあります。
大勢の人が集まる可能性が高い場合は、準備できる金額に応じて一般葬を選びましょう。
家族葬の特徴と費用について
核家族化が進んだことなどにより、あまり付き合いのない親族も呼んで葬儀を行う必要はないのではないかという考えが広まり、家族・近しい親族のみで行う「家族葬」は生まれました。
故人と身近な人も、故人が長生きする分少なくなります。
そのような状況下で、高いお金を支払って高い葬儀を行う必要があるのかという問題意識から生まれた葬儀の形式です。
参加する人数や、葬儀にかかる費用を抑える目的で生まれた形式のため、主なメリットは費用面にあります。
その反面、葬儀後の弔問客が増えるリスクも持ち合わせています。
家族・身内だけで葬儀を行うため、簡素で安くなる傾向がある
家族葬の参加者は、基本的にその名の通り身内だけです。
そのため、葬儀の準備が一般葬に比べて簡素となり、準備に追われるといった心配は少なくなります。
もちろん、自由度自体も高いため、こだわりたければこだわることも可能です。
一般的には、故人の意向に沿った葬儀を行うことになるため、準備にかかる時間も格段に減ります。
遠方の親戚・友人に連絡する機会も少なくなりますし、周囲に気を遣う場面も一般葬に比べると少ないでしょう。
コンパクトに葬儀をまとめられる点が、家族葬の特徴と言えます。
葬儀費用は遺族のみの出費となり、香典はもらえない
家族葬を行う場合、参列客からの香典が期待できないため、一般葬よりも香典が少なくなります。
完全に家族・親族だけで行うなら、葬儀費用は故人もしくは家族負担となってしまいます。
事前に予算は確認して準備できるものの、香典を費用に充てることは難しいと考えておきましょう。
また、会場の都合上参加できる親族に限りがあった場合や、参列したかったのに参列できなかった人がいた場合なども、何らかのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
生前ご近所付き合いが多かった故人であれば、隣近所の人が自宅を訪れるというケースも十分あります。
そこで香典をもらうと、返礼品や来客対応が別途必要になり、費用の都合はつくものの手間がかかります。
事前に周囲の理解を得られるかどうかが、今後を決める分かれ目と言えます。
参列者を限定したい場合は家族葬
故人の遺志がはっきりしていて、身内だけで葬儀を行って欲しいという意思が強い場合は、参列者を限られたものにする家族葬がよいでしょう。
遺族としても、周囲に配慮せずお別れができるため、大勢の人が集まる一般葬よりも気疲れはありません。
しかし、家族葬に決めるのであれば、親族や参列者に対するケアも考えておく必要があります。
その意味では、周囲と歩調を合わせた決断が求められるでしょう。
もちろん、家族葬という選択自体に問題があるわけではなく、誰に参列してもらいたいのかをはっきりさせておけば、トラブルが起こることはありません。
特に、故人が高齢だった場合は、そもそも参列する関係者自体が少ないことも十分想定されます。
故人とお別れしたいと思っていた人への配慮さえ十分であれば、家族葬を成功させることは難しくありません。
参列希望者と参列できなかった人へのケアを中心に、念入りに考えておきましょう。
時代に合わせて一般葬・家族葬以外の葬儀プランも
同じ葬儀でも、一般葬と家族葬ではいくつか違いがあることは、お分かりいただけたと思います。
その他、一般葬・家族葬以外のプランも、葬儀の現場では新しく認知されてきています。
一般葬・家族葬以外の選択肢を必要としている方は、一度これらの葬儀プランも検討してみましょう。
二日分を一度に済ませる一日葬
まずは、お通夜をせずに告別式・火葬を全て一日で終えるタイプの「一日葬」です。
こちらも参列者はそこまで多くなく、家族葬と同様、遺族と親しい縁故知人のように、一部の親密な付き合いのあった参列者に限られます。
お通夜を行わない分飲食代が節約され、返礼品の費用も少なくなる傾向にあります。
とはいえ、告別式で儀式自体は行うため、一般葬と比較したときの費用はそこまで抑えられません。
お坊さんとの関係については、菩提寺とどのような付き合いがあるかによって変わってきます。
一日葬にするから御布施が安くなるのかや、そもそも一日葬に対応できるのかどうかなど、事前に相談が必要な場面もあるでしょう。
施設利用料も同様で、お通夜→告別式という流れを想定している施設なら、二日分の料金がかかるかもしれません。
逆に、準備にそこまで手間がかからないなら一日分の費用で認めてもらえる可能性もあります。
お通夜はないものの式は行うため、費用としては70~100万円程度を見込んでおきましょう。
火葬だけで完了する直葬
お通夜・告別式は一切行わず、火葬だけで故人を送る形式を直葬と言います。
火葬だけなので、身内もごく限られた人間のみが立ち合い、希望があれば火葬炉の前で僧侶が読経をしてくれます。
直葬の場合、費用面で最も負担が少ないという利点があります。
プランにもよりますが、およそ15~25万円という低価格で行えます。
本来、直葬という形式は、世間から見て後ろめたいことをした人が行うというイメージがありました。
しかし、葬儀自体が遺族にとって負担になると考える人が一定数存在していることも事実です。
特段葬儀に興味のない人や、単身で身寄りのない人などが、より葬儀を簡略化するために直葬を検討し始めたため、葬儀会社側も直葬プランを宣伝するようになりました。
実際に直葬を選択する人はまだまだ少数派ですが、単身者が増えることにより、将来的にはどんどん増えていくことが予想される形式です。
近親者だけでお別れを済ませる密葬
家族葬や直葬と混同されがちですが、近親者だけでまずは小規模な葬儀を済ませ、その後一般の参列者向けに本葬・お別れ会を行います。
かつては芸能人・有名人など、交友関係の広い人が選ぶ選択肢でしたが、家族葬・直葬のことを密葬と認識している人も少なからず存在しています。
密葬は、それ単体はそれほど大きな金額とはなりません。
家族葬の高価なプランを想定すれば、最大でも100万円程度になるでしょう。
ただ、密葬を選択する人の本葬やお別れ会はかなりの規模が想定され、密葬に加えて100~200万円程度の費用を見込む必要があります。
故人の影響度を考えたとき、身内だけで行いたいものの一般参列者向けの式を挙げる必要があると判断した場合に、密葬は用いられると考えてよいでしょう。
この記事のまとめ
葬儀と言葉で一言で表せますが、時代とともに様々な種類が生まれてきています。
一般葬・家族葬といった今の主流でもある葬儀や少ないながらもニーズが増えてきている葬儀の種類など、各葬の特徴や費用などについてご紹介してきました。
葬儀の種類を選ぶ場合は、予算の大小だけでなく、各家族ごとに要件を検討しながら進めていかなければなりません。
一般葬は確かに無難ですが、費用が膨らむようなら家族葬で参加者を限定したり、直葬後にお別れ会を開くなどの工夫も可能です。
葬儀会社も柔軟に対応してくれるところが増えてきていますから、まずは自分たちの理想となる形を伝え、そこから柔軟にプランを練ることをおすすめします。