頭を悩ます香典返しにカタログギフトは良いのか
カタログギフトの特徴や選ぶメリットとデメリット
香典返しと言えば、海苔・お茶などの「消えもの」を選ぶというのが常識ですが、現代では価値観の多様化・各家庭の嗜好の違いなどから、カタログギフトを選ぶ人が増えてきています。
もらった人が欲しい商品を自由に選べ、贈る側にとっても商品選びに頭を悩ませる必要がないため、今後より一般化するであろうスタイルになるものと推察されます。
しかし、その自由度からか、逆に「選ばなければいけないのが面倒」・「カタログの中に欲しいものがない」といった声も聞かれます。
カタログギフトもまた、メリット・デメリットを内包するサービスのため、特徴を押さえて選びたいものなのです。
今回は、香典返しにおけるカタログギフトについて、その特徴・メリット・デメリットをご紹介します。
既存の香典返しと使い分けるという方法もありますから、あくまでも数ある選択肢の一つとして、カタログギフトを理解しておきましょう。
カタログギフトとは?
そもそも、カタログギフト自体を知らない人も少なくないため、まずはカタログギフトについてご説明します。
一度仕組みを理解してしまえば、誰でもこんなに便利なものがあったのかと驚くことでしょう。
もともとは結婚式の引出物・お中元・お歳暮の品物選びを簡略化したもの
カタログギフトの歴史を紐解くと、1980年代の結婚式・お中元・お歳暮などに関する問題点がルーツになっています。
旧来、これらのイベント事で品物を贈る場合、受け取った側の好みに合わない・タブーに触れてしまうなどのリスク要因があり、風習を知らない人がトラブルを引き起こしてしまう例は珍しくありませんでした。
しかし、あらかじめ贈答品が一定の価格帯で定められており、しかも受け取る側が自由に選べるなら、このような問題は起こりません。
そのような事情からギフト販売会社が商品化したところ、多くの家庭に受け入れられました。
種類は数多く、日用品から旅行・特産品まで幅広い
カタログギフトで用意されている香典返しの種類は数多く存在し、いくつかのカテゴリに分かれていることが多いようです。
日用品・食器・アクセサリー・おもちゃ・文房具・バッグ・財布・特産品・温泉入浴券・ホテル宿泊券・旅行商品・エステサロン・アウトドアグッズなど、実に様々な商品が用意されています。
これらの商品の中には、カタログギフト向けのオリジナル商品も見られ、もはや香典返しの域を超えているものもあります。
受け取った側にとっても夢のある商品構成となっていることから、一部の人を除いて、受け取ったこと自体を嫌がる人はいないものと思われます。
申込方法も簡単なため、全国的に広まった
カタログギフトというからには、何らかの形で商品が自宅に届くような形となっています。
商品化された当時から、商品の申込はカタログ内に添付されている申込書を使って、欲しい商品を選んで申し込む形となっています。
インターネットを使って申し込みする方式もありますが、ハガキ型の申込書を使う方式は、ほとんどの会社で今なお継続しています。
番号の記載・受取人住所氏名の記入だけでポストに投函できる申込書は、多くの人にとってそれほど手間ではなく、懸賞と違って当たりはずれもありません。
今後も、カタログギフトを採用した香典返しの流れは続いていくものと予想されます。
香典返しにカタログギフトを選ぶメリット
カタログギフトを香典返しに選ぶ場合、以下に挙げるようなメリットがあります。
葬儀の規模や参列者の年齢層によっては、必ずしも当てはまらないケースはあるものの、相対的に見て受け取った側の喜びは大きいものと思われます。
品物選びの手間が省ける
カタログギフトの商品数は圧倒的で、しかもお茶・海苔などのような「モノ」をあらかじめ用意する手間がありません。
地域によってはお通夜・告別式の受付で香典返しを配るため、受け取る側にとってかさばらないものを選ぼうとすると、色々と面倒が生じます。
その点、カタログだけを渡す・郵送するだけでOKのカタログギフトは、受け取る側・渡す側の双方にとって手間が省ける方法です。
お茶かコーヒーかと悩む時間も削減でき、いざとなった時に葬儀だけに集中できる利点があります。
金額設定が分かりやすい
カタログギフトの掲載アイテムは多く、しかも金額はある程度決まっています。
3,000~50,000円という幅の広さでコースが選べ、受け取った金額ごとに調整もできます。
金額が高くなればなるほど、ラインナップされているギフトも高級なものとなり、ブランド色の強いものも選べるようになります。
半返しに該当するコースを選ぶなり、当日返しとは別に後々のお返しとして残額分を贈るなり、ニーズに応じて自由に使い分けることも可能です。
仮に、金額に応じて商品を選ぼうと試みると、全員に対して同じような商品を選べないかもしれません。
ある人はコーヒー・ある人はタオル・ある人は……といったように、選ぶ側が色々と悩む可能性があり、しかも予算に合わない品物を贈らなければならないかもしれません。
カタログギフトは、こういった金銭面での不平等を解消するには一役買ってくれます。
受け取った場合も、調べようと思えば商品から大体の価格帯が想像できる仕組みになっているため、安心して商品を受け取れるはずです。
タブーに悩まされない
かつては、香典返しの大きな悩みとして、選ぶべきでないものを選んでしまうリスクがありました。
現代では葬儀社のプランに沿って選べるケースが多いため、気にする人も少なくなりましたが、中には香典返しを選ぶ手間を省いて「商品券・金券」などを贈って不快な思いをさせた人もいたようです。
実のところ、カタログギフトも間接的には商品券などと同様の商品体系と言えなくもありません。
しかし、露骨に金額が分かるわけではないため、十分セーフといった形です。
また、当人は名産品のつもりで選んだとしても、例えば昆布・お酒のようなものを選んでしまうと、かえって「縁起が良い」ということで非常識となります。
これも、カタログギフトから選ぶことになれば、誰が何を選んだのかは当人たちにしか分かりませんからセーフです。
この他にも、肉・魚などは「四ツ足生臭もの」として忌み嫌われますが、これも仏教的な考え方から生まれているため、宗教によってはタブー視することはありません。
カタログギフトなら、自分の主義・信条に応じて品物が選べるため、結果的に誰も不快感を抱くことがないと言えるでしょう。
香典返しにカタログギフトを選ぶデメリット
ここまでの説明では、メリットを感じる場面が多いカタログギフトの香典返しですが、中にはデメリットにつながりかねない要素もあります。
以下に、主なものをご紹介します。
ハガキ・申込フォームを使って手続きをする手間がある
商品設計上、カタログギフトは受け取った側が手続きをしなければ、欲しい商品が届きません。
どのように業者に要望を伝えるかと言えば、ハガキ型の申込書に必要事項を書いて送ったり、Web上から申込フォームを介して入力したりしなければなりません。
手間といっても、それほどたくさんの項目を埋めなければならないわけではなく、手続き自体も簡単ですから、多くの人にとっては面倒さは感じないはずです。
しかし、年配の人は体調・居住地などの都合もあって、ハガキ自体をポストに出せないというケースも珍しくないようです。
あるいは、カタログギフトそのものの構造を理解しておらず、結局商品を申し込まずに期限が切れてしまうケースも考えられます。
カタログギフトを贈るのであれば、受け取った側が理解できるように配慮するか、別の品を選ぶかする必要があるでしょう。
商品がたくさんあり、どうしていいか分からない
カタログギフトの商品数はかなりのもので、カテゴリを絞るなどして選ばない限り、人によってはいつまでも決めきれないでしょう。
また、時間をかければかけるほど、身の回りの環境も変化していきますから、欲しいものが刻一刻と変化していきます。
最後まで納得のいく形で商品を決められない人もいたり、そもそも商品を選ぶこと自体が面倒に感じられたりする人もいることから、かえって一般的なものの方が良かったと話す人は一定数存在します。
喪主側が受け取る側のことを考えて選んだ方法が、かえって手間を増やしている一面は確かにあります。
しかし、それでも幅広い商品数が多くの人にとって魅力的であることに変わりはなく、選ぶ楽しみを与えてくれるものです。
ある意味では贅沢な悩みのため、この点については確かにデメリットではあるものの、大きなクレームにつながるケースは少ないものと考えてよいでしょう。
一部の年代には「香典返しとはこういうもの」という思い込みがある
商品券を贈るケースにも当てはまることですが、カタログギフトはもらった時点では「形のないもの」ですから、一部の年代にとっては心ない香典返しに感じられることもあります。
現代では少数派になりつつあるものの、やはり「香典返しとはこういうものだ」という思い込みを持っている人は珍しくありません。
そのような考えを持っている人かどうか、渡す前にあらかじめ確認することは難しいですから、このあたりは参列者・親族などの性格を知っているかどうかで使い分けるしかないでしょう。
直接渡すときに使い方・選び方を教えるのも、対策の一つです。
この記事のまとめ
渡す側・受け取る側にとって便利なカタログギフトは、現代で進化した新しい贈り物の形です。
特に香典返しは、気苦労の多い中で選ぶ側が神経を使うため、その負担を減らせる点は大きなメリットになるでしょう。
しかし、受け取った側の多くは不便なくギフトを受け取れる形になってはいるものの、環境によっては難しい場合もあるかもしれません。
よって、通常の香典返しとカタログギフトを使い分け、必要な人に必要なものが行き渡るように工夫することが大切です。