知らないと損することも?葬儀の補助金について。
葬祭補助金の資格や葬祭費・埋葬料・埋葬費の料金
「もしものためにコツコツ積み立てよう」というのは、葬儀に限らず金融機関等のCMなどでもおなじみのフレーズですよね。
確かに、有事に備えてお金を貯めておくことができれば不安要素は少ないものの、そこまでの経済的余裕はないと考える人も多いはずです。
実は、あまり知られていませんが、国・行政機関が葬儀に関する費用を負担してくれる給付金制度があり、これは葬祭補助金とも呼ばれます。
葬儀費用に関する全ての費用を負担してくれるわけではありませんが、きちんと手続きすれば確実にもらえるお金なので、受け取る側としてはありがたいものです。
今回は、給付金制度の仕組みや葬祭補助金を受け取るための条件・資格、葬祭費・埋葬料・埋葬費といった具体的な種類についてご紹介します。
葬儀費用の一部を負担してくれる「給付金制度」
葬儀費用の一部を国・行政機関が負担してくれる制度は、総じて「給付金制度」と呼ばれます。
こちらは、どんな人にも一律で支払われるわけではなく、一定の条件ごとに給付金の名称・支払額などが変わってきます。
具体的には、以下の3つに分かれます。
- 葬祭費
- 埋葬料
- 埋葬費
一見すると、どれも似たような名称のため混乱しますが、いずれも一定の条件を満たしている人に対して、一定額が支給される制度となっています。
ここで言う条件とは、主に「どのような種類の健康保険に加入しているか」について問われます。
「葬祭費」を受け取る条件と資格
まずは、葬祭費を受け取る条件・資格についてご説明します。
葬祭費を受け取れる人は、原則として「国民健康保険」に加入している人です。
加入者が死亡したとき、葬祭を行った人(喪主・施主)に対して支給されるお金になります。
支給額は各自治体によって異なり、概ね30,000~70,000円という価格帯となっています。
申請する際に必要なものは、概ね以下の通りです。
- 健康保険証
- 葬祭を行った人の氏名が分かるもの(会葬はがき等)
- 葬祭を行った人の口座番号が分かるもの(通帳など)
- 葬祭を行った人の印鑑
これらの書類等を持参し、主に市区町村の保険に関する窓口で申請します。
また、少しややこしいのですが、故人が後期高齢者医療制度に加入していた場合も葬祭費支給の対象です。
国民健康保険は、74歳以下の人全員が加入する医療保険ですが、75歳以上の人は自動的に後期高齢者医療制度へと移行するため、同じく葬祭費の支給となります。
葬祭費の申請期間は「葬祭を行った日の翌日から2年」です。
この期間を経過すると、時効により支給できなくなるため、注意しましょう。
「埋葬料」を受け取る条件と資格
続いては、埋葬料を受け取る条件・資格についてご説明します。
埋葬料を受け取れる人は、原則として「国民健康保険以外の健康保険の被保険者」が対象となります。
協会けんぽの加入者だった場合も対象となります。
原則として、被保険者・被扶養者が亡くなった際、遺族に支給されます。
法定給付額は、どの健康保険組合でも50,000円となっていて、組合によっては付加給付がもらえる場合があります。
付加給付の金額は、その組合によって異なりますから、生前故人が勤めていた会社に確認してみるのがよいでしょう。
また、公務員・教職員が加入する共済組合も同様です。
埋葬料の申請権利を持つ人は、被保険者と生計を共にした家族で、実際に埋葬を行った人が対象となります。
申請の手続きに必要な書類は、各健康保険組合に確認すると何が必要かを教えてくれますし、サイト上に書類のフォーマットがPDFで用意されていることもあります。
概要を説明すると、主に必要な書類等は以下の通りです。
- 健康保険埋葬料(費)支給申請書
- 健康保険証
- 埋葬許可証または死亡診断書(コピー可)
- 葬儀費用の領収書(葬儀を行った事実と金額を証明するもの)
なお、振込先の口座情報等は「健康保険埋葬料(費)支給申請書」に記載します。
これらを、健康保険組合または社会保険事務所に申請し、給付を待ちます。
葬祭費の申請期間は「故人が死亡した日の翌日から2年以内」です。
この期間を経過すると、時効により支給できなくなるため、注意しましょう。
「埋葬費」を受け取る条件と資格
最後に、埋葬費を受け取る条件・資格についてご紹介します。
埋葬費とは、被保険者の「家族・身近な人が全くいない場合で、実際に埋葬を行った人」に支給されるお金です。
その点以外は、基本的に埋葬料と変わりありません。
こちらも、健康保険組合によっては付加給付があります。
また、必ずしも5万円を満額もらえるとは限らず、5万円の範囲内で埋葬に要した実費だけが計算の対象となります。
ただ、実費の中には「霊柩車代・霊柩運搬人夫代・火葬料・供物代・僧侶への謝礼・祭壇一式料」といったものが含まれますから、もらえないという状況は考えにくいでしょう。
しかし念のため、請求方法も含め、詳細は故人が加入していた健康保険組合に問い合わせることを忘れずに行ってください。
その他、不慮の死に備える方法あれこれ
ここまで、葬祭補助金に関する条件・資格等についてご紹介してきました。
しかし、正直なところ「葬儀にかかったお金より圧倒的に少ない……」と思う方がほとんどではないでしょうか。
葬儀の規模にもよりますが、直葬でも10~20万円、家族葬で30~50万円、一般葬なら100万円程度を想定しておかなければならない中、数万円単位では補助として足りないと考えるのは自然なことです。
そこで、不慮の死に備えて事前に積み立てておける制度・あるいは付帯させられる保険などについて、いくつかご紹介します。
葬儀保険
葬儀費用の捻出に特化した保険で、終活の一環として注目を集めている保険です。
いわゆる生命保険とは違い、保険金請求の翌営業日に保険金の100%を受け取れるスタイルとなっているものもあり、葬儀費用がスピーディーに受け取れるのがありがたい保険です。
また、加入年齢も間口が広く、加入年齢は20~89歳・更新は99歳までという超高齢型の保険もあります。
年齢を重ねるにつれて受け取れる額が少なくなりますが、あらかじめ受け取る保険金を想定してオーダーメイドすることも可能です。
健康状態の報告については、医師の診断を不要とする商品が多く見られます。
また、保険金を受け取る3親等以内の親族がいないケースに配慮した商品もあり、3親等以内の親族がいない、特別な続柄の関係者(内縁関係・LGBT・単身者など)の場合でも、契約時に事情を記載した報告書を提出すれば加入できるという柔軟な条件を設けています。
ただ、決して良いことばかりではなく、月々の保険料については、相対的に男性の方が女性よりも高い傾向にあり、75歳以上になると倍近く金額が変動するリスクもあります。
場合によっては、掛金分を貯金・投資に回しておいた方がおトクになるケースも考えられますから、老年期で先立つものがない状況下における選択肢の一つと考えておきましょう。
海外・国内旅行傷害保険(クレジットカード付帯)
老後を迎え、時間が自由になったら、国内・海外問わず旅行に行きたいと考える人は多いはずです。
そのような場合、旅行傷害保険に加入しておくと、万一の際に補償が受けられます。
旅行傷害保険では、海外で死亡した場合に保険金が支払われます。
保険のランクによっては1億円以上の金額が支払われることもあり、現地で入院した際の費用もカバーしてくれます。
旅行に行く機会が少ない人、旅行代理店にプラン設定を依頼することが多い人などは、掛け捨ての旅行傷害保険に加入することが多いでしょう。
しかし、1回あたりの費用が高くつく傾向にありますし、旅慣れていないと失念してしまうリスクもあります。
万一、旅行傷害保険に加入しないまま現地で入院してしまうと、莫大な治療費を支払わなければならない場面に遭遇する可能性もあります。
そういった不安を取り除くには、旅行傷害保険が付帯されているクレジットカードに加入しておくと安心です。
保険の具体的なプランは、クレジットカードのグレードにより異なります。
年会費無料のクレジットカードであれば、そもそも旅行傷害保険が付帯されていないことも珍しくありません。
保険付帯のクレジットカードを手に入れる方法はいくつかありますが、代表的なものは「条件付きで年会費無料になるゴールドカード」を取得することです。
カードを使って一度買い物する、もしくは一定額を利用することで、次年度の年会費が無料になりますから、負担なく旅行傷害保険に加入できます。
長期の渡航を検討している人は、家族のためにもカード付帯の旅行傷害保険を事前に取得しておくことをおすすめします。
互助会積立+最小限プラン
事前に積み立てを行うことで、最低限の葬儀を挙げるという方法が、互助会を活用することです。
互助会について簡単に説明すると、葬儀社経由で毎月一定額を積み立てておき、やがて葬儀を行う際にそのお金を利用するというものです。
一見すると「それなら最初からそうすればいいじゃないか」と考えがちですが、これには落とし穴があります。
それは、葬儀社が「積み立てた金額だけの葬儀を基本的に想定していない」という点です。
互助会で積み立てたお金というのは、あくまでも葬儀の頭金に過ぎず、何も知らないまま葬儀に臨むと想定外のお金がかかります。
また、そのことを担当者から知らされていないなどの理由から、少なからずトラブルに発展していることも事実です。
そこで、互助会に加入すると同時に、互助会に積み立てた満額で行える葬儀のプランについて、あらかじめ担当者と打ち合わせをしておきます。
仮に、積み立てた額だけで葬儀は難しいといわれたとしても、最低限のシンプルなプランを選んでおけば、葬祭補助金や香典で相殺することもイメージできます。
あらかじめ葬儀プランを想定し、見積もりをもらっておけば、亡くなった後で遺族に迷惑をかけることがなくなります。
互助会への加入を検討する場合は、出口戦略をしっかり立てておきましょう。
この記事のまとめ
以上、葬祭補助金の条件・資格・種類等について、その他の費用対策も含めてご紹介してきました。
葬祭補助金は、健康保険等に加入していれば、故人の死後2年以内に申請することで受け取れます。
しかし、確実に受け取れる反面、その金額は葬儀にかかった費用と比べて微々たるものです。
そのような事情を踏まえ、有事の際にスピーディーに葬儀費用が手に入る葬儀保険や、積立型の互助会を活用する方法なども視野に入れておくと、将来の不安が和らぎます。
また、支払方法にこだわりがなければ、保険付帯のクレジットカードを活用することで、安心してレジャーを楽しむこともできるでしょう。